16 王女の護衛
「んーと?入れ替わっているって言う考えだっけ?」
「そう。城の暗部と僕が直々に調べたんだから。調べた時はシロだったし、王が面接して決めたんだ。入れ替わっているとしか考えられない。」
「ふーん………。王女の護衛をしたらいいの?」
「ああ。王女騎士が決まるまでの期間を頼みたい。」
アヤノは考える素振りを見せた後、手を叩いた。けっこうわざとらしい。
「条件があるよ。んーとね……」
「ちょっと待って、城に行くんでしょ?僕も用事があるから一緒に行こ?その子も関係あるだろうし。」
「はいはい。分かったよ、分かりましたよ。つまんない。じゃあ行くよ、おにぎり食べながら。」
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その通り、おにぎりを食べながら城へ続く道を歩いている。
一口が大きいアヤノは顔くらいのおにぎりを1/3くらいずつ食べていくものだから隣を歩いているギルド長や民たちは驚いている。
ギルド長の肩に乗る子どもは楽しんでいるが。
「むぐ……お、着いた。」
「止まれ!!何者だ!!!ここはロッサ王国の中枢!!知らぬ者を入れる訳にはいかない!!!帰るのだ!!!」
「え~……まさか知らない人がいるとは思わなかった……。私ショック……。」
「しょうがないじゃないか。私たちが活躍したのはもう百年も前なのだから。」
アヤノは肩を落とす演技をし、ギルド長はアヤノを慰めている。冷たい笑みで。
「んじゃ帰るわ。ちょっとバカ、待ってて……」
「クォラァァ!!!このくそ弟がぁぁ!!せっかく来てやったのに!!門番が帰れだって!!私たちのことくらい教えとけやぁぁ!!!帰るからなぁぁぁぁ!!!」
アヤノが叫んだ後、門の向こうから慌てた声がした。
「誰だ、門番を決めたのは。」
「王がお決めになられました。」
「ハァ………あのバカは……。門を開けろ。」
門が開いてそこにいたのは黒淵メガネにベージュの服を着た質素なインテリだった。
「お久しぶりです、アヤノ殿。この度は門番が大変失礼いたしました。あのバカがどういう考えをしていたのかは分かりませんが私の教育ミスです。怒りを納めていただけないでしょうか。」
「弟がごめんね、宰相殿。バカだけどね、外交とか向いてるんだよ?バカだから。」
「なるほど。バカにはバカなりの使い道があるのですね。教えてくださりありがとうございます。」
「どちらもバカ、バカと。いい加減失礼ではないですかな?」
「……………どちら様で?」
「おや。私を知らないとは……。お教えしましょう。私はロッサ王国建国時から王家に仕えている由緒正しき伯爵家の当主、カーバン·マークトスでございます。以後、お見知りおきを。」
「ああ、マークトス殿。王への取次は出来ません。王は用事がありますので、お帰りください。」
「宰相殿。我が伯爵家が王家の方々を御守りすると言ったでしょう。何処の馬の骨とも分からん冒険者に頼むなんて暴挙を止めようと参ったのに。今からでも遅くはありません。冒険者に頼むなんぞお止めください。」
「ハァ……では頼む冒険者が依頼を断ったら貴殿方にお任せしましょう。ちょうどその冒険者が城にいます。冒険者の謁見で意見をお言いになって下さい。」
「むぅ………それでしたらいいでしょう。では謁見の準備を。」
「ええ。出来ています。ではアヤノ殿、ノーマ殿、カーバン殿、こちらへ。」
カーバンが おい、どういうことだ、とメイドの女性に尋ねている。メイドの女性は無言で会釈した後、その場から去っていった。
カーバンは舌打ちして諦めたかのように黙り込んで、どこかへ行った。
「着きました。アヤノ殿、いくら弟とはいえ、礼儀を……」
「分かってるよ。礼はするよ。丁寧に話すって。」
「…………では……アヤノ殿、ノーマギルド長がお着きになられました。」
縦長の広い部屋で奥の椅子には若い青年が座っていた。
「うむ、ご苦労だった。さて、本題に入ろう。まず状況はギルド長に聞いておるな。お主の条件とやらを聞こうではないか。」
そう言われた後、アヤノは驚いた顔をして、
「おや、もう情報が入っているので?優秀ですね。ええ……条件は、そちらの子の修行の為の山と、王女殿下をその山で御守りすることです。」
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