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ここって部活でしたよね?~怪異にスローライフを粉砕されたんですが~  作者: ゆうみん
第零章 フェイク・ルームとブラック・ボックス
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プロローグ:無題-とある幻想世界と何の変哲もない日常-

 

 ……ここは、日本のなんでもない……中堅校、という部類に入る高校。

 ここには、なんでもない普通の部活がそろっている。まあ珍しい部活もなくはないが。


 しかし、この学校には、生徒のごく一部で代々伝えられている……あるウワサがあった。


「ここの学校のとある部活は普通ではなく、表の活動だけでなく、危険を伴うような裏の活動がある」というウワサが――――。


 そんなことはつゆ知らず……。今日もそのウワサの部活に足を運ぶものが、ひとり、ふたり

 ……最終的に、その日に集まったのは9人いた。


 彼らは超能力もなく、化物もおらず、ホラー小説を読んで幻想と思いつつヒィヒィ言っていられる世界は幻想ということを知っている。


 ――これは、学園スローライフを送るはずだった、とある部活の部員たちの戦記である―


 ***


 ……ああ、今日も面倒な授業が終わった。今日は兼部してるソフトボール部がないから後輩にちょっかいを出そうと思ってPC部の部室、パソコン室に、同級生の青山と共に足を運んだ。


 そこでは、いつものように後輩がプログラムを書いていたり、物理エンジンで車をつくっていたり、学校のサイトをいじっていたり、動画を編集していたり、クソゲーを作っていたり、カードゲームのカードの情報を見ていたり、某選手の画像を使ってクソコラを作っていたり、相変わらず自由である。


 ……いや、どう考えても自由すぎるだろ。何をどうしたらこれが部活になるんだ? うん。


 呆れつつ、「よお、お前ら」と俺が口にすると後輩ほぼ全員が一斉にこちらを見た。


 こちらを見た面々……高1は、プログラムの藤川とクソゲーの大立、クソコラの浅井とサイトいじりの飯田、この部活の紅一点で動画編集の高野で、中2は物理エンジンの佐々木。こちらを唯一見なかったのは高1のカードゲームの岩崎だ。


 俺と青山はいつものようにPCの前に座り、電源を付けた。そして、起動するまで部員たちの……いや、皆のことを思い浮かべる。暇すぎてそれぐらいしかやることがないから。


 ……藤川は、根は真面目で人脈と人望にあつい、面白いやつ。歴史とプログラミングが得意。


 ……大立は、優しくて、人の苦労を知っている男。まあこれは高野が言ってたことの完コピだけど。すっげえ計算が得意。


 ……浅井は、場の空気を清浄してくれるような存在。比較的まともだがちょっと影が薄いのが残念。


 ……飯田は、ここの良心なんだけど……歪んだ性癖というかなんというか……だけが問題だった。でも場を仕切るのがうまい。


 ……高野は、まあ頭はいいんだけどマシンガントークがなあ……こいつが得意なのは……ん?あれ、こいつ割と何でもできんじゃね?弱ったな。


 ……佐々木は、ずいぶん哲学や歴史に通じている……ちょっとだけヤバいけどいい子だ。ちょっと怖いけど。


 ……岩崎は、静かにしているがアニメやゲームを網羅してる一流のオタクらしい。あんまり話さないから詳しいことは知らないが。


 ……青山は、俺をいじってくるが一応頼りになるやつだね、うん。ラノベをよく読んでる。


 ……そして俺、志 大和は先ほど言った通りソフトボール部と兼部している、ついでにロボットアニメオタク。自分でもデブだと思ってる。たまに自虐してる。


 と、くだらないことを考えていたらいつの間にか起動が終わっている。今度からはアニメの考察でもしながら待って居ようかね。


 起動したパソコンを前に、俺は、今日は何をしようかな?

 ……そうだ、例の物理エンジンのあれでもいじろうかなあ?

「おーい飯田、ちょっと協力してくれねえ?」と俺が物理エンジンに長けた飯田に頼めば

「あいよ、今そっち行く」と快諾してくれる。遊んでばかりいると彼は鬼の形相で怒るが、基本いいやつなのだよな、こいつは。


「おーい、こっちのやつまだ終わってないよ藤川ぁ~」と高野が言う。ああ、なんか資料を作ってるんだって。オープンキャンパスの時のための奴を。


「マジ?ヤバいじゃん締切明後日だよ」と藤川が返す。高野、お前しっかりしろや。


 相変わらず、いつものようにパソコン部の部室には、ゆっくりとした時間が流れていた。

 もう俺、ここに住めるわ。なんて穏やかな日常なんだろ。ソフトボール部やめようかな?マジで今日ソフトボール部が急遽休みになってよかったわあ。あー楽しい。


 ……だが、ここはただのふざけた連中の集まりでは決してない。

 全員……そう。全員。ここにいる全員が、何かしらの心の傷を抱えている。

 今でこそ笑顔でも、かつては表情が全くなかった奴も、表面上繕っていても明らかに無理をしているのがわかる奴も、特定の話題に触れられると気をおかしくする、俗に言う地雷持ちの奴もいる。


 傷の形も様々だ。家庭のこと。友人のこと。自分自身のこと。過去のこと。トラウマ。


 全員、何か暗いものを背負って生きている。息苦しいけど、生きている。


 だからこそ、こうしてはっちゃけられるこの部活は、俺を含め、ほぼ全員にとってほぼ唯一の居場所となっている。ここほど、のんびりと悠々自適に過ごせる場所もないだろう。


 だからこそ、ここを失うことなんて考えたことがなかった。


 はあ、今日もゆっくり過ごすか……などと俺が考えていると、……事件が起こるのだった。

 それも、俺たちのすべてを変えてしまうような事件が。


 顧問が部室に現れ、とんでもない一言を放ったのだ。

「みんな、学校のサーバーがヤバい! しばらくここを動かないでくれ!!」


 ……この一言が、まさかあんなことを巻き起こすとは、思ってもみなかった。

 前言撤回……ああ、この日にソフトボール部があったらなぁ。


 そもそも、なんでサーバーがヤバくなったらみんな待機になるのか謎だったよなあ……。


初投稿です、初めまして。いかがだったでしょうか。(ズイブンオカシナカタチデオワッテマスガ)

まだまだ未熟ですが、生暖かい目で見守ってくれると嬉しいです。

作品の基盤は作ってあるので一定ペースで投稿できるとは思います。が、練り直しでプロットを粉砕しているので遅くなることも多いと思いますが、どうかご容赦を…。

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― 新着の感想 ―
[一言] ゆうみんさん、はじめまして。 新着の小説から参りました、とげりんと申します。 同じくなろうに小説を上げさせていただいています。 同じPC部をモデルにされていますね。なごむ空気といいますか、…
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