第十八話 ラクト地区へ
魔力はマナと呼びますが、ルビを振るのは各話一回にします。
ノアの村から発ち、かなり時間が過ぎ日が暮れて来た。
昼前位からずっと歩いているが、景色は大して変わりはしない。
歪な形の木、鬱蒼とした草、見た事のない奇妙な虫。
そしてたまーに出る”侵犯者”、数時間前も一匹始末した。
………また今、僕の魔力感知領域に三匹引っかかったけれど、結構居るな……
単体とはいえ、一般人には対処出来ないものだろう。
この国では、村や都市間の移動に護衛を付けないと死の危険性が高い
と、本に書いてあった。
大きな都市がある地域には、そこから出る事が無く生涯を終える人も珍しく無いらしい。
確かに、いつ化け物に襲われるかわからないで移動するなんて、体力も気力も保たないだろうさ。
とんでもない世界だ。
「アルト、腕をあっちの方に伸ばして」
僕が指を指した方に、アルトは腕を伸ばして構えた。
「シン、人は?……まあ、居る訳ないかぁ」
「うーん……大丈夫じゃな---」
……いや、いる。誰か居る!二人だ。
一人は、車にも似た……馬車の様な物の中に隠れていて、一人は、たった今会敵した三体の侵犯者の攻撃に応戦している。
侵犯者に集中し過ぎて、気付かなかったのか僕は……
既にアルトの手の先には魔力が集まって、放出される寸前だ。
「ちょ、待って!アルト!やめ、やめて!」
アルトは驚き、慌てて腕を下ろした。
「何!?なんか不味い事が……?」
「いや、誰か居る。戦ってる。アルト、加勢してきて。侵犯者は三体で
護衛みたいな人が応戦してる」
「わかった。”力の装甲”は使っていい?」
「いいけど、出力は半分位ね。絶対やり過ぎないでよ?僕もすぐ追いつくから」
「うん。……じゃあ、行ってくる」
アルトは地面を力強く蹴った。
一瞬にして姿は小さくなり、風だけが残った。
30m以上はあろう距離を、アルトは3秒程で駆けた。
『まだまだじゃなぁ、シン。特定の波に気を取られ過ぎじゃな』
「うるさい、分かってるよ……」
◇
「ちっ、ちょこまかと飛びやがって……ロンベイルさん!絶対にそこから
出ないで下さいよ!?……くそっ、聞いてねぇよ!ここら辺に出るなんてよぉ」
側に横たわる馬型の霊魔を気にする事も無く、護衛の男は飛び回る侵犯者と対峙していた。
三体の内の二体が護衛の男に飛びかかった時、男は焦る心の中に諦めを覚えたが、木の間から飛び出した”何か”が剣身を煌めかせ、流れる様な身のこなしで二体両方の羽を切り落とし、すかさず核を破壊する。
「……!?な、なんだ!?」
護衛の男は助かった喜びよりも、唐突に起こった出来事に困惑を隠しきれなかった。
「おじさん!まだいるでしょ、一体!ほら!」
護衛の男は、その”何か”が子供であると認識すると同時にハッと我に返り、持っていた長剣を振り下ろしもう一体の核を叩き潰した。
「……はぁ、お前何モンだ?子供か?本当に」
「俺の名前はアルトだ。感謝してよね、おじさん」
◇
少し遅れて僕はアルトと合流した。
強化魔術などは使わず、通常の徒歩で移動した為である。
村から出てからは、アルトを目立たせなければならないので、僕は極力戦わないし出来るだけ力を使わない。
平凡な女の子を演じるのだ。それもまた骨が折れる……
「すいません、アルトが侵犯者の魔力を察知して飛んでいったのですが……
大丈夫でしたか?」
「お、おう、嬢ちゃん。この子の連れか?すげぇな、おかげで助かったぜ!」
「ふんっ、全然物足りないないけどね」
アルトは大口叩いてるけど、あらかた間違ってはいないんだよなぁ。
正直、二体なんて赤子の手を捻る様なものだろう。
それに比べて、この護衛の人は見た目は体格に恵まれているのに、大した戦闘力が無いみたいだ。
魔力も一般人より少し多い位。
