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僕はメデル〜" "にはなりません〜  作者: はるかかなえ


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㉜旅―冒険者 12

帝国外れの町ガルバトリア。

朝の光がガルバトリアの町を柔らかく包み込む。旅立ちの日、ルククたちは町の人々に最後の挨拶をするため、ゆっくりと歩を進めていた。

帝国外れの教会

教会の扉を開けると、神官セルバが祈りを終えたところだった。白い法衣を揺らしながら、優しい笑みを浮かべる。

「メデル、ブランデット、フーマ……よくここまで来ましたね。精霊の加護が、あなた方の旅路を照らしますように。」

メデルが一歩前に出て、深く頭を下げる。

「セルバ様、ありがとうございました。僕たち、精霊の森へ向かいます。カーロお姉様とセキを、神域へ返すために。」

セルバは静かに頷き、手を泉の水に浸して祝福の印を描いた。

「その使命、神も見守っています。どうか、無事に。そして、心を忘れずに。」


ギルドマスター・ガルドン

ギルドの扉を開けると、ガルドンが大きな机の前で腕を組んでいた。無骨な顔に、誇らしげな笑みが浮かぶ。

「お前らみんな、もうEランクか。早かったな。ルクク、お前は最初、声も小さかったのに……今じゃ、立派な冒険者だ。」

ルククが照れくさそうに笑う。

「ガルドンさんのおかげです。僕、もっと強くなって、またここに戻ってきます。」

ガルドンは大きな手でルククの頭をぐしゃっと撫でた。

「戻ってこいよ。その時は、Dランクの試験、俺が担当してやる。銀狼…フーマ守れよ。」

フーマは鼻を鳴らし尾を振り応える

「ふん!当たり前だ…この命に代えてもな。」

デジルとマルコが言う。

「俺達もいる」


孤児の家(ボブの家の子たち)

小さな庭に集まった子供たちが、ルククたちを囲む。タルカ(14歳)が代表して前に出る。

「ルクク、旅に出るって聞いた。……俺たち、応援してる。絶対、無事で帰ってきて。ブランデットとメデルありがとう本当にありがとう。」

ディル(8歳)とビビ(6歳)が手を振り、トトとメメ(4歳)がルククの足にしがみつく。

「ルクク頑張れよ!!ルククにーちゃん、がんばってー!」

ファーミ(3歳)が小さな声で「まもってね……」と呟く。

オルビ(8歳)とエリ(6歳)、マルジスとページ(6歳)、キース(4歳)もそれぞれの言葉で見送る。

ギギ(5歳)は耳が聞こえないが、笑顔で手を振り、フォル(3歳)は言葉が出ない代わりに、ルククの手をぎゅっと握った。

ルククは一人ひとりに目を合わせ、優しく言った。

「みんな、ありがとう。僕、守って絶対に帰ってくる。そして、もっと強くなって、みんなを守れるようになる。」

※モルト、ネクス、ファイナ、ユーテ(10歳)は護衛依頼で町外に出ており、会えなかったが、ルククは空を見上げて心の中で別れを告げた。


青い小屋亭

青い小屋亭の前に立つと、朝の光が木々の間から差し込み、旅の始まりを祝福するかのように辺りを照らしていた。

亭主テティソが玄関で待っていた。手には、ルククの剣を磨いた布が握られている。

「ルクク、よくここまで来たな。……お前の剣、もう俺の磨きじゃ追いつかんかもしれん。」

マルデージ女将が笑いながら保存食の包みを手渡す。

「旅の途中で腹が減ったら、これを食べな。精霊に好かれる香草団子も入れてあるよ。貴族様たちには珍しい味かもねぇが(笑)。」

マテル君が駆け寄ってきて、ルククに抱きついた。

「ルクク兄ちゃん……僕、元気で待ってるから……絶対、帰ってきてね!」

ルククは膝をついて、マテルの頭を撫でた。

「うん。帰ってきたら、もっと強くなってるから。一緒に剣の練習しようね。」

デジルの妻・テテが静かに微笑み、ルククの背に手を添えた。

「あなたの旅が、誰かの光になりますように。……行ってらっしゃい。あなた、マルコも行ってらっしゃい(笑)貴方達は1年ぐらいふぃって何処かに行ちゃうから(笑)しんみりはしないけどルククを…皆を守ってね。」

