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空と僕と影法師

作者: 沙梨亜
掲載日:2017/10/13


日没を告げる赤蜻蛉(とんぼ)


クラブハウスの明かりが消える


細く背の高い影法師


黙って隠れていても分かる


なにが?って決まっているじゃないか


変わらないなぁ


いま此処に君がいる





理想郷目指す訓練生(アプレンティス)


橙色に染まるセスナ


古き()き僕らの相棒は


明日も誰かに翼を授け


道なき未知を(ひら)くだろう





覚えているかい?影法師


二つの躰を乗せた機体は


この滑走路を駆け抜けて


やがて少しずつ


でも確実に


空へ舞い上がった





暮れゆく空を仰いでいたら


君の言葉を思い出した





空は危険な場所ではない


慣れないからそう思うだけ


行く手を遮るものもないし


陸より遥かに自由じゃないか


人としてこの世に生を()


何よりも酷な運命は


この広い空を眺めるだけで


自力で飛べないことだろう





人の世の中は生き辛く


つまらないことが多過ぎて


僕は君に別れを告げた


君には本物の鳥になって


悠々飛んでてほしかった





泣いているのかい?影法師


また今度生まれ変わるときには


いまより自由な羽を広げ


共に大空を駆け巡ろう





さあ行こうか 影法師


小さな羽ではばたこう


夕焼けが沈むその前に




夕焼けこやけの赤蜻蛉。

まえより少し、セスナくんに近づいた。

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