よくコレで人里離れた所へ行こうと思ったな……
「あ、あの……もう終わりました、か?」
車体の中の散乱した荷物の間から、恐怖で震えた男性の声が聞こえた。
「はい、もう大丈夫ですよ。ロンベイルさん。少し焦りましたが……
この子達が助けてくれたんです」
「……ぇえ?まだ子供じゃないですか。正直、信じられませんね……
何故こんな所に……?あ、いや、疑っている訳じゃ無いんですよ!?」
ロンベイルと呼ばれている男は、緊張から溶けた震えた足で少したどたどしく車体を降りた。
見た目は二十代半ばで、態度は謙っている。
この男……全容を確認して分かったのだが、中々に良い身なりをしているからして、ひょっとしたら有力者だったりするのかもしれない。
「初めまして、シン=ダルクです。こっちは……」
「俺は、アルト=ラウェイン。……です」
偽名。自分で言ってみて少し恥ずかしくなる。
これから数年はこの名前でやっていかなければならない。
アルトの方は適当にグレイに付けられたみたいだけど、僕の方は自分で決めて良いと言われた。
女の子だから気を利かせたのかエレア姉が口を挟んだのかは知らないが、それはそれで困る。
そこで、”勝利に導く存在””女性”から連想して”ジャンヌダルク”から名前を拝借したのだ。
まあ、願掛けみたいなもんかな……
「これはこれは……ご挨拶が遅れました。私はロンベイル=クランド。
ラクト地区都市部にあるアディスリィ商会の商人です。私は周囲の村担当……
みたいなものですね」
ロンベイルは丁寧に挨拶をした。
子供だからと下に見ることはなく、振る舞いに品を感じる。少し怖い位だ。
そんな事を思っているとアルトが、既にやられてしまった馬型の霊魔に興味を示した。
足で突っついて少し行儀が悪い。
「残念ながら、もう死んでしまっていますね……せめて埋めてあげましょう」
「コレ、初めて見るんだけど……大きいな」
「初めて見るんですか?そうですよ、大きくないと車体を引けませんからね。
……少し手伝ってもらえますか?」
馬ほどある体を僕とアルトと護衛の人の三人で持ち上げ、道の邪魔にならない様な所へ移動させる。
僕とアルトは強化魔術を抑えめに使っていてなんとも無いが、護衛の人はかなり重そうにしている。
この馬型の霊魔……よく見ると、足が六本で尻尾は二又に分かれていな……
僕は違和感が凄いけど、アルトは何も思わないのだろうか。
「コレって、食べられないの?」
おぉい……見た目の事より食欲かい……
まあ、もう夕食どきだけどさぁ……ワイルドだなアルトは。
「それは絶対にダメですよ。この霊魔は首を侵犯者に喰われています。
侵犯者の息がかかった物を取り入れると、心を悪に喰われますよ?」
『はんっ、何じゃその理屈は。そんな話聞いた事無いぞ』
僕が思う前に、ケンが反応した。
確かにあのバケモノが喰った物を口に入れたくは無いが、後半の言動はキナくさい。
「ふーん、そうなのか……」
アルトは興味無さそうに答え、穴を掘る。
堀終えて埋葬が終わった所でロンベイルが提案をしてきた。
「夕食をご馳走しますので、少し待っていて下さいね」
「いや、悪いですよそん---」
「本当!?いやぁ、お腹減ってたんだよね!やったぁ」
にこやかなロンベイルを見るに、子供は素直が一番良いのかも知れないと思った瞬間だった。
◇
「来る時は何も無かったんですけどねぇ……まさか帰り道に出会すとは……
比較的安全で知られる道を通った筈なんですけどねぇ。生きて帰れないかと
思いましたよ、本当に。あなた達は命の恩人です。
私は運が良いのか、悪いのか……ははは」
不安から解放されたロンベイルは饒舌に話す。
日はすっかり落ち、野外では少し贅沢であろう食事を食べながら四人で焚き火を囲んでいる。
