28 暗い場所で……
「ねえさん、だいじょうぶでしょうか……?」
「大丈夫です。きっと、戻ってきて下さいます。」
「あの、ヴァイヤさん………?」
「…………ん?どうしたんだい?」
「えっと………なにをしているのですか?」
「見て分からないかい?暗記だよ。あの子達が動けない状況が来るかもしれないだろう?国民は全員覚えておかなくては。」
「ですが、アヤノさんやノアさんに限っては無いと思いますよ?」
「………分からないよ?もしかしたらあの子達でも敵わないモノがあるかもしれない。未来は分からない。只、いくらでも変えようがある。だから私は変えている。あの国の衰退という、最悪の未来を変える為に。」
「そ、そうですか。それで………読めているのですか?」
ヴァイヤと呼ばれた男性は椅子に座り、足を組んでいる。その手に持つ本はデューアから渡されたもので、パラパラ漫画を読むかのような速度で読…………見ている。
「………よし、覚えた。」
「「…………………………」」
二人はちょっと……いや、ドン引きである。
「二人は寝なさい。朝早くにこちらへ来たし、夜はあまり寝られないだろうから。唄でも歌うかい?ほら、こちらへおいで。」
「じゃ、じゃあ………」
「お、お願いします………」
「………………♪~~~♪~♪~~………」
ヴァイヤが歌い始めるとすぐに二人はコテンと寝た。
「………………さて、アヤノは………大丈夫だね。」
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光が入らない、地下のような場所に二人の人物がいた。
「…………チッ」
「駄目ですよ、逃げようとしたら。」
「分かっているさ、少年。君は欲しいものがあったら何がなんでも手に入れようとするからねぇ。」
「分かっているのなら何故逃げようとするのです?」
「君の成果をさっさと見て帰りたい。」
「………………この期に及んでまで逃げようとするのですか。」
バキッ
「グッ……………ハァ…………ゥグウ……!?」
男は手足を鎖で拘束されている女性の腕の骨を折り、更に曲げた。
「……ッ君は、そんなに……っ物を壊すヒトじゃ、なかったと思うの、だけどなっ……ハァ………」
「違いますよ?これは躾です。壊していませんし、貴女も壊れていない。」
「…………ハッ……君はっ………母を殺してからの、初めての家族だったのだが、育て方を、間違えたのかなっ?」
「……………」
男は急に黙って女性の話に耳を傾ける。
「最近の、新しい家族は……君みたいにならないように…しないとねっ………フウ。」
女性──アヤノは折れて曲がった腕を魔法で応急処置をしながら話した。
「僕は……出来損ないですか……?」
「……………いや……技術は一番だよ。けど、……フフッ、君は人間性に難がありすぎる。」
「……!!!……さい、…るさい、ウルサイウルサイウルサイ!!!どうせ貴女も僕を捨てるんだ!!僕はやっぱり出来損ないなんだ!!僕じゃ貴女を手に入れられないと!!??これだけ努力しても!!貴女が欲しいだけなのに!!」
「………………」
男はアヤノの首に手を掛ける。アヤノは無言で、動じていない。ただ、何もない目で男を見る
「……貴女は何がしたいのですか?僕は……ただ……」
アヤノの首から手を外し、男はゆっくりと蹲った。
「…………ごめんね」
そう一言をかけて指をパチン、と鳴らし手枷と足枷を外す。
「…………君は……今でも私の可愛い家族だ。………だからいずれ、君の悩みに終止符を打つ事を約束しよう。」
アヤノは立ち去り際にそう呟いた。
その呟きは男に聞こえたのか………
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