寝るよ。その1
*ランモたちの雑談パートです。読み飛ばしても、物語の進行に支障はありません。大体五百文字前後です。
もぞもぞもぞ。
静かな部屋。三つのおふとん。
今日もささやき声がする。
「……おい、ことーじ」
「……なに?」
「なんで今日に限って、オーミの……あの地獄の寝相がないんだ?」
「……たぶん、麻酔銃の、おかげ」
「今ごろ回り始めてきたのかよ……!? 寝る前までけらけら笑ってたくせに……」
「……ほんと、頭おかしい、耐性」
「マジで人間じゃねえよコイツ。見ろ、この寝顔」
「……のどちんこ、見えてら」
「これはまさしく化け物の証だな。普通の人間にはとてもじゃねいが、真似できん」
「……それは、ランモも、同じこと」
「え? なにがだよ」
「……わりと、彦坂との話聞いてた。切り返し、上手かった」
「いや、ありゃ俺が普通だからできたんだろ……」
「……で、どう思う」
「どう思うって、なにが」
「……ことーじは、わるいこ。イエス、おあ、ノー」
「イエス」
「……おー、まい、きゃっと」
「なあ、それ流行ってんのか?」
「……だったら、なんで、彦坂の話、断った?」
「いや、だってさ」
「……むぅ」
「結局、家に帰ったところで、寝るくらいしかできねえし」
「……なんか、もうちょい、こう、いい話を期待してた」
「んだよそりゃ……。んじゃ、こういえばいいわけか? ことーじのいない家よりも、ことーじのいる寒いバスの中の生活の方がいい」
「……まんぞく」
「どっちが年上だよ……。ほんと、寝てるだけじゃ、生きてけねえんだな……」