調理は僕も結構手伝った。先生とのサバイバル特訓で野営での段取りを学んだし、グレイの家でエレア姉に料理の手伝いを”お願い”されていたから、要領は得ている。
アルトは食事に夢中で多分話をほとんど聞いていない。
「俺一人ではヤバかったかも知れません。正直楽観視していました……
この子達が今年の入学試験を受けるとは、コレは凄い事になりそうですね……」
「ええ、全くです。他にも色々聞きますから、今年は注目されています」
と、いう感じで勝手に盛り上がっている二人。
入学試験を受けに行く、とは作業しながら僕が話しておいたのだ。
そう、それでいい……いい感じじゃあないか。
「明日、すぐ近くにある霊魔が売られている村に行ってから、私たちは
ラクト都市部に戻るのですが……入学試験という事は行き先は一緒ですよね?」
「ええ、そうですが……?」
「では、私が全て出しますので送っていきますよ」
なんと!素晴らしい提案なんでしょう。
元々僕達も、他の村で相乗りをしようとしてお金の計算をしていたけれど、嬉しい誤算が生まれそう。
それでも建前として一旦断って……はいいか。
少し子供っぽくするのも必要なのかもしれない。
「本当ですか!?いやぁ、助かります」
「いえいえ、それでも足りないくらいですよ。
……そうだ!向こうに着いたら宿も手配しましょう。安く済む筈です」
「願ったり叶ったりです。いやぁ……えへへ」
ふふふ、少しトントン拍子過ぎて頬が緩む。
普通は疑ったりするのかも知れないが、ロンベイルは魔力がほとんど無いし護衛の剣術は並位ってアルトが言ってたし、例え襲われても一蹴できるだろう。
焚き火を挟んで、アルトと護衛の人は何か話している。
剣がどうのとか言ってアルトが自慢しているみたいだけど、無理矢理聞かされて無いだろうか……
でも、アルトが僕の話に割り込んで来なくなるからありがたい。
理解出来ないのに聞きたがる時があるから、玉にキズなんだよなぁ。
まあ、年相応かもだけど。
◇
「では、私は寝ますので火をお願いしますね」
「わかりました」
ロンベイルの挨拶で、僕以外は就寝した。
護衛は外で寝るそうで、僕含め三人で車内で雑魚寝。
僕は外でも問題ないと言ったが、ロンベイルが反発してきたので最後に寝る程で外で待機する。
何かあった時にこの方が動きやすいしね。
外で寝る事に抵抗が無くなったのは、あのサバイバル特訓のおかげだろう。
早速生きてくるとは、先生には脱帽する。
先生……で思い出すのは、出発する前の会議で言われた三人の”最要注意人物”。
一人目は、神聖騎士団第五支団団長 レイシア=ディオーネ。女。
”六感のレイシア”と呼ばれる程に、魔力感知と直感に優れた人物らしい。
何人もの反徒が調査に行ったきり戻っては来なかったそうだ。
出来れば近づきたくは無いが、一番遭遇する確率が高い。
二人目は、ラクト地区枢機卿 イリヤ=アークディル。女。
ラクト地区を治める実質的な長で、教会戦力の主力幹部。
騎士団に所属していない教会の構成員は基本的に魔術師らしく、その中でもこの枢機卿と言う階級は格が違うらしい。
先生曰く、「魔術師は何をしてくるか、何処から攻撃してくるかの予測が難しいから、シンの停止能力があっても今の段階ではシンの魔力が先に切れる」と断言されたので、相当やばい。
普通にしていたら会う事は無いだろう、と言われたので切実にそうであって欲しい。
三人目が、一番の危険人物。
神聖国アウスの”神使”及び”聖アウス教会教皇” マグドギール=シュタイン。
”神使”は各種族の神柱に選ばれた英傑で、実質的な国の長だ。
会社で例えるなら、神柱が会長で神使が社長と言った所であろう。
先生がこの人の話をした時に、顔が強張っていたのでヤバいのは明確。
