表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

それでも、私は

作者: よるのおとも
掲載日:2022/09/24


 私はこの島が好きだ。



 それは地球の南側にある。空と海が同じ色をしている。暖かい空気に包まれている。砂浜がキラキラ眩しくて、歩いていると沢山のダイヤモンドを独り占めしてる気分になる。


 生まれ育ったこの地では、毎年夏の初めになぜかシャチがやってくる。きっと私みたいにこの島が好きなんだろう。今年もシャチが、夏を運んできた。



 この島はオアシスだ。私にとっての楽園だ。きっと前世ではさぞ良いことをしたのだろう。この島を離れるつもりはないから、私は生まれてから死ぬまでずっとこのオアシスに居続けられることになる。



 私は本当に幸せ者だ。





 違和感に気づいたのは、それから数年後の夏だった。



 シャチが来なかった。不思議に思っていたら、辺り一面真っ白だった砂浜に、所々色が散らばり始めた。



 初めは呑気に考えていた。シャチだってたまには違う島にも行ってみたいかもしれない。ダイヤモンドだけだった砂浜が、アメジストやアクアマリン、ルビーやエメラルドなど、宝箱をひっくり返したみたいで綺麗だな、なんて。



 でもそれから、この島にシャチが来ることは無くなった。





 最近はウミガメがビニール袋を誤飲して窒息死してしまうらしい。重油でカモメは真っ黒になって飛べなくなるとか。汚い海にはプランクトンがウヨウヨいて、死骸は緑だったり赤だったりするみたい。



 空とは違う色の海を見つめる。宝石だらけになった砂浜を歩く。ダイヤモンドはもう見つけられないかな、なんて思っていたら、段ボールに躓く。よろけた目の前に文字が飛び込んでくる。どうやら、オアシスって名前の会社みたい。思わず唇を噛み締める。




 シャチはもうこの島のこと、嫌いになったかな。


 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] ラストまで読んで、タイトルと冒頭を改めて読み返して、胸がきゅっとなりました。 段々と汚れていってしまう島を、それでも「宝石だらけ」と内容する主人公の愛情が伝わってきました。故郷は何にも変えら…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