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僕はメデル〜" "にはなりません〜  作者: はるかかなえ


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70/71

70旅―冒険者(シンノ国)50

神の域

光の回廊は、七色の輝きを帯びて森の奥へと伸びていた。

その道は、現実と夢の境界を溶かすように揺らぎ、足を踏み入れた瞬間、音が消えた。

鳥の歌も、風の囁きも、遠ざかっていく。

代わりに、低く澄んだ響きが空間を満たした…精霊たちの歌声だ。

だが、それも次第に薄れ、三人の鼓動だけが耳に残る。

メデルは金色の髪を揺らし、深く息を吸った。

「……ここから先は、別の世界みたい。」

ブランデットが弟の手を握り、静かに頷く。

「怖いか?」

「……少し。でも、行かなきゃ。」

ヴェルメールが剣を抜き、前を見据える。

「私が先を歩く。何があっても守るよ。」

その時、背中の卵が微かに光を放った。

ブランデットの肩越しに、声が響く。

『……ここは、懐かしい匂いがする。』

メデルが目を見開く。

「……翠龍様が……話してる?」

ブランデットは驚きながらも、背に意識を向ける。

「聞こえる……翠龍様の声だよね?念話じゃなく声が聞こえている?」

『そう。私は翠龍の記憶を宿すもの。……試練は、私の未来でもある。』

その声は幼く、しかし深い理を含んでいた。

メデルは胸の奥で呟く。

「……一緒に乗り越えよう。」

卵は静かに光を揺らし、答えた。

『絆を示せ。私も見届ける。』

回廊を進むごとに、景色は変わった。

足元は水鏡のように輝き、歩くたびに波紋が広がる。

その波紋は光の輪となり、宙に舞い上がり、星々と絡み合った。

世界樹の根が空に浮かび、枝葉は夜空を覆う星と溶け合い、時の輪が静かに回っている。

重力の感覚が薄れ、三人はまるで空を歩いているようだった。

そして、翠色の光が、霧の奥で揺れた。

風が頬を撫で、冷たい水音が響き、炎の花が遠くで瞬いた。

そのすべてが一つに溶け、巨大な影が姿を現す。

翠龍だ。

完全な姿ではない。

鱗片が光の粒となって漂い、尾の影が霧を裂き、瞳だけが深い翠を宿して三人を見つめていた。

声が響く。

『来たか、選ばれし者たち。』

その声は低く、しかし澄んだ水のように心に染み渡る。

メデルは息を呑み、胸の奥で答えた。

「翠龍様……僕たち、理を守りに来ました。」

翠龍の瞳が細められ、光が揺れる。

『理を守る覚悟はあるか。絆とは何か、答えられるか。』

ブランデットが一歩前に出る。

「絆は……血だけじゃない。心を重ねることだ。僕たちは、それでここまで来た。」

その瞬間、背の卵が強く光り、声を重ねる。

『心を重ねる……それが、私を生かす理。忘れるな。』

七色の光が乱れ、世界樹の枝葉が震える。

翠龍の声が低く響いた。

『結界を編め。言葉で理を呼び、絆で世界を繋げ。』

メデルが一歩前に出る。

黒の魔力が彼の周囲に広がり、深い夜空のように輝く。

その唇が、静かに祈りを紡いだ。

「天と地の祈りよ、なにものにも染まらぬ強き魔力よ。風の地を癒やし魂の記憶、輪廻の環を超えて、谷の風より響く声。神気を宿し賜う貴方、我は願う。天地を貫き、森羅万象に働くこの『黒の祈り』を。」

黒の光が世界樹の根を包み、影が静かに整えられる。

続いて、ブランデットが青白の光を呼び、声を重ねる。

「天と地の祈りよ、なにものにも染まらぬ強き魔力よ。風の地を癒やし魂の記憶、輪廻の環を超えて、谷の風より響く声。神気を宿し賜う貴方、我は願う。天地を貫き、森羅万象に働くこの『青の祈り』を。」

青白の光が風を揺らし、水鏡に波紋を広げる。

最後に、ヴェルメールが剣を掲げ、白の輝きを放つ。

「天と地の祈りよ、なにものにも染まらぬ強き魔力よ。風の地を癒やし魂の記憶、輪廻の環を超えて、谷の風より響く声。神気を宿し賜う貴方、我は願う。天地を貫き、森羅万象に働くこの『白の祈り』を。」

