無表情
死んだ声で歌う「ありがとう」
無表情で泣く「ごめんなさい」
何時からだ?
人に心を見せなくなったのは
信じれば裏切られる――ならば信じない
愛すれば捨てられる――ならば愛など要らない
痛みを知らない奴等には理解できない
僕の感情
笑顔?そんなもの忘れた
何時からだ?笑えなくなったのは
仮面の下の無表情が
今の僕だけど
頭の悪い僕には理解できない
流行の歌 全部同じに聞こえる
「愛」だの「夢」だの鬱陶しい
借り物の感情で生きていく
人から人へ 繋いでいく手
僕はそれを見ているだけ
汚らわしい手で僕に触れるな
さらに汚したくなければ
吐き気を催す醜悪な肉体と
終わり無き絶望を描き続ける頭脳
瞳は濁って何も見えない
都合の悪いことだけ聞こえる耳
生きていくのも辛いが死にたいわけでもない
ただ、早く終わりたい
描き続ける絶望がパノラマ島のように
美しく穢れたまま
シュレーディンガーの猫だ
今の僕は
観測者によって生かされている
観測者がいなければ 生きても死んでもいない
裏切られるのを恐れて
独りでいるのが長すぎたから
他人の心がわからない
螺旋階段を下りて闇に飲まれる
見下す人を見て軽蔑する人を見る
だから僕は見下すんだ
生きている意味なんて無い、と
ただ、死んでないだけ
僕の前から消えてくれ
独りが辛いんだ
最初から誰もいなければ
涙を落とす意味が無くなる