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一日の始まり

羽磨けいきと申します。

18時から23時まで、一時間ごとに1話ずつ、投稿していきます!

この話を見終えた方は、ぜひ19時の次の話を見ていってくださいね!


さて、今回の話は

主人公の自己紹介と、とある女天使さんが登場するお話となっています。

お楽しみに。


 カーテンの隙間から漏れる光が目覚ましとなり、目を覚ます。

 ゆっくりと身を起こし、目を開けると、視界が霞んでいた。

 ぼんやりと視界に映る自室を見つめながら、俺は見ていた夢を思い出す。いや、正確に言うと思い出そうとしている、だ。

 誰にでも経験があると思うが、夢を見たという実感があっても何を見たかというのは分からないことがあるだろう。


 俺はこのように時々、夢を見ては夢の内容を思い出せないという状況に毎回(おちい)っている。

 普通なら夢の内容なんて思い出せなくても構わないのだが、どうしてもこの夢の内容を知りたい。

 知らなければいけない気がしているのだ。

 それに――――


 ――――胸に残る喪失感と後悔。そして頬を伝う涙の理由を知りたい。

 

「ホント、分からないことばかりだな……」


 自分のことなのに分からないというもどかしさから嘆息しつつ、涙を袖で拭う。

 しばらくぼーっとした後、固まっている体と翼を思いっきり伸ばす。

 そして頭上でフワフワと浮かぶ金色の輪っかに触れる。


 俺の名前は天沢一矢(あまさわいっし)という。

 白髪の細身で身長は165㎝とあまり高くない。

 容姿は童顔という言葉がピッタリなほど幼い顔をしており、約100年前から天使をしている。

 なぜ俺がこうして金色の輪っかに触れているかというと、元々人間だったため、天使の輪や翼に違和感を感じていたからだ。

 まぁ、そんなことを言っても天使になった時に人間だった頃の記憶を消されているから、きっと微かに残っていた記憶が違和感を感じさせているのだろうと思う。自己紹介終わり。


 ふと現在の時間を確認する。

 時刻は朝の6時30分。

 おかしい。いつもならとっくにあいつが起こしに来る時間のはずなのだが、今日は来ていない。

 あいつに限って起こしに来ないなんてことは有り得ない。

 俺は周りを見渡すと、いた。

 灯台もと暗しとはこのことを言うのだろう。俺の隣で俺のベットで俺の毛布の中にいたのである。


「おはよう。目は覚めた?」


「……今、一気に覚めた。何でそんなところにいるんだよ」


「何でって……貴方のことが好きだからよ」


「お前に質問をした俺が馬鹿だった」


 目を覚ましてから二回目の溜息をする俺を見て、ウフフと上品に笑みを浮かべる。

 もっとも、していることは全く品がない。

 にもかかわらず、品があるように見えるのはこの女の容姿が飛び抜けて整っているからだろう。


「ん……んんぅっ……。 貴方を起こすつもりで来たのに、寝顔を見てたらなんだか私も眠たくなっちゃって」


 そう言いながら、彼女――ガブリエルは体を起こし、体を伸ばす。

 すると絹糸のように艶のある長くウェーブのかかった緑髪が揺れ、ただでさえ主張の強い二つの双丘が更に主張してくる。

 つまり、ガブリエルは容姿だけでなく、スタイルも良いのである。

 俺は思わずチラ見をしてしまい、慌てて目を逸らすが――――


「もうっ、エッチなんだから……」


 ニヤニヤとした笑みで、そしてどこか嬉しそうなガブリエル。

 なぜ嬉しそうなのかは面倒くさいので聞かない。

 それにここでツッコミを入れると間違いなく図に乗るので絶対に何も言わないと決め、立ち上がって仕事の準備を始める。


「フフッ……。やっぱり貴方は今日も可愛いわね。何も言わないのは私が調子に乗ると思ったからってとこかしら?」


「…………違う」


 とは言いつつも、完全に図星だったためその先の言葉が浮かばない。

 そんな様子を悟られないようにガブリエルに背を向け、洗面所で顔を洗い、身だしなみを整える。

 タオルで顔を拭き、髪型を整えるため机の上に置いておいた櫛に手を伸ばし、目線をそちらに向ける。

 するとそこには心底幸せそうな表情のガブリエルがいた。


「……ほんっと……可愛い♪」


「……っ! 人の行動を読んで先回りするな!」


 この女はいつもそうだ。

 ちょっかいを出しては俺の反応を見て楽しんでいる。

 俺は何度も抵抗はしているのだが、残念ながら全く勝てない。

 勝てたことなど一度もないのだ。

 なぜかというと、ガブリエルは理由は分からないのだが、俺の行動を完全に読むことができるからである。

 おかげでこのように沈黙し顔を背ける俺と、ご機嫌で鼻歌を歌っているガブリエルという図がいつも出来上がってしまうのだった。


「はぁ……。朝から体力を使わせるのはやめてくれ、ガブリエル。お前と話してると体力を削られるんだよ」


「あら、私はむしろ体力を回復しているわよ?」

 

 そう言って、ガブリエルはまた俺の反応を見てニヤニヤと悪い顔を浮かべている。


「お前、絶対に俺のことが嫌いだろ、そうなんだろ」


「いいえ、その逆よ? 私は貴方を世界一愛しているわ」


「……っ!?」


 臆面もなく答えるガブリエルに思わず、ドキッとしてしまう。突然のことでどう返したらいいのか分からず慌てていると――――


「……ご馳走様♪」


 そのニヤニヤとした顔にイラっとした俺は無視することにした。

 そうすればこれ以上、体力を削られることがないだろうと考えたからだ。

 俺は純白のローブへと着替え、鏡でもう一度身だしなみを確認する。

 すると鏡越しにガブリエルがこちらを見ているのが分かったが、目を合わさないようにする。

 だが、意図的に目を合わせないようにしているのがガブリエルには分かったのだろう。

 ガブリエルは表情を変え、心配そうにこちらを覗き込んでくる。


「もしかして、怒ってる?」


「……。」


 プイッと俺はガブリエルから顔を逸らし、無視をする。

 そして仕事場へ向かうため、部屋から出る。

 するとガブリエルが隣をピッタリと歩き、ずっと話しかけてくる。


「ねぇ、無視しないで?」


「…………」


「私だって女の子よ? 無視されたら悲しいわ……」


「………………」


 ――――むにゅ。


 突然、右腕に柔らかい二つの丸みを帯びたものが押し当てられる。

 俺は反射的にそちらを向いてしまうのだが、それが大失敗だった。

 ガブリエルはこちらに顔を寄せ、唐突に俺の唇を奪ってきたのだ。


「~~~~~~~~っ!? お、お前、何を!?」


「仲直りの、キスよ。これで許してくれる?」


 妖艶な笑みを浮かべるガブリエルにとうとう俺は両手を挙げ、抵抗を諦める。


「許す、許すから、もう勘弁してくれ……」


 一日が始まったばかりだというのに体力を削られた俺はガブリエルと共にトボトボと仕事場へと向かうのだった。


いかがだったでしょうか。

主人公で元人間の天使である『天沢一矢』と女天使『ガブリエル』。

二人は一体どのような関係なのでしょうか。

それはこれから先、明らかになっていきますので、気になった方は

これからもぜひご覧になってくださいね?


※本日19時に次の話を投稿いたします。

 

ブックマーク、評価、感想、レビュー等々。

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