白の光が炎と土を抱き、時の輪を静かに回す。

その瞬間、背の卵が強く輝き、声を響かせた。

『三つの祈り、三つの絆。私は見届ける。未来は、この光に宿る。』

七精霊王の声が重なり、神域全体が震えた。

『風は歌い、土は抱き、水は命を注ぎ、火は希望を灯す。

闇は影を整え、光は輝きを重ね、時は輪を描く。』

三人の祈りが結界を編み、七色の糸が宙を舞う。

それは世界樹の根と枝を結び、星々と絡み、森羅万象を抱きしめた。

崩れかけた空間が静かに安定を取り戻し、神域は再び調和の光に包まれる。

翠龍の瞳が細められ、深い声が響く。

『よくやった。絆は示された。理は繋がった。』

卵が最後の言葉を告げる。

『ありがとう。私は、この祈りを忘れない。』

三人は肩で息をしながら、光に包まれた神域を見渡した。

その光景は、戦いではなく、創造の力が紡いだ奇跡だった。

翠龍の声が再び響く。

『試練は終わった。だが、旅は続く。次なる理は、森の奥に待つ。』

結界が完成し、七色の光が神域を包む中、ブランデットは静かに息を吐いた。

肩に背負った卵の温もりを感じながら、ふと自分の手を見つめる。

青白の光が指先に揺れ、心に小さな違和感が走った。

「……カーロが僕の中に居なくなったから……」

その言葉は誰に向けるでもなく、低く漏れた。

「青魔法の方が出しやすい?……でも、白魔法も使える……」

ブランデットは首を傾げ、考え込む。

かつてカーロと共鳴していた時、魔力は複雑に絡み合い、時に制御が難しかった。

今は、青の流れが澄んでいる。

だが、白の輝きもまだ胸の奥に残っていた。

メデルが振り返り、微笑む。

「……大丈夫、お兄様。お兄様の力は、お兄様自身のものです。」

その言葉に、ブランデットは小さく頷いた。

「……そうだね。僕は僕だ。」

「うん!僕も僕!メデル!」

ヴェルメールは微笑み伝える。

「ブランデットもメデルも私の可愛い弟だ!」

ブランデットとメデルは声を合わせて答えた。

「「可愛いは駄目!!格好良いが良いです」」

ヴェルメールは驚き笑う。

卵が静かに光を揺らし、声を響かせる。

『その混ざりも、絆の証。理は混ざり、強さを生む。』

ブランデットは深く息を吸い、再び前を見据えた。

「……行こう。まだ終わりじゃない。」


森の奥に向かって歩いていると、霧が晴れ、開けた広場が姿を現した。

広場は静寂に包まれ、中央には世界樹の枝葉で編まれた巨大な門、神の域門がそびえている。

七色の光が脈打ち、門は生きているかのように低く唸っていた。

翠龍の声が風に溶けて響く。

『門を開くには、竜の力を呼べ。理を繋ぐ魔力を注げ。』

メデルが深く息を吸い、両手を広げる。

「……来てお願い! 水青竜様、火竜様、風白竜様、光銀竜様、大地竜様!」

その瞬間、広場を包む空気が震えた。

水の匂い、炎の熱、風の唄、光の輝き、大地の鼓動――五つの理が重なり、天空が裂ける。

最初に降り立ったのは、水青竜。

深い蒼の鱗が光を宿し、翼から滴る水が地面に透明な花を咲かせる。

『……呼ばれし者よ、我が水を捧ぐ。』

次に、炎を纏う火竜が舞い降りる。

赤金の鱗が燃え、吐息が炎の花を咲かせ、熱風が広場を包む。

『私、理を守るためなら、この炎を惜しまないよ。』

風白竜が空を裂き、白銀の翼で霧を吹き飛ばす。

その声は古き風の調べを奏で、低く響いた。

『……風は歌う。絆を試す時なのじゃ。』

光銀竜が降り注ぐ光と共に現れ、鱗が鏡のように輝く。

