19 取って喰うアヤノ
ー客室っぽい所ー
「さてさて。弟君、一旦ナイフとフォーク使って食べてみて。あ、それは子供用だから大丈夫だよ。」
「はい、分かりました。」
子供は優雅にナイフとフォークを使う。
「おおー、綺麗に使うねぇ。姉さんびっくり。」
「ありがとうございます。なぜかはわかりませんが、どうさなどをおぼえているのです。」
「………………そう。まだ戻ってないんだね。」
「? なにがですか?」
「いや、何でもないよ。ただ、美味しそうに食べるな、って。暫くは食べないからね、こんな美味しい料理。」
優しい母親のような目で子供を見る。
「アヤノさん?どうかしましたか?」
「………ホントに何でもないよ。……………正直、この依頼は断りたかったのだけど……あの娘が君と一緒にいたそうだし、君があの娘と一緒に修行したいなら依頼は受けるよ?どうしたい?」
アヤノは真剣な目で子供を見る。
「ボクですか……?ボクは…………………なにをしたいのかわからないのです。ユテアさんが……その………なんていうか………あのひとがきたいというなら……おしろはきけんだというし……アヤノさんにおねがいするしかないのですけど………ボクからもおねがいします………」
「分かった………君が良いと言うなら………オッケーだよ?─────────あ、やべ」
「どうしました?」
「君の親に報告してない」
「……………ボクの親ですか?」
「うん。君を預かることの条件で報告しなきゃ。──────明日行こ」
心底めんどくさいと顔に出ているアヤノは
ホラ、風呂行くよ、とあっさりと言い放った。
「……………ぅえ!?おふろ!?」
「え?入らないの?君一人で入ったこと無いでしょ?此処の風呂って場所分かんなくなるし……ほら行くよ。」
「………………………はい。」
風呂のシーンは省こう。
子供が迷子になりかけ、終始赤面していたと言うことだけは書いておくが。
「よし、出るよ、準備して。」
「はい?」
「だから出るって。私の移動手段は目立つから夜に出たいの。ユテア呼んでくるから準備しといて。」
「あ、ハイ」
子供が着替えてちょこんと座っていた時、
「ただいまー♪ユテアちゃんゆうか………連れてきたよー♪」
「何ですかどうしたんですか着替えてと急に言われて着替えたら目で終えない速度で連れてこられたのですがこれから私をどうするのですか……………ってアヤノさん?」
「ハァイ♪これから出るから準備してもらっただけ。変なものは要らないし。デューア達には念話で伝えてあるし。人来ないうちに出るよ。ユテアが挨拶したいのなら連れてくけど?」
「ええと………一言は言っておきたいです。」
「オッケー。ほら二人とも手出して。」
二人がおずおずと手を出すとアヤノは掴んで引き寄せた。抱き締めるように。
そして当たり前のようにデューアの執務室の前に行き、ノックもせずにドアを開けた。
「うぉあ?!姉さん!?」
「此処出ることにしたから。ユテアの挨拶に来ただけ。ノーマは?ユテアが挨拶してる間に声かけとこうと思ったけど。」
「ノーマは風呂に入ると言ってたけど……姉さん行くつもりじゃないよね?」
「声はかけとく。どう成長したのかも気になるし。」
「やめて……僕が叱られる………ホントに………」
「じゃ、行ってきまぁす。ユテア、ちゃんと挨拶しといてねー♪」
そう言って何故か子供を抱えたまま部屋から飛び出していった。
「ええと……父上様、母上様、わたしは……えっと…力を付けて帰って来ます。ただ守られる存在にはなりません。必ず帰って来ますので、危険が迫った際にはアヤノさんに知らせて下さい。何処に居ても駆けつけます。どうかお元気で。」
「「ユテア………」」
「ちょっと………私が取って喰うみたいに言わないでよ………まぁちゃんとユテアは守るし、力を付けて返してあげる。じゃあ行くよ。」
バイバーイ、と言いながら何かを机の上に置いて三人は窓から出ていった。
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