そして、玄関の前に集まった仲間たち――メデル、ブランデット、フーマ、デジル、マルコが、静かにルククを迎えた。

フーマが一歩前に出て、皆を見渡す。

「これで、群れが揃ったな。精霊の森は遠い。だが、俺たちなら辿り着ける。」

ブランデットが静かに言葉を添える。

「この旅は、僕たちの使命。そして、絆を確かめる旅でもある。」

メデルが笑顔で頷く。

「うん。僕たち、みんなで行く。怖いこともあるかもしれないけど……一緒なら、きっと大丈夫。」

マルコが肩をすくめながら笑う。

「まったく、若いのに立派なこと言うな。……よし、じゃあ俺たちも負けてられないな、父さん。」

デジルが静かに頷く。

「剣だけじゃ通れぬ場所もある。だが、剣がなければ通れぬ場所もある。俺たちの役目は、そこにある。」

ルククは皆の顔を見渡し、深く頷いた。

「僕、一緒に旅するよ。みんなと一緒に、守るために。」

そして、六人はゆっくりと歩き出した。

青の泉の方角へ――

精霊の森へ――

使命と絆を胸に刻んだ者たちの、静かで力強い一歩だった。


早朝、まだ空が淡い青に染まる頃。

メデルは小さな背負い袋を揺らしながら、外路をぴょんぴょんと跳ねるように歩いていた。

隣にはブランデットお兄様が、地図とメモを確認しながらしっかりと歩いている。

ルククはその後ろで、荷物のバランスを整えながら、時折メデルに笑いかける。

「ねえ、あれって鳥の巣かな?」「うん、でも精霊の巣かもよ?」

そんな会話が弾むほど、三人の旅は楽しげで、まるで遠足のようだった。

けれど、少し離れた位置を歩く銀狼フーマは、鋭い目で周囲を警戒している。

その隣にはデジルが、静かに魔力の流れを探るように歩いていた。

二人の緊張感は、子供たちの無邪気さとは対照的で、旅の危険を物語っている。

さらに先を行くのは、マルコ。

彼は先行して地形や安全を確認しながら、時折手を振って合図を送ってくる。

「道は問題なし。次の野営地まであと少しだ」

そんな声が風に乗って届くと、メデルは「やったー!」と跳ねて喜ぶ。


はじめての旅は、今日と明日の旅。短いが、辺境伯領へは本当に旅が出来るか?1日中歩けるか?野宿と野営食等冒険が出来るか?っとフーマ達大人が提案したのだが、(笑)

メデルとブランデットの心は、わくわくとドキドキでいっぱいだった。


朝の光が木々の間を差し込み、外路の空気は澄んでいた。

メデルはブランデットとルククと並んで歩きながら、木の精霊に話しかけていた。

「この実、食べられるの?」

木の幹からふわりと現れた精霊が、優しく頷く。

「はい、メデル様。これは“ミルの実”。甘くて水分が多く、旅人の喉を潤します。あちらの茸は“クル茸”。焼くと香ばしく、毒はありません。薬草は“リル草”、傷に効きますよ」