『ついたの? 光は理を映す。お前たちの祈りを見届けよう。…怪我無い?』

最後に、大地竜が地を揺らし、岩の柱を立ち上げながら姿を現す。

『……大地は抱く。結界を支える礎となりましょう。』

五竜が門を囲み、同時に咆哮を放った。

その声は天地を震わせ、七色の紋様が門に浮かび上がる。

竜たちの魔力が流れ込み、門は低く唸り、光の回廊が再び現れた。

卵が強く輝き、声を響かせる。

『……この力、この絆。私は、還る……』

翠龍の声が重なる。

『その命は、理の証。守り抜け。』

三人は互いに視線を交わし、光の回廊へと足を踏み入れた。

その背で、卵が静かに脈打っていた、命の鼓動を刻むように。


光の回廊を抜けた瞬間、三人と卵の前に広がったのは、言葉を失うほど幻想的な世界だった。

精霊の森の奥、神の域――そこは、時の流れさえ異なる場所。

木々は天へと伸び、葉は七色の光を宿し、風は静かに歌っている。

その間に、岩でできた家々が並んでいた。

ただの岩ではない。緑の光を帯び、精霊の紋様が刻まれた神秘の住まい。

水の流れが家々の間を巡り、花々が宙に浮かび、香りが甘く漂う。

精霊たちが光の粒となって舞い、静かに見守っていた。

広場の奥、世界樹の根が絡む場所に、光が集まっていた。

その中心に――神真のお姿。

だが、その姿は光に包まれ、目に映らない。

ただ、圧倒的な気配だけが、三人の心を震わせる。

やがて、光が揺れ、星々が集まるように人の形を取った。

神は静かに歩み寄り、その声は風と水と光を重ねた調べのように響いた。

――『よく来た、選ばれし者たち。』

メデルが息を呑む。

「……神真様……」

神は微笑み、視線を卵に落とした。

――『その命を返すのだな。グリーンドラゴン――聖獣の卵。』

ブランデットが背の卵を抱え前に出し、深く頭を垂れる。

「はい……まだ産まれていませんが、此方に……」

卵が淡く光り、声を響かせる。

『私は、もうすぐ……』

その時、神の声が重なった。

『絆を示したお前たちに、加護を授けよう。』

光が三人を包み、体が熱を帯びる。

次の瞬間、変化が始まった。

ブランデットの髪が青白に染まり、瞳は金に輝く。

魔力が波のように溢れ、身長が伸び、体はしなやかで力強く変わる。

「……これが……僕の覚醒……」

ヴェルメールの髪は白銀に変わり、瞳は金の光を宿す。

その背に、銀の翼の幻影が一瞬揺れた。

「……力が……溢れる……」

メデルの髪は銀に染まり、瞳は金と銀の二色に輝く。

その姿は、まるで神の光を映したかのようだった。

神の声が静かに響く。

『メデル……お前は、此方に――神にならぬか。』

その言葉に、ヴェルメールとブランデットが同時に動いた。

「待ってください!」

二人は慌ててメデルを抱きかかえる。

「メデルは僕たちの弟だ!」

「其方には行かせません!」

メデルは静かに首を振り、神を見上げた。

「……僕は神にはなりません。僕は、僕のままでいたい。」

神は微笑み、頷いた。

『そうか……なら、それでよい。お前の選択が、理を守る。』

光が静かに収まり、三人は新たな力を宿して立っていた。

その手には、精霊王の紋章が淡く輝いていた。

神の声が最後に告げる。

『メデル、その魔力は魅力的だ……人間のまま暮らすには……いや、君たちがいるな。ならば、またおいで。旅は続く――家族のもとまで。森の外に待つ仲間と共に。……絆を抱いて進みなさい。』