「遠目で見る機会があれば、シンも彼の恐ろしさがわかるだろう」と言われた。
百五十年以上生きている等、様々な噂が昔から囁かれていると言う。
とまあ、現段階では話が現実味を帯びていないので実感が無いけど……
取り敢えず、大人しくして普通の女の子を演じれば大丈夫だろう。
「ケン、起きてる?」
外でうたた寝をしている護衛に聞こえない様、独り言の声量で話しかける。
『我は寝んぞ。この姿は眠気が無いんじゃ』
「今日は随分と静かだったじゃん」
『お主が喋るなと言ったからじゃろう。して、なんじゃ?』
「マグドギール=シュタインって知ってる?」
出発前の会議は集中したかったから、ケンは部屋にお留守番だった為内容を知らない。
『誰じゃ?知らんなぁ』
「そっか……人族の神使だってさ」
『ほぉ、それは大層な人物じゃな。今のお主らじゃ相手にならんじゃろう』
「ははっ……だよねー。ねえ、ケンは僕の魔力が見えてるんだよね?」
『あぁ、ハッキリと視えておるぞ。その歳とは思えぬ魔力制御じゃよ。
半透明で、層はまあまあの薄さじゃな』
魔力の制御は、抑え込みが上手いほど自身を覆う魔力の層が薄くなり、総魔力量が多い程色が濃くなる。
魔力の色は、通常は水に漏れ出たオイルの様な色で、微かに揺らめいている。
「僕の魔力総量ってどんくらい?」
『うーん………デュークの、半分位じゃないかのぉ……』
「そっか、まだまだだなぁ……」
『いや、そもそもデュークが人族の中ではかなり多い方じゃから、その半分でも
その歳なら異常な位じゃよ。
我はもう何人も見てきたが、差し当たり”能力者体質”って所じゃろう』
「何それ?」
『各種族には各種族なりの魔力上限があって、一定量行くとそれ以上増える事は
滅多に無いんじゃが、人族に多い”能力者に限っては魔力上限が
”他種族に匹敵する”者も多く見られる。お主はそれじゃろう』
「へぇ……え?まさか、先生って……」
『見てた感じ、能力を使って無さそうだったから我は分からん。
もしかすると隠しているのかもなぁ』
おいおい、マジかよ……
先生、まだ何か隠しているのか……?
「おや、シンさん。まだ起きてたんかい?」
暗闇から、焚き火に照らされつつ眠たげな目をした護衛が近づいてきた。
「いや、もう寝ますよ。考えが纏まったんで……」
水の初級魔術”水球”で、焚き火の上から水の塊を落として火を消す。
そして、車内に行くふりをして僕は外で寝るのだった。
◇
翌日は、ロンベイルが予定通りに馬型霊魔を購入し、ラクト地区へ向けて出発した。
霊魔を買う村まではアルトと護衛の二人に馬車を押して貰い、ちょっと罪悪感があった。
アルトは平気そうだったが護衛はだいぶしんどそうだったな……
ロンベイルに聞いたら、馬型霊魔の価値は金神貨三〜十枚だそう。
うーん、じゃあ金一枚十万円位なのかなぁ……?後で袋の中身確認……
そして更に三日たった。
僕はほとんど何もしていない。
魔力感知で見つけた侵犯者をアルトに命令……と言うかお願いして倒してもらっている位。最早、ただのお嬢様と化している。
いっその事そう言う設定を付け加えようか、と思ったけれどよく考えたら目立つからダメだ。
だが、何もしていない日々は意外と早く終わり、もうラクト地区の検問が見えてきた。
「シンさん、アルトさん。通行許可証と武器許可証は持っていますか?」
「なに、それ?」
「はい、ありますよ。ほら、アルトの」
やっぱり僕が持っていて正解だったよ……
この子なら忘れるなって思ったけど、期待を裏切らなかった。
「でっかい門だな……グレイん家のやつがショボく感じる」
確かにデカい。
グレイ邸の門も立派だったが、こっちは扉だけで6〜7m位ある。
木製の大扉に年季の入った金具はとても威圧感を与える。
紫に銀の差し色の鎧を着た聖騎士が、十名程睨みを効かせているせいでもあるだろう。
