インド洋海戦
「水偵から入電、敵艦隊が混乱しているのを確認しました」
「やったか...」
再び水偵から入電する、
南の北上大井の酸素魚雷の命中を確認したという、
さらにそこに航空魚雷がねじ込まれ英艦隊は泣きっ面に蜂状態だった、
「もうすぐ射程圏内か、回頭が終了しだい砲撃開始」
「しかし、敵ながら天晴れですね」
北から敵艦隊に突撃していく巡洋艦たちを横目に土佐の艦橋は一種の緊張感から解かれていた、
なにしろ相手の巡戦の照準がいまやぐちゃぐちゃだからだ、
まぐれでもなければ当たることは無いだろうと誰もが予想していたし、
水上機が同時に爆撃をかけているわけでもはやこちらにかまっている余裕は無かった、
「水偵からの敵艦の位置を確認しろ、初弾命中を目標に」
「了解しました、砲術長聞いての通りだ、普段の鬱憤を初弾命中として叩き込んでもかまわないぞ」
『そりゃありがてぇ話だな、遠慮なく行かせてもらうぜ』
やがて砲塔がゆっくりとその鎌首を持ち上げつつ旋回を始めた、
苛立つほどに遅く、
伝声管が震えるほど艦内はさまざまな命令が飛び交っていた、
「試し撃ち方用意、」
『試し撃ち方用意!!!』
ひとつの砲塔についている二門の砲門のうち一門がさらに角度をつけた、
相互射撃が始まろうとしていた、
「第一射、ッテェ!!」
艦橋内や艦全体が一瞬だけ真っ白に染まる、
続いて赤い火炎がその砲身から飛び出す、
「正面場か」
そうつぶやいた直後、
落下音とともに艦がすさまじい衝撃に襲われた




