第十四話 共鳴する魂
大事な回だったので少し長くなってしまいました。
戻ってきてからの三ヶ月は比較的平和な日々だった。
前の三ヶ月弱が過酷すぎて麻痺してるのかも知れないが、グレイ邸で不自由無く
暮らしていたのが恵まれた環境だと言う事を再認識した。
ハプニングとまではいかないが、困った事ならあった。
前から度々、女である事をわすれてしまう時があるのだ。
お風呂の時にアルトが入っているのに入ろうとしたり、湯上がりに半裸になったり……
その度にアルトが目を点にして顔を赤くするもんだから、いけない事をした気分になる。
前の世界は、この歳の幼馴染で一緒に風呂とか結構あったと思うけど……この世界の人間は成熟が早いのかな?
主観的に見てもまだ自分は”まな板”だし、こんなので動揺するなんてアルトの将来が少し不安になる。
後は、お尻を掻いたり素の”男の休日”感が出るとエレア姉に「それは可愛くないから絶対やめなさい」と言われる。
だからエレア姉が見ている時は気が張って疲れるのだ。
毎日いるエレア姉とは違い、グレイは結構家を開ける事がある。
先生と二人で村々を渡り、同志を募らせる為に直談判しに行っていると言う。
初めて聞いた時は正直感心した。
偏見かもしれないけど、領主というのは大きな家にいて人を顎で使う様なイメージがあったので、自分の中でのグレイの好感度が上がった。
先生がいない時は、ブルーノが家にいてくれる。
元より、グレイ邸には”刻印魔術”と言う設置型の魔術式で強力な結界が張られているらしく、そこまで心配する事は無いそうだけど……まあ、強い人がいてくれた方が安心する。
父……ではないけど、今はグレイがそのポジションに近い。
前の世界の父も家にほとんどいなく、接点が少なくて思い出も無いけど、境遇が似ているグレイは自ら歩み寄ってくれる。
もしかしたら、自分が特殊能力持ちだから贔屓してるのかもしれないが、それでもいい。
僕は、今の様な生活を望んでいたのかもしれない。
◇
今日は珍しくエレア姉からお遣いを頼まれた。
なんでも、手の離せない事をしているとか。
いつもアルトに頼むのになぜ僕なのか?と聞くと、エレア姉はバツの悪そうな顔をしていたからきっと何かあるんだろう。
アルトにも「一緒に行こう」と言っても、自主練があるからと若干挙動不審で断られた。
この家の住人は、隠し事が下手すぎる。
何かあるなとは思ったけど、気づかない事も優しさなのだ
初めの頃は、一人で歩き回る事すらダメだと言われていた”箱入り娘”状態だったが、今となっては三等級相当と言う事で誰もついてこない。
今もお遣いの帰り道を一人で歩いている。
グレイ邸と村の中心部は少し距離があるので時間がかかるのだ。
今日は早朝まで雨が降っていた為、林道がぬかるんでいるせいでもある。
道を整備しろよ……と愚痴りたくなったけど、そもそもそんな技術や知恵はあるのだろうか。
まあ、魔術があってインフラ整備が無いなんて笑っちゃうけど。
「ただいまぁー………ってあれ?」
随分と静かだ、全員出払ったのか……?
魔力感知にも引っかからない。
え……?エレア姉は頼むだけ頼んでどっか行ったとか、そんな事する人じゃないと思うけど……
そう思って、リビングダイニングの大扉を開けた時だった。
「「シン、誕生日おめでとう!」」
「…………え??」
全員集まっていた。
ブルーノやお手伝いのおばさんまでいて、食卓には明らかに普段より豪勢な食事が並んでいる。
頭の整理ができない……何かの間違いでは……?
「戸惑うのも仕方ないさ、シン。お前の誕生日はわからないから、ここに来た日を
誕生日にしようとみんで決めたんだ。だから、今日で一年って訳だ」
グレイは少し自慢げに言う。
俺が発案者だぜ!って言わんばかりの顔だ。
「そんな……い、いいの?」
「俺の時も祝って貰ったのに、シンだけ無いのはおかしいよ。当たり前の事だ」
「そ、そっかぁ……」
アルト……お前、いい子だなぁ……お兄ちゃん泣きそう。
「まさかとは思いますが、先生。魔力遮断の結界とか張りました?」
「お?気がついたかい。いやぁ、集まっているとシンなら勘づいてしまうかなぁと
思って、結界貼ったんだよね。ははっ」
「随分とまあ、贅沢な使い方ですね……」
「はいはーい、お喋りは座ってからにしてくれるかしらー?」
エレア姉の号令で僕達は着席させられた。
◇
この世界にも、人型以外の生き物がいる……らしい。
”霊魔”と言って、見た目は僕の知る”動物”に近い。
今、目の前に並んでいる料理がかつてそうだったモノだ。
前の世界では、豚や牛の肉を当たり前のように食べていたが、この世界ではそうは行かない。
侵犯者によって人族が住む大陸下腹部の野生霊魔は、ほぼ食い尽くされてしまったらしい。
今残っているのは、保護されて繁殖しているモノしかいないと言う。
個体数が少ないから、高級品という訳である。
加工前の……生きている所を見てみたい気もするけど……
魚類はそう言った事にはなっていないみたいなので、結構魚料理が進化していたりする。
「アルト、落ち着いて食べなさい。全く……」
「やっぱ魔肉は最高だな!何年ぶりだよこれ」
エレア姉がアルトの口を拭く。
アルトには少し厳しめだけど、なんだかんだ可愛がっているのは知っている。
「ほら、シン。俺からの贈りモンだ」
グレイは足元に置いてあった袋から、本を三冊取り出した。
ラッピングとかは無いので何かは一目瞭然である。
「ありがとう。えぇ……っと?魔術記録集に世界の記録集!凄い……!