卵が淡く光り、声を響かせる。

『ありがとう……楽しかったよ。』

三人は互いに視線を交わし、静かに頷いた。

旅は、まだ終わらない。


神域の奥で三人が覚醒を果たしたその頃、森の広場では仲間たちが静かに待っていた。

風が柔らかく頬を撫で、木々の間に七色の光が揺れる。

ルククが不安そうに空を見上げる。

「……メデルたち、まだかな……」

マルコが肩をすくめ、風を感じながら呟いた。

「無事だと信じるしかないな。」

その瞬間、空気が震え澄みきった透明な光が広場を包み、神真様の声が響く。

――『絆を示した者たちよ、そなたらにも加護を授けよう。』

光が降り注ぎ、仲間たちの体を包む。

精霊たちが舞い、加護の力が一人ひとりに宿っていく。

ルクク炎の花が宙に咲き、ルククの髪が赤金に輝いた。

「え?何?何?わっ……熱くないけど、すごい!」

火の紋章が手に浮かび、炎の精霊が笑う。

――『その炎、守りと希望のために使え。』

マルコ風が渦を巻き、マルコの背に白い羽の幻影が揺れる。

「……これ、走ったら飛べそうだな!」

風の紋章が刻まれ、速度と跳躍が増す。

――『風は自由を与える。絆を運べ。』

フーマ銀毛がさらに輝き、獣の力が増す。

「……悪くないな。」

土と風の精霊が彼に力を重ねる。

――『その牙、その爪、守るために。』

ケルビス足元に大地の紋様が広がり、力強さが増す。

「……これで、もっと守れる。」

土精霊が低く唸り、加護を授ける。

ケルメデスアール光が彼を包み、神真様の静かな声が響く。

――『寿命を息子に分けるのか?子に会った時手を握り祈れ』

ケルメデスアールは目を閉じ、深く息を吐いた。

「……出来るなら、そうしたい。ありがとうございます。」

光の紋章が彼の手に刻まれる。

ハクリス炎と土の力が重なり、剣を握る手に紋章が浮かぶ。

「……これで、もっと戦える!」

ミディットレース白い光が彼を包み、癒しの力が増す。

「……僕も役に立てる!」

コクベック銀の光が彼の肩に降り、剣に紋章が刻まれる。

「……まだ戦えるな。」

コルベック光が彼を包み、手に紋章が刻まれしなやかで美しい容姿に変わる。

「……え、私は……若返ったのか?」

マルベック炎と土の力が重なり、彼の腕に紋章が浮かぶ。

「……これで伴侶が見つかれば完璧だな!」

キル光が彼に触れた瞬間、神真様が告げる。

――『加護を受ければ寿命が延びるが…どうする?…。』

キルは静かに首を振った。

「……。もう良いです。俺はここで見守る。ありがとうございます。」

仲間たちが笑い声を上げる。

「お父様、かっこいい!」

「えっ、俺も!?」「髪が光って伸びてる!」「お父様達、若返りすぎ!」「背が伸びている!」

笑い声と驚きが広場に広がる。

だが、その目には確かな決意が宿っていた。

最後に、全員の手に「絆の紋章」が淡く輝く。

神真様の声が響く。

『絆は広がり、理を支える。ありがとう導きの者達を…。』

仲間たちは互いに視線を交わし、笑みを浮かべた。

合流の祝福

七色の光が広場を満たし、精霊たちの歌声が風に乗って響いていた。

その中に、光の回廊から三つの影が現れる。

メデル、ブランデット、ヴェルメール…そして背に抱かれた淡い光はもうない。

「……メデル!」

最初に駆け寄ったのはルククだった。加護で少し背が伸びたが、まだ小さな体で全力疾走し、メデルに飛びつく。

「うわっ……ルクク!」

メデルは笑いながら抱きとめる。

「無事でよかった!」

……本当に、帰ってこられたんだ。カーロを還して、僕はまだ僕でいられた。けれど……この髪、この瞳……僕はもう、前の僕じゃない。……みんなが笑ってる。それだけで、大丈夫…。

ルククは涙目で叫ぶ。

「髪が銀色!? 目がキラキラしてる! メデル、精霊になったの!?」

「ならないよ!」

メデルは慌てて否定し、ブランデットが苦笑する。

……カーロがいない胸が、少し寂しい。でも、軽くなった気もする。僕は僕で、これから歩いていける。……メデルが笑ってる。それだけで、僕は強くなれる。あの儀式で、僕は“守る”って決めたんだ。どんなに変わっても、メデルを守る。それが僕の道だ…。

次にマルコが風を纏って駆け寄り、ブランデットの肩を叩く。

「お前も、髪……青白!? 身長も伸びてるじゃないか!お前達めちゃくちゃ可愛いぞ!!」

ブランデットは照れくさそうに笑う。

「……ちょっと、変わったみたい。」

「ちょっとどころじゃない!」

マルコが大声で笑い、ルククも「かっこいい!」と目を輝かせる。

ヴェルメールの姿を見た瞬間、ハクリスとミディットレースが目を丸くした。

「兄上……髪が銀!? 背も……でかっ!」

ヴェルメールは苦笑しながら二人を抱き寄せる。

「驚かせたな。でも、俺は俺だ。」

……私は兄として、もっと強くならなきゃと思っていた。あの儀式で、力を授かった。でも、それ以上に……弟たちが笑っている。それが私の力だ。守るために、私はこの加護を使う。絶対に、失わせない…。

ハクリスがぽつり。

「兄上、なんか……王子様みたい。」

「やめろ!」

ヴェルメールが赤面し、仲間たちが笑い声を上げる。

その時、広場全体が再び光に包まれた。

精霊王たちが現れ、声を重ねる。

――『絆は広がり、理を支える。我らもそなたら全員に祝福を授けよう。』

七色の光が仲間たちを包み、加護の力が宿る。

ルククの髪が炎のように輝き、マルコの背に風の羽が揺れる。

フーマの銀毛がさらに光り、ケルビスの足元に大地の紋様が広がる。

……この力、懐かしい匂いがする。俺が若かった頃、群れを守るために戦った時の感覚だ。だが今は、群れじゃない。俺が守るのは、この小さな人間たちだ。メデル、ブランデット……お前たちはまだ幼い。だが、その心は俺より強い。だから俺は、命を賭けても守る。銀狼の誓いだ。……この旅が終わるまで、いや、終わっても。俺はお前たちの影になる…。