「ありがとう、精霊さん!」

メデルは嬉しそうに実を摘み、ブランデットに見せた。

「お兄様、これお昼に使えるね!」

「うん、ルククが料理してくれるって言ってたし、茸も持っていこう」

その時、風お精霊が前方から戻ってきた。

「角兎の巣を見つけたよ。8匹ほどいる。狩るなら今だよ」

フーマが頷き、メデルが魔力の流れを確認する。

「風の流れは穏やか。奇襲が可能だね!」

ブランデットが剣を抜きながら言った。

「じゃあ、僕が先に行く。メデル、右から回って。フーマは後方支援お願い」

メデルとブランデットは木陰に隠れながら動く。

「巣穴は五つ。三つを石でふさいで。残り一つに煙を入れ、最後の穴で待ち伏せ。」

「煙で追い出す……。」ブランデットが頷く。

煙が巣穴に流れ込むと、出口予定の穴からガサガサと音が聞こえ穴の周りの草が少し揺れた。

「来るぞ!」フーマが剣を構える。

白い影が飛び出し、鋭い角が月光を反射する。

「今だ!」

ブランデットが剣のせで頭を叩き気絶させ、メデルが素早く顔を布で覆い。

「暴れるな……よし、縛れ!」

蔓で足を固定された角兎は、目隠しをされた途端におとなしくなった。

フーマが土留めを刺し驚いて言った。

「上手くなったなぁ。。」

「すごい……!」ルククが目を輝かせる。

デジルとマルコも感心して言った。

「ルククの時より、動きがさらに洗練されてる。メデルも布の使い方が見事だな。」

討伐を終えた三人が戻ってくる。

「8匹、全部仕留めたよ。肉は選別して、昼に焼こうね。」

メデルが笑顔で言うと、デジルが頷いた。

「鮮やかだったな。連携も完璧だった」

マルコがメデルに角兎の耳を見せながら言った。

「これ、記念に持っていくか?旅の証になるぞ」

「うん!ありがとう、マルコさん!」

その時、フーマがふと眉をひそめて言った。

「オイ、お前達。敬語になっているぞ」

メデルが「あっ」と声を漏らし、マルコが苦笑いしながら言った。

「つい、子供たちの前だと丁寧になっちまうな」

デジルも肩をすくめて言う。

「癖だな。フーマ、次からは“いつもの口”でいくよ」

フーマは鼻で笑いながら、メデルの頭を軽くぽんと叩いた。

「お前も、敬語使われると距離感じるだろ?」

メデルはくすっと笑って、「うん、フーマ様は“フーマ”がいいよね。」と答えた。

こうして、昼の野営地では、ミルの実とクル茸、角兎の肉を使った豪華な野営食が並び、仲間たちは笑顔で食卓を囲んだ。


昼の野営地 ― 焚き火と燻製窯

木陰に囲まれた野営地に、焚き火の煙がゆらゆらと立ち上る。

メデルはミルの実を水で洗いながら、ルククが角兎の肉を丁寧に切り分ける様子を見ていた。

「ルクク、これって全部食べきれるの?」

メデルが首をかしげると、ルククは笑って答えた。

「いや、さすがに8匹分は無理だね。保存しないと」

その時、土の精霊が地面からひょこっと現れた。

小さな体に苔の帽子をかぶった精霊は、にこにこしながら言った。

「保存なら任せて!燻製窯、作ってあげるよ!」

「燻製窯?」ブランデットが目を丸くする。

「うん。土を操って、煙を閉じ込めて、じっくり燻すの。風の精霊にも手伝ってもらえば、香りも良くなるよ」

精霊は地面をぽんぽんと叩くと、土がぐぐっと盛り上がり、丸い窯の形を作り始めた。

煙を逃がさないように、上部には小さな通気口がついている。

「すごい……!」メデルが目を輝かせる。

「これ、旅の途中でも使えるの?」マルコが興味深そうに覗き込む。

「うん、乾燥した肉は軽くなるし、保存も効く。角兎の肉は脂が少ないから、燻製に向いてるよ」

土の精霊が誇らしげに言う。

ルククが切り分けた肉を網に並べ、精霊が作った窯に丁寧に入れていく。

風の精霊がそっと香草をくべると、煙にほんのり甘い香りが混ざった。

焚き火のそばでは、メデルとブランデットがミルの実とクル茸を焼いていた。

フーマは木の幹にもたれながら、周囲の気配を探っている。

「フーマ、食べないの?」メデルが声をかけると、フーマは目を細めて答えた。

「食うさ。お前らが先に毒見してからな」

「ひどいなぁ!」メデルが笑うと、ブランデットもくすくすと笑った。

デジルが燻製窯を見ながら言った。

「精霊の技術は侮れないな。これ、帝都に持ち帰ったら高値で売れるぞ」

「売るなよ」フーマがぼそっと言い、皆が笑った。