こんなのあるんだ!あとは……”淡青女神神話録”?なにこれ?」
「それは買うつもりなかったんだけど、シンと髪色が同じらしいから面白いかなー
って。読んだら感想聞かせて」
「うん、わかった」
一つグレイの興味が入っていたけど、貰い物だから文句は無い。
「グレイとシンちゃんは本好きだから、話があっていいわね。
ふふ……私からはコレよ!!」
鼻息が可視化できそうな位興奮した表情のエレア姉が出したのは、服だった。
うーわ……またヒラヒラ……って訳でも無さそうだぞ?
ドレスさながらのもあるが、動きやすそうな物もちゃんとある。
「良いじゃん!エレア姉!こういうのだよ!」
「ふふん!私だって馬鹿じゃ無いのよ。シンちゃんがスカートタイプを着たがらな
いのはわかっているんだからね!」
「じゃあ、なんで作るのさ!」
「それは……似合うからに決まってるじゃないのよ!!」
確信犯だったんかい……僕は着せ替え人形じゃ無いぞ。
でも、フリフリの服を少し残念そうに見つめるエレア姉を見て、罪悪感が湧いた。
服を作るのは大変に違いないし、もしかしたらエレア姉から見たら僕は女の子
なのに、そういう服が嫌いな変な子に見えているのかも知れない……
そう思うと……
「……わかったよ、たまになら着」
「本当!?じゃあ、まだ私の家にいっぱいあるから……あぁ、あれもいけるかしら
……いや、むしろ」
「はいはい、後でいいだろエレア。ほらよ、シン」
興奮するエレア姉を制止して、ブルーノは僕に何かを羽織らせた。
肌触りから、良いものであろうと察知する。
「コレは……ローブ?」
「ああ、騎士が軽装備の時に着るローブだ。元々俺のだったが、デカ過ぎるから
エレアに加工してもらったのさ。刃は通りにくいし、下級魔術位ならびくとも
しないぜ?それ」
「へぇ……凄いね。ありがとう」
僕の能力を加味してのローブなのだろうか。
防御寄りの能力だから、重装備じゃなくてもいいって事なのかな?
「……ん?この背中の刻印魔術、何?」
「それはね……こうするんだよ」
デューク先生が、黒い筒を持って僕の背に周った。
少し弱いけど魔力を感じる。
「どうだい、シン。重さを感じるかい?」
「え?いや、さっきと何も変わりませんよ?何かしました?」
「そうか、なら成功だな!いやぁ……我ながら名案だと思うよ。はっはっは」
ちょいちょい、先生や。
満足してないで状況を説明しておくれ……成功って事は何かの実験?
「先生、背中どうなってるんですかぁ?僕見えないんですけど……」
首を回しても、見えるのは黒い筒の先っぽだけ。
「ああ、すまない。ちょっと待ってくれ……ほら、見てごらん」
先生が持ってきてくれた姿見に、身の丈より少し小さい筒を掛けた自分の姿が映った。
あ、コレ剣だったのかぁ……ってあれ?筒の重さを感じないけど?
「コレは”追尾”と”結界”の魔術式をローブと鞘に刻印して、鞘が自動的に背に
追尾する様にした物だ。しかし、ただ追尾を施すだけでは肌に触れて重さを
感じてしまうから、結界を用いて少し離しているって訳なんだ」
す、すごい!こんな使い方があるなんて!
うおぉ!歩いても走ってもジャンプしてもくっついてくる!
