23 ノアの表情筋は大変だぁ
「ノアー。二人の昨日の様子教えてー。」
「え~?そ、れ、よ、りぃ~姉さんはどうだったの~?」
ノアはニマニマしながら聞き返す。
「別にどうだって良いでしょっ?ホラ、教えなさいよっ!」
真っ赤になりながら返すも、ノアはずっと笑っている。
「アハハッ姉さーん、おもしろっフフッ、あっそうだ。研究は?どうだった?」
「……………思ったより進んでないみたいで、弟君の呪いのコピー渡してきた。…………あ、ラルも来てた。」
「へぇ、ラル兄いたんだ。懐かしいなぁ、ラル兄。会ってみたい。」
「隣の宮廷魔道師やってるらしいよ。」
「ふーん…………あ、そう言えばさ、何であんなに速くSランクの試験が受かったの?」
「『今までの実績』らしいよ。強さは分かってるしSランクに推薦されていたらしいしで、手続きで終わった。」
「……………あの、さっきから聞いていれば、教え子さんが宮廷魔道師とかSランクに推薦されていたとか………アヤノさんは一体何者ですか!?」
「私?そうだな─────────………………………五百生きてる親殺し。」
アヤノは子供達が今まで見た表情の中で一番悲しそうな顔をしていた。
「親、殺し?」
「うん。父親は生きてるけどね。まだ力のコントロールが出来ていない時に……ちょっとね…………。ラッキーだったね。こんな話したのはトーヤ以来だよ?二番目二番目。忘れてくれても構わないし。」
(((聞かなければ良かったな………重い…)))
そんな時、ドンドンと、戸を叩く音がした。
「アヤノ殿!?居ませんか!?私です!!宰相のジークです!!アヤノ殿?!」
「どーした?ジーク。君が焦ってるなんて。」
「落ち着いて聞いてください。王が、デューアが、刺されました。意識不明の状態です。アヤノ殿の名前を呟いていました。王宮にお急ぎください。」
「デューアが刺された」と言う言葉に一番反応したのはユテアであった。
「アヤノさん……!父上様が………!?」
「分かった。ジーク、ありがとね。………ノア、行くよ。準備して。………あ。犯人は?」
ジークはずれたメガネをかけ直し、言った。
「申し訳ありません。取り逃がしました。只、背格好は覚えております。」
「手短に教えて。」
「はい。黒のズボンに灰色の靴、黄色のシャツです。髪は紺色でした。」
「分かった、戻ってて。色々使うから。」
ジークが出ていった瞬間、アヤノは子供二人の肩を抑えて転移した。
場所はトーヤの研究室。
「トーヤ。この子ら一時間位お願い。」
トーヤが返事をする前に転位で戻った。
そして、
「ノア、行くよ。」
空を跳んだ。
いつもと同じくらいの足場の大きさで、色が少々付いている。
体力も考え、ノアを抱えたりもした。
ノアは何も言わず、走り続けた。
アヤノは時に目を瞑り、何かを唱えているようだった。
ずっと走り続けていたおかげか、昼過ぎには王宮に着いた。
「止まれ!!誰だ!!王宮は今立て込んでいる!!用があるなら明日にせよ!!」
「どけ。私はアヤノだ。」
「アヤノ殿がこんなに速く着くわけがない!宰相様でさえお着きになられていないのだ!!」
「まだ分からないのか。アヤノだって言ってんだよ。さっさとどけ。強行手段に出るぞ。」
凄まじい殺気を出して門番をどかしたところでアヤノとノアは門を飛び越えた。
「姉さん……デューアは何処にいる?」
「寝室。ノアでも問題なかったら犯人捕まえてくる。」
「了解。」
ノアはその糸目をはっきり開いて全速力で走り、デューアの寝室を蹴破った。
「デューア!!」
そこにはベッドの上でたくさんの線に繋がれたデューアが横たわっていた。
「チッ この線邪魔だ!!」
そう言って線を引きちぎると、手を深緑色に光らせ、デューアに当てた。
アヤノはというと大丈夫だと思ったのか、なぜか人形を置いて去っていった。
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「ほんっとうにありがとう。」
ベッドの上でからだを起こし、深々と頭を下げるその人は、背中から深く刺されていたデューアだった。
「ノア姉、何かお礼をさせて下さい。」
「んー……あ、じゃあノーマにい………ギルド長に会いたいなっ」
「分かった。それくらいなら全然オッケーだ。」
「ただいまー犯人送って来たー。」
気軽に会話するが、結構重要なことだ。
ギルド長になんて、滅多に会えない。
王と気軽に会えている時点でおかしいのだが。
「「姉さん、お疲れ様です。」」
「おー。子供二人迎えに行ってくるわー。」
「「行ってらっしゃい。」」
見事なハモリで見送り、デューアはギルド長を呼ぶよう侍女に伝えた。
「えっと………トーヤ、怒ってる?」
「いや?別に怒ってなんかいませんよ?」
椅子に座り、背を向けた状態でトーヤは返事をする。
「ゴメンね?すぐに頼れるのってココぐらいだから。」
「………まぁ良いですけど。「そこで寝ていて」とお願いしたら二人でぐっすり眠りましたので。何故ですか?」
「ゴメン。それは私にもわかんない。」
トーヤに真顔で言われ、アヤノも真顔で返した。
そして、フワリとした笑顔で言った。
「……………ありがとね、冬真。」
「………………いえ、いつでも結構ですよ、綾。」
お読み頂きありがとうございます。
次の話で呪いの説明会やろうと思います。
そんなに細かくありませんので、聞きたいことあればコメントから質問お願いします。




