12、アヤノ視点 終
ちょっと、いや、結構ボロボロな家だった。
屋根には穴が開いていて、椅子は脚のところに切り込みが入っている。ドアには悪口が刻まれていた。暗い顔をする女性に笑顔で私は言った。
「単刀直入に言います。息子さんを、預からせて頂きたい。」
「な?!何故あのような子を引き取ろうと?!まさか貴女は奴隷商人ですか?!」
「ああ、誤解を与えてしまいましたか。私は冒険者です。まず呪いの説明をしますね。」
そう言って私は簡潔な呪いの説明、私のちょっとした過去、あちこちの子供が同じような状況下にあり、それを救って呪いを制御できるようにしているということを早口で説明した。
「なるほど…?要するに息子が呪われていて…?それを貴女が制御できるようにする、と…?」
「はい。分かって頂けましたか?」
「ええ…ですが結論は夫が帰って来てからでも良いでしょうか?」
「もちろん、大丈夫ですよ。私は呪われてしまっている子に親を殺させたくないだけですので。
……では、また夜に来ます。」
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女性視点
急に家に来て話をして去って行った人………あの人…ハーフかしら?
ううん。それよりも息子のことよね…あの人が帰って来てから相談しましょう、そうしましょう。
ー夜ー
「ただいまー」
「あ、お帰りなさい。えっと…今日女の人が来てね…」
私は女性とした話を夫に聞かせた。
「……………なるほど。まずはその女性に会ってからだ。」
「呼びましたか?」
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「呼びましたか?」
「「うひゃあ?!」」
「ああ、失礼。ノックしても返事が無く、入らせていただきました。」
ホントだもーん。
仕方なく屋根から入ったりしてないもーん。
「結論は?」
「私は……連れて行ってあげて欲しいです。あの子は、別の場所でなら立っていける。」
「ふむ……旦那さんは?」
「俺は反対だ。男なら自分で立って歩いて行け。俺は傷付いてもいい。」
「……………………………そうですか。」
· · · · ·
「…………あの子の呪いは、とても強いです。自我は無く、只、死ぬ前の強い感情で動いている。『この子は守る』と言う感情で。」
そう。村に入ってからひしひしと感じてる。強い感情。もしもあの子が傷つけられたらあの呪いは暴走するだろう。
「呪いは一度暴走すると、格上に止められるか、宿主……主人が死ぬまで見境無く、殺し続けます。……親も友も関係無く。」
「ッ……!」
「あの子が両親を傷付けたら…あなた方が良くとも、一番傷付くのはあの子です。」
「…………………。」
「呪いを制御できるようにしたら私は用済みですから、その後は本人次第です。本人が戻りたいと言うならば此処まで送り届けますし。旅をしたいと言うなら見送ります。」
「………あなた、此の方に預けましょう?その方があの子は道を見つけられる。このままだとあの子が埋もれてしまう。」
沈黙が続いた。
「………分かった。しかし、呪いとやらが制御できるようになったら知らせてくれ。何年かかってもいい。息子の状況を定期的に知らせてくれればそれでいい。」
「承りました。家、どうします?私の拠点で暮らします?」
「いや、俺たちは金が貯まったら引っ越す。」
「了解しました。では、息子さんを連れて行かせてもらいます。1週間後、状況を説明しに来ますので、また。」
私は外に出た。
「しまった。かっこ良く外に出たけど場所わからん。」
まあ分かりやすく負のオーラが出ているからね。お、天窓っぽいのがある。どれどれ~?
· · · · · · ·
黒っ!?真っ黒っ!?ヤバッウケるっ
入ろっと……おっと、うずくまってたのに気づくの早いね。有望、有望。
「君、呪われてるね。こんなに黒い子は初めて見たよ。」
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