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本日もよろしくお願いします

お気づきの方もいらっしゃると思いますが、固有名詞やオノマトペ以外では、

できるだけカタカナを使わないように書いています

が、中々難しいです *_*;

イメージとかタイミングとか・・・

 後宮に来てから5日が経った。

 私には魔術の才能があった。よかった、よかった。

 手始めに挑戦した『隠密』『索敵』『鑑定』は難なく覚えられた。まだ習熟度が低く、ちょっと目立たないだけ、ちょっと遠くの人にも気づける、食事に害がないか何となく分かる、という程度だけどね。


 今のところ一番役立ってるのは『索敵』だ。侍女のマルボはいつもノック無しで入ってくるので、いままで驚かされていたが、『索敵』のお陰で、彼女が玄関をくぐった時点で気付ける様になった。常時発動する事で習熟度を上げていきたい。さらにエタノルに居たときからやっていた、魔力操作の訓練や生活魔術の訓練も続けている。


 そして、後宮の散策も続けている。昨日は洗濯場を見つけた。マルボはシーツやタオルの交換や洗濯をする気配が無いので、頼んだら、「ちっ」っと舌打ちされて、嫌々洗濯物を持っていった。が、夕方返ってきたドレスやシーツはゴワゴワのシワシワだったのだ。

 これからは洗濯は自分でやろうと思う。もちろん、掃除も。今まで自分でやってたのだ。困ることでもない。

 洗濯場には当然、洗濯物が干されているわけで、そこで手触りのいい上等なシーツとタオルを頂いてきた。マルボにゴワゴワシワシワにされたシーツはカーテン代わりに窓に取り付けた。よし、これで朝の目覚めを快適にすごせる。


 体力もだんだん付いてきた。私の家よりも奥には、後宮を囲う塀までの間に林がある。そこで鍛練を始めようと思う。主に午前中を武術の鍛練か魔術の訓練に使い、午後は後宮内の散策か図書館での調べものに当てよう。洗濯や掃除は数日おきに朝食前に行えば良いだろう。


 正直、武術や攻撃魔術を身につける必要があるのか? と言われれば、この後宮にいる限り無いのかも知れない。ただ、後宮ではやることがないし、前世の雪辱を果たしたい気持ちも強い。それに、この先もずっと後宮にいるのかは分からない。明日、暴動が起こって、パミドロルが転覆する可能性だって、絶対ないとは言えない。世の中何が起こるか分からない。一寸先は闇の中なのだ。ならば今できることをコツコツとだ。


 鍛練は、走り込みと槍(に見立てた手頃な木の棒を林で見つけておいた)で型練習。とにかく槍を扱うのに必要な筋力を身に付けないといけない。そして型を徹底的に体に覚えさせるのだ。

 自分の身長と同じ長さの槍(棒)を、ゆっくりとした速度で動かす。勢いをつけると、槍の重さや遠心力に助けられてしまうからだ。ゆっくりと動かす事ですべての動きを自分の力で制御する。速さや鋭さは、筋力が付いてからだ。槍は腕の力だけで動かすわけではない。腰を軽く落として、重心を腹の下辺りに置くよう意識し、腹筋や背中全体そして肩から腕へと力を伝える事を意識しながら動く。

 まず、下段に構える。左手は槍の中程を、右手は後端を握って、右足を引く。


「えいっ!」


 かけ声とともに前に一歩踏み出して、左手の中を滑らせるように右手で槍を突きだす。一旦、後ろへ下がり、槍を右へ振る(相手の槍を払う動作)。

 そしてまた前に進んで、かけ声とともに槍を突き入れ、一歩下がる。

 一歩前進して、相手の槍をはたき落とす動作のあと、さらに前進、槍を突き入れ、二歩下がる。

 また一歩前進、相手の槍を払い上げる動作のあと、さらに前進、槍を突き入れ、二歩下がる。

 一歩前進、相手の槍の突きを左へ避けて、はたき落として突き、二歩下がる。

 次は、相手の槍を右へ払っておいて、槍を回転し石突きの方で左下へ払い落として、一歩前進、石突きで突く、一歩下がる。

 槍を右後ろから前へ大きく振り抜く。一歩前進、前へ2回突き、振り返りながら後ろの敵の槍を払って、突き。


 これら一連の動作を何度も、何度も繰り返し・・・たかったが、途中で何度も休憩が必要だったし、一巡しただけで、腕が上げられなくなった。翌日は全身筋肉痛でひとつ動作をするたびに、悲鳴をあげなければならなかった・・・


(どれだけひ弱なんだよ)


 でも時間だけはたくさんある。弛まず続けていこうと思う。


 魔術の訓練は新たに攻撃魔術を覚えようと思う。図書館で習得方法を調べておいた、『火弾』『空気弾』『水弾』『土弾』を試す。それぞれ、火、風、水、土系統の攻撃魔術の初歩魔術だ。そして、攻撃魔術以外に、光系統の『光明』、空間系統の『収納』『引寄』『障壁』『移動』を調べておいた。


 『火弾』は文字通り火の塊を作って相手に飛ばす魔術だ。うっかり木を燃やして火災が起きたら大変だ。林の中に見つけておいた小さな池の畔で訓練する。

 人差し指を立てて、生活魔術と同じ要領で火を生み出す。衛兵に見つからない様に、小さな火だ。次に池の水面に向かって飛んでいけと念じながら火の塊に魔力を流す。魔術を行使する時に大切なのは、「どういう規模で、どういう形状で、どういう動きをするのか」と言うしっかりした心象、感覚だ。その点リリカは、ミレイだった時にたくさんの魔術を見てきた記憶がある。メルファランと言う魔術の才能に溢れた仲間と3年以上行動を共にしたのだ。それを思い出しながら、慎重に魔術を発動するが、火を作ってから動きを指示して魔力を流すまでの間が悪かったのか、何度か失敗した。が、程なく成功した。最初はヒョロヒョロと頼りなげに飛ぶだけだったが、何度も繰り返すうちにそこそこの射速を出せるようになった。射程範囲も最初は5歩程度の距離だったが、半日頑張った結果、20歩程は飛ばせるようになった。

 他の属性の魔術も同じ様な手順で習得した。

(うん、やっぱりリリカは魔術の才能がありそうだ。魔力も半日の訓練で半分も減ってない感じだし)




▲▽▲▽▲▽


 そんな風な日々を過ごして、後宮へ来て10日くらい経ったある日、朝食の席でマルボから一通の招待状を渡される。


「お茶会へのお誘い?」

「はい」


 王太子妃殿下主催のお茶会をやるよ。畏まった席じゃないから気楽な服装で来てね☆って内容が書かれていた。

 嫌な予感しかしないんだけど・・・



毎日更新中

明日のお茶会、どんな洗礼を受けるのやら・・・

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