第02話 ルディ・S・ブロワ
1話目がSide久城梨里杏編で2話目がSideルディ・S・ブロワ編です。3話目でがっぷり絡めたいな(エロじゃなく)
私の名前はルディ・S・ブロワ、エルオレラ王国の王宮筆頭賢者マーロン様の一番弟子であり、魔王討伐勇者パーティーで世界有数の若き賢者だと言われている。
若いと言ってもこの世界で一人前の大人と言われギルドに入れる年齢が15歳な事を考えれば36歳という年齢は一般人ならおっさん扱いされるところだが、そこは『賢者』である。あらゆる知識を有し魔法を扱い新魔法の創生すらやってのける。
もっとも師匠マーロン様にはまだまだヒヨコ扱いされることもしばしばで、己の力が未だ賢者としては未熟な事も承知している。言い訳になるが、師匠は既に人間の域を外れた存在であり私が生まれた時にも既に老人だった。それでも唯一師匠をも凌ぐ点があるとすれば莫大な魔力だろう。この魔力があったからこそマーロン様に引き取られ賢者として修業をすることになったのだ。
千年に一度復活する魔王、何故千年周期なのか疑問は尽きないが人類平和の為に討伐は必須だ。私の修行の為にも是非倒すべき相手だろう。それでも私は賢者で勇者ではない。魔王に止めを刺せるのは勇者だけだ。
エルオレラ王国で召喚された勇者と共に今世の魔王を倒すためにそれぞれ腕を磨き魔物や魔族を倒しながら旅を続け、十年の歳月を掛けて今、魔王城があるヘルサレ山脈にたどり着いた。
この十年が長かったのか短かったのか、誰一人パーティーメンバーが欠けることなくこの場に居ることの幸運とこれからの戦いに全てを掛け、勝利を手に入れるまで突き進む。
「行くぞっ!みんな気合を入れろよ!絶対死ぬんじゃねえぞ!」
「「「「「 はいっ!! 」」」」」
「勇者の貴方が一番心配ですよ、むやみに突っ込んでいかないで下さい。魔王を倒して異世界に戻るのでしょう? 」
「おうよ!俺の嫁と娘が待ってるからな!ここで負ける訳には絶対行かない」
「分かっていますよ。貴方が我が王国の姫様や隣国の皇女様、今まで旅を続けた先で出会ったどんな美姫にも一切振り向かず異世界に残した奥方をひたすら愛してやまないことはね」
「おうっ… なんだよ、照れるじゃないか、冷やかすなよ」
「今さら照れなくてもいいですよ。貴方を見てると結婚が良いことだと勘違いしそうですね」
「何言ってやがる、結婚はイイに決まってる。お前はまだ出会っていないのさ、運命の相手にな!がはははは! 」
「運命の相手ですか?私既に36歳なのですが?もっとも嫁はいませんがそれを補って有り余る女性達はおりますがね。フフフッ」
「ああ、ああ、そうでした!あまりに相手が多くて選べない、一人に決めたら他の女性が可愛そう、だったか? 」
「まあ、そうですね、当たらずとも遠からずです」
「ほらっ!あんたたちいい加減にバカなこと言ってないで行くよ」
「油断していると怪我をしますよ。無駄な怪我に聖女のヒールは使えませんからね」
同じパーティーメンバーで斥候役ハーフエルフのロビンと王国聖教会聖女のフローラから苦言を呈される。
既に目の前には魔族や魔物がひしめいている。
「がはははは!俺は自分じゃ怪我は治せないから聖女セーラには逆らわないぞ」
「そうですね、それは怖いですね。皆さん十分気を付けると致しましょう」
「ほほ、賢者様冗談が過ぎますわ、賢者様はご自分で回復出来るじゃありませんか」
「フフ、それはそれです。誰が魔力を枯渇するか分かりませんから、用心です。さぁ、そろそろお迎えが来たようです!『ヘルファイヤー』 ドゴォ~ン!ドゴォ~ン!ドゴォ~ン!!」
「がはははは!激しい開戦の狼煙だな!うちの賢者殿は容赦がない」
そして始まる魔王との闘い、一進一退を繰り返しながらも勇者カイトを中心に魔王を追い詰めていく。響き渡る爆音に剣を交える鋭い音と風圧の応酬。後方支援の聖女達に防御シールドを施し、勇者への攻撃支援を行う。
「『サンダーバースト』『フレイムバースト』カイトっ!今だっ、止めを刺せ!!」
「おおおおおおっ!これで終わりだああああああああああぁぁぁ!」
勇者カイトが聖剣を魔王に振り落とし、魔王の心臓に止めの一撃を加え断末魔の叫びと共に勝利を治めた刹那、死に瀕した魔王の最後の足掻きで繰り出された闇魔法は爆音と共に次元空間に一時的に歪みと亀裂を発生させ、運悪く賢者ルディだけが亀裂に飲み込まれてしまった。
「ルディーーーーーー!!!!」
「「「「「賢者様ぁーーーー!」」」」」
「次元に飲み込まれてしまいましたわ…… 」
「ルディー、賢者のくせに詰めが甘いわね、だからマーロン様に小言を言われるのよ」
「お前ら・・・さすがにルディが哀れだぞ」
「カイト大丈夫よ。だってあのルディだよ?殺されても絶対死なないって評判の賢者ルディだよ? 」
「そうですわ、多分直ぐに戻って来ますわよ。これがカイト様なら無理でしょうけれど」
「・・・お前らひど過ぎだぞ!まあそうだよな。ルディだしな。取りあえず王国に戻るか」
「そうですわね、賢者様が戻られないと勇者様もお国へお戻りになれませんものね」
「そうなんだよ、マーロン様一人だと魔力が足りないって話だったし、異世界に帰るにはどうしてもルディの魔力が必要だからな。みんな!一旦引き上げるぞ! 」
「「「「「はいっ! 」」」」」
魔王を倒した勇者一行は、賢者であるルディが戻ることを少しも疑っていなかった。実際直ぐに帰ってこれるはずだったのだが、次元の亀裂の先で運命の出会いを果たすことになる賢者ルディは勇者カイトとその一行をかなりヤキモキと心配させる事態になる。そしてまたもや冒頭のセリフに繋がる。
『それはまさに運命の出会いだった。言い尽くされた感が半端ない陳腐な言い回しだとしても、二人、目と目が合った瞬間に恋に落ちた。どんな困難が待ち構えていたとしても今この瞬間二人を引き離す事など誰も出来はしない』