「……でもコレ、どうやって手に取るんですか?背中の剣届かないです」
「ふふ、大丈夫。それはこの手袋を使えば……っと、一回外に出ようか。
屋内で刃物は危ないからね」
◇
庭の方に一旦移動する。
僕はローブを着て、右手に手袋をしている状態だ。
「シン。背中に手を回して、剣を抜く動作をやってみてごらん。
柄は触らなくて良いよ。手は握らず、軽く開く感じでね」
言われた通りにやると、剣は勝手に鞘から抜き出され吸い付くように僕の手に収まった。
まるで磁石のように。
「凄いですね!コレ!自分で抜かなくていいなんて!」
ーーーー!?ーーーー
なんだ?今一瞬電気が流れた様な感覚が……?
「ああ、初動の高速化が見込めるからかなり優位に立てると私は踏んでいる。
剣を鞘に収める時は、鞘の方に魔力を込めると追尾が切れるから普通に戻す
しかないんだけどね……また魔力を込めると追尾が起動するよ。
剣が手元から離れてしまっても、一定の距離なら手元に戻ってくるんだ。
雑な言い方をすると、投擲も可能って訳だね」
先生はスラスラと説明していたけど、ちょっと最初の方聞いてなかった。
あの感覚は何……使い方は使ってみたらわかるでしょうきっと。
それにしても、久しぶりにテンションが上がった!
自動追尾してくる剣とか、男心をくすぐるし移動もかなり楽そう……
先生凄すぎます!!
「凄いな……カッコいい!」
アルトは目を輝かせているけど、感想だけで駄々をこねないあたり気を使っているのかも知れない。
まだ一年しか一緒にいないけど、少し大人になってる気がする。
「あ。それで、私からの贈り物はその剣だよ。私のお下がりですまないが」
「え!?先生の……ですか?いいんですか、そんなの……」
「昔貰ったんだが、鍔が無いから私はしっくりこなくて使っていなかったん
だよ……だから大丈夫」
「そうなんですか……ありがとうございます」
剣というか、コレは仕込み刀だ。
僕が最初、筒に見間違えたのも仕方ないだろう。
確かにコレは先生には似合わないかも知れないなぁ……
「終わったの?終わったんだったらさっさと戻るわよ」
さほど興味の無かったエレア姉は早く家の中に戻りたかったらしい。
僕達もそれに続いた。
『ーーーー』
「ん?なんか言った?グレイ?」
「いや?何も言ってないけど……?」
ん〜?おっかしいな……
誰かがボソボソ言っているような気がしたから、近くにいるグレイかと思ったけど……
まあ、いいか。
◇
順番的に次はアルトだろう。
モジモジしてるし、チラチラなんかみてるし。
大丈夫だアルト、僕は何が来ても文句は言わないさ!
でも、流石に前に僕が渡したプレゼントのアンサーで、告白じみた物を渡されたら嫌だけど……
そうなったら、ブルーノに全責任を取ってもらおう。
「シ、シン。コレ、俺からだ!」
「ありがとう、アルト。……これは」
髪留めだった。
なんと言うか、一番リアルな所だな……でも、貰った中で一番実用的かも知れない。
「俺は……俺は、まとめた時の髪型も良いと思うぞ!」
「そう、かな?あははー……ありがとう」
一応、ブルーノに視線を向ける。
が、特に笑ってはいなかった。
「なんだよ……そんな目で見んなよ。大丈夫だ、口出しして無いから……
またお前に殴られたくはないからな……」
「そうだぞ、アルトは自分の力で稼いで買ったんだからな」
「ちょっと!そういうのは言わないもんなのよ?グレイ!」
ブルーノも流石に学習したみたいでよかった。
まあ、あれだけ殴れば流石に覚えるよね。
アルトが頑張って買ってくれたこの髪留めは大事にしよう。
この後も誕生日会は少しだけ続いた。
◇
時刻板は9を指している。
すっかり夜になり、良い子は寝る時間に入った。
僕的には、今日グレイに貰った”世界の記録集”が気になるので、まだ寝るわけにはいかない。
大きさはA4サイズより少し小さい位で、厚さはまあまあある。
それとさっきグレイに「コレ、違法な本だから家から持ち出し厳禁ね」と言われた。
どうやらこの国は、国民に外部の情報を知られたく無いらしい。
噂程度の知識で人族は生まれて死んでいく者が多いなんて、これじゃゲージに飼われているペットと変わらないじゃないか。
それでも尚、救世主として教祖にまでなったイブ=アウスを信仰するのは何故なのか。
絶望の経験は、偽りの救いすらも希望に変えてしまうのか……?
