15 貴族達とギルド
王都の門前は人が多くいた。
そして、
「どけ!愚民共!!侯爵家嫡男様のお通りだ!!頭を垂れよ!!道を作れ!!」
だったり、
「………………………………どいてくれ。」
だったり、
「申し訳ありません。民の皆様、よけていただけないでしょうか。」
様々な貴族が通って行った。どうやら今日は祭りがあるらしい。
「めんどくさっ。何でアタシが行かなきゃいけないの?いくら血縁だからって頻繁に呼び出されたら困るんだけど。今度シカトしてやろ。」
アヤノはぶつぶつ言いながらギルドの方向へ歩いていった。子供を肩車しながら。
ギルドの中に入ると
「来たけど!?このバカ兄弟!!さっさと出てこいや!!」
怒鳴った。すると階段の方向から
「うるさいよ、アヤノ。出てきたけど、いい加減その強盗のような呼び出しどうにかなんない?こっちはいろいろと仕事があってねぇ。……ブフッ!?」
エルフの姿をした男がいた。おそらく吹き出したのは子どもがアヤノの肩の上でアヤノの髪を編み込んでいるからだろう。
「うるさい。次は城に行かなくちゃいけないんだ。さっさと用件いいな。」
「急かすなよ。せっかちは嫌われるよ。てゆうか何?その子供。」
「余計なお世話だ。この子は拾った。はよ用件話せや。飯食う時間無くなる。」
「ハイハイ。じゃあギルド長室来て。あ君、おにぎりとか持ってきて。」
いつの間にか子どもはアヤノから降りていて、髪は花のようにセットされていた。ドヤ顔だ。
ありがとね、と言いながら子供の頭を撫でたアヤノは母親のようだった。
「さてさて。用件だけどね?ちょっと厄介なんだよ。引き受けてもらえるか心配なんだけど……王が頭下げて言うからね……僕からもお願いだ。」
「分かったから。あの子直々ってことはめんどくさいのは分かってる。おそらくギルド長から言って駄目だったら自分で頭下げるってやつでしょ?いつもと同じ。ってなわけで用件どうぞ?」
「うん……どうしようもないことに、国の中枢に隣国の者が紛れ込んでるみたいで。姫の護衛をお願いしたいらしい。」
「うわ面倒」
「皆採用した時は裏が何もなかった。多分入れ替わっていると思う。」
コンコン
「ギルド長。おっしゃった通り、おにぎりを持って参りました。」
「ああ、ありがとう。」
震えながらおにぎりと茶を置く受付嬢にアヤノは声をかける。
「どうしたんだい?いつもと様子が違うじゃないか。私がピリピリしてたかもしれないけど、あれはさっき会った貴族がムカついたからだよ?怒りは収まっている。」
「………いえ………そうではなく…………」
「言ってみな?私は怒らないよ。」
ギルド長はジッとやり取りを見て、ああ、と理解したように手を叩いた。
アヤノも理解はしているのだろう。あえて、言わそうとしている。
「申し訳ありません!!ギルド長!アヤノ様!
…………毒を盛るよう言われました……。本当に……申し訳……!?」
受付嬢の言葉が途中で止まる。気付けばナイフが自分の顔すれすれの場所に刺さっていたのだから。
「アヤノぉ。もっと別のやり方あったでしょ?一番怖い方法でギルドの子を泣かせないでよ。」
「もとよりこの子も毒を私に喰わせたら殺される予定だったんだ、苦しむ方法で。だったら死ぬよりはマシじゃないか。」
アヤノが隠し持ち、投げたナイフの先端から針が落ちる。その針の先には紫の液体がついていた。
「…も………申し訳ありません……………申し訳ありません………!」
「ほらぁ。この子が辞めちゃったら君のせいだからね?大丈夫?クビにも殺しもしないよ。毒針刺されそうになったからアヤノが危ない方法で止めただけさ。報告してくれてありがとね。」
「私たちはなんともない。この程度の毒なら慣れてる。自主的に報告して欲しかっただけさ。それより頬にかすらなかった?私、里でも弓とか下手だったから……」
ギルド長は呆れた顔で言った。
「いや君、ダーツとか輪投げとか狙ったところ必ず当てるじゃん。弓だから無理なだけだよ。他は万能なのに……」
「うるさい。」
アヤノはハンカチを出して受付嬢の涙をふきはじめた。
「こんなに綺麗なハンカチ、わたしなんかに使わないでください……!」
「いいの。どうせ私は一つしか使わないんだから使う人に貰ってほしいんだよ。さて、それで涙ふき終わったらおにぎりを作ってもらってもいいかな?」
「ハイ!分かりました!ギルド長、アヤノ様!お話しをお続けください!」
ガチャ トットットトットッ……
「じゃあ話の続きをしよう。」
ギルド長室に置いていかれた毒入りおにぎりの行方
「ん、美味しいじゃん。ちょっと辛いけど。」
「まぁ此処のギルドでも料理が一番上手いからさ。あ、ホントに美味しい。確かに辛いけど。」
「ぁ…………ギルド長!?アヤノ様!?何故食べていらっしゃるので!?」
「「あ、ヤベ、ばれた。」」
こうして毒入りおにぎりはノーマギルド長とアヤノのお腹に消えていきましたとさ。
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