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初めまして。気に入っていただけると嬉しいです。
誤字やお話の矛盾点など、おかしな所があればご指摘いただけると嬉しいですが、
初心者なもんで、お手柔らかにお願いします(*^^*)
「お前の嫁ぎ先を決めてきてやったぞ!」
生まれて初めて会った(乳幼児の頃には会っていたかも知れないが…生憎覚えてない)父親が突然、現れて宣った。
「は?」
唖然として見上げる父親の顔は、母に読んでもらった冒険物の絵本に出てきた残忍な魔王にそっくりで、恐怖と混乱で頭の中が真っ白になった。
私が暮らすこの国は、大陸ダルベートにある小国エタノルと言う。そして父親はエタノルの王である。吹けば飛ぶようなこの小国が存続できているのは、父王が大国パミドロルに忠誠を誓ったからだ。所謂、属国である。父王が宣った私の嫁ぎ先がパミドロルの王太子。
王太子妃じゃないよ、側室だよ。ただし、31番目の。うん、人質ってことだね。
パミドロルは非常に好戦的な国で、何かと難癖付けては戦を仕掛けて周辺国を攻め滅ぼし、前王の時代までに大陸の北半分を、現王が即位して24年、更に領土を拡大し、今やその国土はダルベート大陸の7割ほどに及ぶ。
エタノルは、パミドロルとエタノルの間に位置している隣国レチノールが敗戦した瞬間、早々にパミドロルに恭順を示した。
パミドロルがエタノルに存続を許したのは、ここが大陸の南の端に位置しているからだろう。南の海には魔海獣がわんさかいて近づくことすら危険である。海の向こうには魔大陸があり、魔人がいる。彼らは人間とは相容れない生き物で、積極的に攻めては来ないが、貿易の相手にも決してならない。ごく希にダルベートに流れ着いて殺戮を行い、被害をもたらす。つまり、エタノルを併合する事にあまり旨味がなく、むしろ緩衝地として置いておいたほうが管理の手間が省けると考えているのだろう。
て言うか私、まだ10才なんだけど。
母は私にしがみつきながら泣いてる。
父王はまだ何事か話しているが、そのほとんどが、真っ白になった私の頭を素通りしていく。だが聞き捨てならない言葉には反応した。
「この婚儀を拒否したり、逃げたりしたら、お前の母親がどうなっても知らないぞ」
それを聞いた瞬間、私の恐怖は頂点に達し、早々に意識を飛ばしてしまった。
今回は短めですいません
明日から本格スタートです