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前書き
私は、日本に住む、どこにでもいる高校生。中高一貫の女子校に入学し、薔薇色のライフを満喫するはずであった。
彼氏ができるわけでもなく、男子校の学園祭に行っても何も起きない。
そのまま、来年受験を控える身になってしまった。
大学も、正直に言ってどこでも良かった。自分の能力に見合ったところで、適当に彼氏作って…
寝不足気味の頭を無理に働かせて、雨の匂いがするコンクリートの道を歩いた。黒く、しかし雨によって光っている地面に、赤いライトが反射して見えた。そして、横断歩道に足を踏み入れた瞬間――
車のヘッドライトが異様に強く光った。
あ、と声を上げる間もなく、車にはねられた私は宙に浮いて、意識が遠くなっていく。
未練は、あるかもしれない。しかし、そこまでかなえたい夢があったわけでもない。軽く諦めた気持ちで生を終えるというのは、母に失礼なのだろうが、もう間に合わない。
逆さの街を眼下に見た後、私はそっと目を閉じた。
そして、目を開けたら、私は公爵令嬢――シャーロットに転生していたのだった。