魂の奪還
「取り敢えず必要な処置は終わったか!?」
朱紅からの呼び掛けに璃央は気を失った柚から目を離し顔を上げた。
「..ああ!そっちも準備は出来てるみたいだな。」
そう応えた璃央の喉元には黒紫色の痣のようなものが現れていた。
朱紅はそれを見て、璃央の準備が確かに出来ていることを確認した。
「あったり前だ!やるぞ!」
朱紅が一度大きく例の妖怪を凪ぎはらうと、それは飛ばされた先に生えていた木に強く叩きつけられた。
呻いて、動けない様子を確認した璃央は急いでそちら経向かい走る。
懐から瓢箪を取りだした璃央は、もう片方の手を例の妖怪に向かって大きく広げた。
「柚の魂を返してもらうぞ!」
璃央の手が妖怪にふれると強い光が周囲を包んだ。
瓢箪には淡く光る何かが吸い込まれていく。
しかし、妖怪は体の自由を取り戻し璃央に襲いかかる。
「っくそ!」
「璃央!それが限界だ!諦めろ!」
「駄目だ!まだ十分じゃない!このまま戻す訳には..」
「落ちつけ!これ以上は柚の命が持たねえ!」
「っ!分かった..だが、この妖怪は生かしてくれ!」
「はっ、随分難しい要望しやがる。だが、まぁやってやるよ!」
朱紅は璃央に代わるように妖怪と対峙した。
璃央はすぐに柚に駆け寄り、瓢箪の中身をその口に含み、柚の喉元へと再び口を近づけた。
詳しい説明は次話にてさせていただきます。