「許可証の提示を」
「はい。……この子達は私の連れです」
「………確認しました。問題ありません」
「どうも、ご苦労様です」
どちらも慣れた様子で、スムーズに事が運んだ。
聖騎士に中を覗かれた時は心拍数が上がってしまった。
警察に見られた時、何もしていないのにこんな感じだったなぁと思い出した。
今は向こうからしたら悪い立場だからバレたらヤバいんだけれど……
「ふぅ、やっと着きましたねぇ。ここは都市部に一番近い門なので直ぐですよ」
「いやぁ、何から何までありがとうございます」
門を抜けても、林道は続いている。
ノアの村の様な凸凹道では無くキチンと舗装されている。
あくまでその地域に入る門であり、街に入る門では無いみたいだ。
少し変わっている。
しばらく進んで林道の終わりが見えた時に、景色に夢中だったアルトが口を開いた。
「ん?何か人がいっぱい居るけど、なにあれ?」
「……?ん〜、何ですかね……」
確かに開けた所に大勢の人が居る。
おおよそ、事件か見せ物とかの類じゃ無いのかな?
「ん〜?……あぁー、あれは磔ですね。見るのは初めてですか?」
ロンベイルがごく自然に、あたかも当然の出来事の様に言ったのが、僕の認識を鈍らせたのだろう。
磔と言う言葉を聞いても、直ぐにピンと来なかった。
近づいた時に、鉄の十字柱に男女二人が全裸の血まみれで、見るも無惨な容姿になっているのを見て初めて理解できた。
理解したと同時に目を逸らす。
それはアルトも同じ様だ。先程までの期待に満ちた眼差しは微塵も感じない。
「おや、ああいうのは得意ではありませんでしたか?私も初めはそうでした……」
コイツは、アレを見ても平気なのか?
僕が……僕らが異常なのか……?
「アレは……もう助からないんですかね?」
平常を装い質問する。
「……あはは、コレはキツイ皮肉ですね。シンさん。
あれは反徒なのですから助ける人は居るわけないですよ。
ああなったら終わりです。人からは非道な行為をされ、見せしめにした後に
処分する。もうしばらくやっていませんが、私も子供の頃は石とか投げた
もんですよ」
ロンベイルは外を眺めて、懐かしげに語る。
先程までの親切な男から出たとは思えない言葉に僕は絶句した。
僕はもう一度視認を試みる。
男の方はもう体に力が入っていないのが一目瞭然だ。
髪は毟り取られ、棒の様な物が各所に刺さったままになっている。
女性の方はまだ意識がある様だが、切り傷だらけで至る所が腫れ上がっている。
猿轡で縛られた口で何かを訴えている様に見えたので、民衆の間をよく見ると男女の足元には子供が居て、ぐったりとうずくまっている。
「……!あ、あの子はどうなるんですか?」
「首都アウスに送られる……らしいですが、あくまで噂でしかありません。
更生施設に入れられるとか、他種族に売り飛ばされるとも……
まあ、アレで生きていられたらですけどね」
外からは、距離があるのに罵詈雑言が聞こえて来る。
それはこの惨状に対する憂いや嘆きでは無く、男女と子供に対する暴言だ。
とても正気とは思えない。
「都市部の洗礼、と言った所でしょうか……
魔女狩りは恐ろしいので気おつけて下さい」
「……はい」
『酷いな。正気では無いぞ。我でもここまでのは滅多に見る事は無い。
人民もだが、それを許容している人神と神使は気がしれん。
同族をなんだと思っているんじゃ……久々に憤るわい」
ケンの言う通りだ。
今ならグレイがやろうとしている事の意味がわかる。
百聞は一見にしかずと言うが、この惨状で僕とアルトの心持ちは大きく変わったのだった。
読んでいただきありがとうございました。
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