こうして、昼の野営地は笑いと香ばしい煙に包まれ、旅の仲間たちは少しずつ絆を深めていった。


焚き火の炎がぱちぱちと音を立て、木漏れ日が揺れる野営地。

ルククは腰を下ろし、母から渡された保存調味料と薬草を丁寧に並べていた。

「これがお母さん特製“マルデージの塩香草”。肉の臭みを消して、保存性を高めるんだって」

ルククが角兎の肉に塩をすり込みながら説明する。

「この赤い粉は?」メデルが覗き込む。

「“カルルの根”を乾燥させたもの。ほんの少しで防腐効果がある。味もほんのり甘くなるよ」

ブランデットが薬草を手に取りながら言った。

「これは“リル草”と“セリ草”の混合だね。消化を助けるし、燻製にも合う」

ルククは肉を切り分け、調味料をまぶした後、網に並べて燻製窯へと運んだ。

燻製窯は、土の精霊が作った見事な構造だった。

地面を掘り下げて作られた半地下型で、底には炭床が敷かれ、上部には粘土で固めたドーム状の蓋がかぶさっている。

側面には空気調整用の小さな穴があり、煙がゆっくりと肉を包み込むように設計されていた。

「煙が逃げないように、風の精霊が流れを調整してるんだよ」

土の精霊が誇らしげに言う。

「すごい……これ、やっぱり旅の途中でも使えるね!」メデルが目を輝かせる。

ルククは燻製窯の前にしゃがみ込み、そっと包みを取り出した。

「これは、お母さんから預かった“香草団子”。精霊に好かれる香りがするんだって。お礼にどうぞ」

土の精霊は目を丸くし、風の精霊はふわりと舞いながら団子に近づいた。

「わぁ……この香り、“ミル草”と“ルル花”が入ってる!」「ふわふわしてて、あったかい……!」

二体の精霊は嬉しそうに団子を抱え、くるくると回って喜んだ。

「ありがとう、ルクク!これ、精霊界でも人気になるかも!」

ルククは照れくさそうに笑いながら言った。

「お母さんが、“精霊に好かれれば、旅は守られる”って言ってたからね」

焚き火のそばでは、メデルとブランデットがミルの実を焼きながら、燻製窯から立ち上る香ばしい煙を眺めていた。

「この旅、楽しいね」「うん、でも気を抜かずに行こう」

フーマは少し離れた木陰で目を細めながら、静かに周囲を警戒していた。

こうして、昼の野営地は精霊たちの笑顔と香ばしい香りに包まれ、仲間たちは心をひとつにして次の道へ備えていた。


燻製窯から立ち上る香ばしい煙が収まり、角兎の肉は見事に保存用として仕上がった。

土の精霊が満足げに窯の蓋を閉じ、風の精霊が最後の香草の香りを風に乗せて送り出す。

「よし、出発だ」フーマが立ち上がり、周囲を見渡す。

午後の陽射しは柔らかく、木々の間を抜ける風が心地よい。

メデルはブランデットと並んで歩きながら、燻製肉の入った袋を背負っていた。

「ねえ、お兄様。ケルビス様って、どんな方でした?」

メデルが尋ねると、ブランデットは少し考えてから答えた。

「静かで、ちょっと恥ずかしがり屋。でも、領地のことになると急に話し出すんだ。僕と同じ歳だけど、領地のことは僕より詳しいかも」

「会うの楽しみだなぁ」

ルククが後ろから笑いながら言った。

「ケルビス君、去年会った時は角兎の生態を語ってたよ。“角の形で年齢がわかる”って言ってた」

「ほんとに!? じゃあ、今日の角兎も見せてあげようよ!」

道中は緩やかな坂道が続き、途中で小川を渡る場面もあった。

マルコが先に渡って安全を確認し、デジルが魔力で足場を強化する。

「この辺り、魔力の流れが安定してる。夜の野営地にはちょうどいい」

夕方、太陽が西の空に傾き始めた頃、一行は開けた丘の上に到着した。

遠くにはドラン辺境伯爵の領地の森が見え始めている。

「ここにしよう。風も穏やかで、精霊も集まりやすい」フーマが言う。

焚き火の準備を始めると、土の精霊が再び現れ、地面を整えてくれた。

風の精霊は煙の流れを調整し、快適な野営地が完成する。

夜が訪れ、焚き火の炎が仲間たちの顔を照らす。

野営地の中央では焚き火が静かに燃え、ぱちぱちと木がはぜる音が耳に心地よく響く。

メデルは毛布にくるまりながら、焚き火の前に座っていた。

ブランデットは隣で地図を広げ、明日の道を確認している。

ルククは焚火の様子を見ながら、火加減を調整していた。

「ねえ、お兄様。ドラン辺境伯爵って、どんな人なの?」

メデルがぽつりと尋ねる。