ケルメデスアールの足元にも緑の光が広がり、彼は静かに目を閉じる。

ケルメデスアールの足元にも大地の紋様緑色に光り広がりる。

コクベックはしなやかで美しい容姿に変わり、仲間たちが「若返った!?」と笑い声を上げる。

コルベックも同じく若返り、マルベックが爆笑。

「ハハ、モテ期再来だな!コルは良かったなベルが喜ぶぞ!(・∀・)ニヤニヤ」

「なっ!伯父様!」

コルベックが真っ赤になり、広場に笑い声が響く。

キルは静かに首を振り、小さな声で加護を断った。

「……すまぬ…神にも断ったのだが…もう長く生きた。俺はここで見守るよ。」

ルククが小声で「キルさん、渋い……」と呟き、キルは苦笑した。

笑いと驚きが広場に広がる中、メデルが仲間たちを見渡し、深く息を吸った。

「……みんな、ありがとう。僕たちは、まだ旅が続きます。聖竜様たちの住処を癒しながら帰ります!」

その言葉に、全員が手を重ね、絆の紋章が淡く輝いた。

精霊王の声が最後に響く。

――『絆を抱いて進め。理はそなたらと共にある。』

広場に笑顔と光が満ち、旅立ちの決意が固まった。


その時、コルベックが静かに言った。

「……我らは移転で王都へ戻る。だが、必ずまた会おう。」

コクベックが苦笑しながら髪を撫でる。

「若返った姿で帰るの、ちょっと恥ずかしいな……マルタが怒りそうだ(笑)」

マルベックが爆笑。

「ハハ、8人目誕生か(笑)熱々だな!」

「やめろ!」

コクベックが真っ赤になり、仲間たちが笑い声を上げる。

移転陣が光り、家族の姿が淡く揺れる。

「気をつけてな!」

「必ず帰ってこい!」

光が弾け、彼らは王都へと消えていった。

そういえば…っと、ルククが首をかしげる。

「ねえ、卵は?一緒じゃないの?」

メデルは静かに微笑んだ。

「……神様に返して来た。ここで育つ方がいいから。」

ルククは涙目で叫ぶ。

「ええっ!?孵化したら呼んでね!」

「大丈夫だよ。呼んでくれるって言ってたからルククも呼ぶよ約束する。」

メデルが笑い、ブランデットも頷いた。


精霊たちが風に乗せて囁く。

――『メデルの魔力は心地よい……大好き。』

精霊王が静かに呟く。

――『メデルは人間界では生きづらい……枠に定まらぬ澄んだ魔力。この子は、枠を越えた光。だが、絆がある限り、闇に呑まれぬだろう。』

神真様の声が遠くで響く。

――『闇が無いメデルは脆い……体を大きくして器を広げたが……彼には家族が護っている。ならば大丈夫だろう。』

神域の奥、世界樹の根の下で、ロカが翼を広げ、カーロが淡い光を揺らす。

「……メデルたちはもう大丈夫だな。…メデルは魔力が揺らいでいて危うい…。でもあの御方様に器を広げられ成長できたなら大丈夫。」

カーロは微笑む。

「そうね。メデルは少し此方の世界に近しい感じだったけど…大丈夫そうね!」

ロカは力強く言った。

「だから、俺はしばらく彼らを見守る。風の影に紛れて、危ない時は助ける。」

カーロは頷き、世界樹に触れた。

「ありがとう、ロカ。卵が孵る時も、あなたがいてくれるなら安心だわ。」


残った仲間たちと共にメデルは笑いながら言った。

「……僕、身長伸びたのに可愛いって言われるの、もう嫌だな。」

ブランデットが即座に返す。

「じゃあ格好良いで!」

フーマが尾を揺らしながら笑う。

「二人とも、十分格好良いぞ。」

「「ほんと!?」」

ブランデットは心の奥で安堵した。

「……メデルが聖女や精霊や神にならなくて、本当に良かった…。」

広場に再び笑い声が響き、絆の光が柔らかく揺れた。

――彼らの旅は、まだ続く。


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