第06話 別れは突然に ーSideルディー
フクロウのポポを活躍させたいな
ボワァァァァァン~~~ゴガッッゴギギギィーーー
バリバリバリバリガガガゴゴガゴドッゴンーーーーーー!!!!
「うぉおー ザザザァー ドスッン 痛っ、何です、毎回これですか、はぁ、テンション下げまくりです。梨里杏さんと引き離されてこの仕打ち… 」
大音量と共に激しく押し出されるように次元の裂け目から元の世界、それも辺りを見渡せば魔王を屠った地点から一切ずれることなく戻って来たようだ。
「元の場所のはず…… あの人達は何処に行きましたかね? 」
ルディは広域探査魔法を展開し辺りを伺うがカイト達が既にこの区域を後にしていることに気が付く。カイトにしては賢明な判断をしたようですね。しかし、異世界へ飛ばされたのはどうやら本当に私だけのようですね、これはやはり神のお導き、いえ、魔王のおかげですかね、皮肉なことです。
「グルルルルルルーーーガオオオォォォーーーキシャァァァァーーー 」
「おっと、魔物がまだ残っていましたか。ファイアーバースト」
まるで独り言の延長のように呟いた一言で辺りに残っていた魔物が断末魔と共に灰になって風に巻き上げられる。
実のところルディの魔力は勇者カイトが止めを刺した魔王よりも数段上だった、王宮筆頭賢者マーロンがルディを見出した幼子の頃から既に膨大な魔力を内包していて、間違った育て方をされていたらこの世界ごと消失してしまう危険さえ孕んだ特殊な存在だった。
そんなルディでも現状、梨里杏の元へ帰る方法が見当たらなかった。もっとも直ぐに行けるようならルディにとって次元など無に等しい事になり、それは神と=の存在になるということだ。さすがに生を受けて36年の修行中賢者に出来る筈もなく、まずは師匠の元へ帰ることからだと一旦気を引き締める。
「でも、今回はカイトに感謝ですね。戻ったらお礼、あっ、忘れていました。勇者帰還魔法陣の発動をしなければいけなかった、これが一番のお礼になるでしょう」
呟いたルディは王宮内にある自室に向けて空間転移魔法で移動していた。無詠唱で何気なく行使している魔法だが空間魔法をこれだけ自在に扱えるのは世界広しといえどルディと師匠の二人であった。
勇者帰還魔法陣は師匠であるマーロンのその師が1200年前に魔王を倒す為に異世界から一方的に召喚される勇者達が哀れだとの思いから創り上げた大魔法陣で画期的な魔法陣だったが、唯一の欠点が使う魔力量の多さだった。
召喚魔力が10なら帰還は10000と言う1000倍の魔力を消費し、普通の魔法使いなら召喚は千人程度の魔力量だが帰還は1000倍、簡単に発動は出来ず、帰還用魔力を千年かけて特殊な水晶に日々閉じ込めるのが王宮勤めの魔法使いの仕事の一つになっていた。
しかし、今回は魔王復活が100年程早く勇者を帰還させることが困難だったが、マーロンとルディがいれば、いや、はっきり言えばルディだけいれば水晶も無しで魔法陣を発動させることが可能だったのである。
「ふう、戻って来ました。やっぱり自分の部屋が一番落ち着く…そう思っていたのに胸にポッカリ穴が開いたような寂しく悲しい気分です。梨里杏さん、今どうしていらっしゃるでしょう。たった数時間の逢瀬、それがこれ程まで自身を縛り付けることになるとは信じられませんね」
再び異世界に意識が飛びそうになるが、何やら外が騒がしくなりドアが乱暴に叩かれる。それがパーティーメンバーだと気が付いていたが、しぶしぶドアを開け問いかける。
「いったい何事ですか、人がしんみりしているというのに、空気を読めない人たちですね」
「「「ルディ! 」」」
「戻ったのか! 」「「戻ったのね! 」」
「ええ、戻りたくはなかったですけど、カイトにお礼をしなければいけませんから」
「おっ、俺にお礼か?魔王倒したから帰してくれるってヤツだな。確かに待ってたぜ。でもな、急にいなくなったお前を心配していたのは本当だぞ、無事に戻ってくれて良かったよ」
「フッ、カイト、ありがとうございます。実は私も魔王の事だけを言っている訳ではないのです。前に貴方から聞いていた貴方の世界の話が大変役にたったのです」
「俺の話が?そうか、よく分からんが次元にのまれたからな、直ぐに戻ると思ったら五日も音沙汰無しで少し心配していたところだぜ」
ふむ、私が異世界に滞在した時間が約3時間弱とすると向こうでの1時間がこちらで二日くらいでしょうか。その間あちらの世界は何故か私と梨里杏さん以外の時間が止まっていた、そしてこちらでは私がいなくても時間が普通に進んでいたと…成る程、ならば私が梨里杏さんの世界で現状暮らすことは不可能、予測でしかないがまたその逆もしかりなのだろう。
もっとも世界で二人きりと言うのもかなり心惹かれる現象ですが、それはまたの機会に考察しましょう。まずはカイトがこちらにいる間に向こうの世界の情報収集が先決ですね。梨里杏さん、待っていて下さいね。私はどんな事があってもきっと貴方を迎えに行きます。固く誓うルディだった。