「去年一度だけ会ったけど、静かで優しい方だったよ。お父様の同級生で、昔は剣の腕もすごかったらしい」

焚き火の向こうでは、フーマが木の幹にもたれて目を閉じていた。

デジルは魔力の流れを感じながら、静かに瞑想している。

マルコは空を見上げて、ぽつりと呟いた。

「星が綺麗だな……帝都じゃ、こんなに見えない」

ルククが笑いながら言った。

「辺境の夜は静かでいいよね。精霊たちも、今日はよく働いてくれたし」

その時、土の精霊と風の精霊が焚き火のそばにふわりと現れた。

ルククはそっと包みを取り出し、二体に手渡した。

「これ、お礼に。お母さんが作ってくれた“香草団子”。精霊に好かれる香りがするんだって」

土の精霊は目を輝かせ、風の精霊はふわりと舞いながら団子を抱えた。

「わぁ……“ミル草”と“ルル花”の香り!」「ふわふわしてて、あったかい……!」

「ありがとう!」

メデルはその様子を見て、くすっと笑った。

「精霊さんたち、嬉しそうだね」

ブランデットが焚き火に薪をくべながら言った。

「精霊と仲良くできるって、すごいことだよ。ルククのお母さん、きっとすごい人なんだね」

ルククは少し照れくさそうに笑いながら答えた。

「うん。お母さんは、精霊と話せる人だったから。僕も、少しずつ近づけたらいいなって思ってる今度僕も“香草団子”作ってみるね!」

焚き火の炎がゆらゆらと揺れ、夜の静けさが仲間たちの心を包み込む。

メデルは毛布にくるまりながら、星空を見上げていた。

「明日、ケルビス様に会えるかな……」

ブランデットがそっと答える。

「きっと会えるよ。彼も、僕たちが来るのを待ってるはずだから」

こうして、昼から夜へと続いた旅の一日は、静かな焚き火と精霊たちの笑顔に包まれて終わった。

遠くでフクロウが鳴き、風が木々を優しく揺らす音が聞こえる。

こうして、旅の一日が静かに終わり、仲間たちはそれぞれの思いを胸に、星の下で眠りについた。

明日は、ドラン辺境伯爵の領地。そして、ケルビスとの再会が待っている。

夜の野営地大人の会話。

焚き火の炎が静かに揺れ、夜の野営地は穏やかな空気に包まれていた。

子供たちはすでに毛布にくるまり、精霊たちも香草団子を抱えて満足げに眠っている。

フーマは焚き火のそばで腕を組み、じっと炎を見つめていた。

デジルはその隣で魔力の流れを感じながら、マルコは木の幹にもたれて空を見上げている。

「結界は張った。精霊も見張ってる。……だが、警備なしって言われてもな」

フーマがぼそっと呟く。

「わかる。俺も落ち着かん」デジルが頷く。

「俺はもう慣れたけどな。……いや、慣れたくないけどな」マルコが肩をすくめる。

しばらく沈黙が続いた後、フーマがぽつりと言った。

「……はじめは見えなかった精霊が、今は見える。会話も聞こえる。なんでだ?」

デジルが焚き火に薪をくべながら答える。

「俺もだ。見えるし、話も聞こえる。最初は気のせいかと思ったけど……今じゃ、団子の好みまでわかる」

マルコが笑いながら言った。

「俺なんか、精霊に“煙の流れが雑”って文句言われたぞ。風の精霊、意外と口うるさい」

フーマが眉をひそめる。

「……テティソが言ってた。魔力路を、ブランデットとメデルが癒してから、精霊が見えるようになったって」

デジルが真面目な顔で頷く。

「確かに、あの二人が触れた後、空気が変わった。魔力の流れが柔らかくなったというか……」

(癒す…彼らは聖女様かぁ……?)

マルコが焚き火の火を見つめながら、ぽつりと呟く。

「でも、理由はわからん。……わからんが、悪くない」

フーマが鼻を鳴らす。

「まあ、見えるなら見えるでいい。精霊が見張ってくれるなら、少しは寝られる」

デジルが笑いながら言った。

「でも、フーマ。寝言で“誰だ、そこにいるのは”って叫ぶのはやめてくれ。精霊がびっくりしてたぞ」

マルコもくすっと笑う。

「風の精霊が“あの銀狼、寝ても警戒してる”って言ってた。尊敬されてるぞ、フーマ」

フーマは少し照れくさそうに顔をそむけた。

「……うるさい。寝るぞ」

こうして、夜の焚き火は静かに燃え続け、三人の会話は笑いと共に夜空へ溶けていった。

精霊の見守る野営地で、仲間たちは少しだけ安心して、眠りについた。

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