犬との暮らし 二
ポンはよっぽど楽しかったのか、家に帰ってもぴょんぴょんしていた。
次の日のこと、朝起きると外から音がした。
外にでてみるとお父さんが何か作っている。
「お父さん、なに作ってるの?」僕は聞いた。
すると、お父さんは僕の頭に手を置き、「作ってからのお楽しみだ。おまえも手伝ってくれるか?」と聞いてきた。
もちろん僕も手伝った。
お父さんは「大人になったらこういう仕事をしてほしいもんだ」と、言われ、僕は笑いながら、作業を進めた。
できあがった物は、犬と人が入れる位の高床式のウッドハウスだった。
お父さんは、「俺は、この中に入れるポン用のクッション買ってくるからおまえはポンだっこして、試しに入っといて」と言われた。僕はポンをだっこしながらウッドハウスに入ってみた。
思ったよりも、中は広くて、おちつけるスペースだった。
ポンを膝の上からおろしてみても、ポンはきつくなさそうにしていた。
しばらくすると、お父さんが帰ってきた。
透明なビニール袋の中を見ると、真っ白なフワフワしてそうな、犬用のクッションが入っていた。
ポンは木でできたスロープから地面におりた。僕もウッドハウスから出た。
お父さんはウッドハウスの中のすみにクッションを置いた。
ポンはすぐに、スロープを上がり、クッションの上でのんびりしだした。
こういうポンの姿を見ていると、なんだか和む。
お父さんさんは、「ちょうどぴったりおさまってるな」と言って笑っていた。
お母さんも姉と一緒に家の中から出てきて、うんうんとうなずきながら、笑顔を見せた。
休日が終わり、学校に行く途中、子犬の鳴き声がした。
かなり弱っている声だ。
だが、その前に学校に行かなくてはならない。
さらにわざわざ、家に連れて帰ったところでお母さんは
こう返してくるだろう。
「そんなに犬は飼えない。あんたポンの世話は誰がするんだったっけ?ポン飼う前、世話は自分でするとか言ってたけど」とか、
言うだろう。
色々考えながら、歩いている内に学校についた。
今日の五六時間目には、命に関する授業がある。
一二三四時間目は、ボーッとしている間に、過ぎてゆき、給食も
昼休みも誰とも話さずに終わり、五六時間目に入った。
意見を言う時間、先生に当てられた。「命とはどのような物ものですか?」と言われ、僕はこう答えた。
「命とは、人間、動物、植物にあるもので、時が過ぎるにつれて、だんだんとなくなっていくものだと思います」そう言い終えると、僕は床に座った。
「そうですね。命というのは、寿命や事故、病気などによってなくなってしまいます」先生は僕の言ったことも少し含めて命に
ついて説明した。五六時間目もあっという間に終わり、下校時間になった。帰る途中、まだ子犬の声がしていた。建物と建物の間の隙間は子供一人が簡単に入れる位の幅があったので、僕は入ってみることにした。
箱の近くまで来て、僕は箱の中をのぞきこんだ。
箱の中にはピンクマットがあって、その上にまだ生後、二ヶ月程の子犬が横たわり、荒い息をしている。
ぼくは先生の「命は寿命や事故、病気によってなくなってしまいます」という言葉が頭にうかんだ。
僕は急いで子犬を箱の中から抱き上げて、家へと向かった。
家に着くと、玄関の戸を強く叩き、自分が焦っていることを
知らせた。
お母さんは戸を開けた瞬間、びっくりしていた。
「早く動物病院に行かないと!車じゃなくて歩いてくよ!子犬だから車じゃ、ストレス与えちゃう」お母さんはそう言って、動物病院へと走った。
僕もその後を追って、子犬を抱え走った。
動物病院に着き、中へ入ると、幸い人はまったくいなかった。
受付の人に事情を話し、診察室へ行った。
「捨てられていたということですが、命に別状はないようです」
僕は安心した。
お母さんも安心している様子だった。
そこで、院長先生が子犬を渡し、聞いてきた。
「その捨てられていた子犬は飼うのですか?」
「はい」お母さんは、すぐに返事をした。
僕はポンも飼っていたけど、もう一匹飼えることになってうれしかった。
「その子犬が健康に成長してくれるといいですね」と院長先生は
言って、診察室の奥へと、行ってしまった。
「ありがとうございました」と言って、僕はお母さんと診察室を
出た。
家に帰ると、子犬に名前をつけることにした。
だけど、名前をつけるのは僕ではなくて、お母さんがつけた。
名前は、「ショコラ」という名前になった。
理由は、「ダックス・フントで茶色かったから」とお母さんに
教えてもらった。
ちなみに、性別はポンと同じオス。
ポンもショコラを自分の子のように、かわいがっていた。
次の日、なぜかショコラが弱っていた。
考えてみると、ショコラはまだ生後二ヶ月だ。
「ミルクを与えてあげていない」
それが原因だろう。
僕は、ポンも心配しているのに気づき、すぐに冷蔵庫に入って
いた牛乳をショコラのもとへ持っていった。
だが、ショコラの水の入れ物がない。
急いで、小さな茶碗を用意し、牛乳をそそいだ。
お母さんも朝から「ドタドタ」と音がするので、「もう、静かにして!」と言ってきた。
「今それどころじゃないの!」僕も負けじと大きな声で返した。
ミルクの入った茶碗をショコラの口もとへと、運んだ。
五分後、すっかりショコラも体力を取り戻し、ポンに遊んで
もらっていた。
どうでしたか?
今回は捨て犬を拾いました。
僕が拾っていなかったら、ショコラは死んでしまっていたでしょう。
この小説を読んでいる、みなさんも拾ってあげてください。
この小説を読んでいただきありがとうございました。