あぁ……考えるだけで苛立ってきた。
ダメだ、一回忘れてコレ読もう……
コレは……地図だ。
縦長の大きな大陸”天元の大地”……下腹部が人族の領域になっている。
先生から聞いてはいたけど、だいぶ広いな……
首都アウスはここからかなり離れている。
港町もアウスの近くに一つしかなく、海路の制限も徹底してるって事か……
大陸の上部に行くにしても、”ガメル”という都市にある人界門を潜らなければならない。
大陸の縁は大半が山々で、地図を見る限り完全に閉ざされている。
上手いことできてるな……
大陸上部にある……血鬼族の国”冥界”エル、か……
恐ろしい名前だなぁ……絶対行きたく無い。
「あっ」
アルトから貰った髪留めが、不意に机の上から転がり落ちた。
転がりやすそうな円柱状の物体はそのままベットの下へ誘われてしまった。
床に這いつくばって、取ろうと頑張るが……くそぅ、取れそうで取れないっ
ーーおぉう、久々の女の下着は子供用か……ンなもん物足りんわーー
あ、やべっ……パンツ出てた。
この部屋着着慣れちゃったけど、ワンピースみたいなやつだからたまにめくれん……
……じゃない!?誰だ!?誰かいるのか!?
「痛ぁっ!!」
慌てすぎて、ベットの下に突っ込んでいた手を強打した。
ーーなんだなんだ。そそっかしい娘よのぉーー
誰もいない。
目視で確認するのは簡単だったが、声は何処からか聞こえる。
魔力感知にも変な物は無さそうだ。
ーーまっったく……ここは何処じゃ一体……ーー
再び聞こえた方を勢いよく見る。
そこにあったのは、立て掛けて置いた先生に貰った刀だった。
ゆ、ゆっくり近づこう……ゆっくり……
ーーえ?す、すごい近づいてくるな……凄い我の事見てるし……ま、まさか
聞こえているなんてありえんしな……ーー
僕の目と鼻の先に刀がある。
中身を確認しても、特に変わった所は見当たらない。
でもコレは気のせいでは済まされない。
とりあえず、また何か発するまでジッとする。
屋外の環境音がよく聞こえるほど、静まり返る。
ーー………え?聞こえて、る……?ーー
「聞こえるけど……誰?刀の妖精か何か?」
『んなぁ!?ほ、本当か!?マジなのか!?お主何者じゃぁ!?』
「……いやぁ、質問してるのこっちなんだけど……」
『あ、すまん……この状態の我と話せる者が久方居なくて、つい舞い上がって
しまった……
んでじゃ、我の素性は話したくても話せないんじゃよ。すまんな、少女よ』
おいおい……人の物に勝手に宿っといて名乗らないとか怪しすぎだろう。
コレは先生に言ったほうがいいのかなぁ……?
「率直に聞くけど、敵なの?味方なの?」
『………ふっ、さあな。それは受け手次第かもしれんな』
「じゃあ、不安だから売る」
僕は刀を握りしめ、先生の部屋に持って行こうとした。
売らないにしても、先生に見てもらおっと。
『待つんじゃ!冗談!冗談だからやめて!ちょっと話し相手ができたから、
からかってみただけなんじゃ!我、全然無害だから!本当!うん!』
凄い慌てようだな。
姿形も顔もわからないけど、必死さは伝わってきたから嘘じゃ無さそう。
まあ、もう少し聞いてみるか……
「本当にぃ?大丈夫?」
『そもそも我、この状態では外部に干渉できんのよ。悪事なんてしたくても
できないんじゃよ』
「僕の下着見たくせに?それは悪事じゃないの?」
『あっ……いやぁ……それはぁ……スイマセンデシタ。
魔力感知で辺りを見る位はできるんじゃ……」
別にパンツの一枚や二枚見られようが僕はどうでもいいんだけど、
この仮称”刀の妖精”は一応こっちの事は見えているらしい。
『お主は……血鬼族か?龍族や妖精族では無さそうじゃが』
「いや、人族だよ。他の種族なんて見た事ないし」
『ひとぉ!?ひとって……あの人族か!?いや……確かに一瞬思ったんじゃが、
我の知る人族はこんな豪勢な生活ができる様な種族では無いぞ……
一体何があったんじゃ……?』
会話から察するに、かなり昔から存在していそうな妖精?
しかし、なんでこの刀にいるんだ……?
「いつから”そこ”にいるの?と言うか、なんでそうなってるのさ?」
『あぁコレは……”とあるヤツ”に封印された結果じゃよ。いつからかは……
そうじゃなぁ……軽く千年は経ったかのう。別に我が好んで剣に
なりたかった訳じゃ無くて、封印先が剣だったのじゃ。
我の事を話せないのは、その封印の制約ってわけじゃな。
と言うか我、少し前まで山頂に刺さっていたのに気がついたらお主の物
に入っていたんじゃ!』
「千年!?そんなに!?封印されたって事は、ソイツは悪いヤツって事?」
僕はもうベットに肘をついて寝転がりながら話している。
貰った本も気になるけど、今はこっちの方が大事だ……読むのはまた今度。
『いやぁ……それは我が悪いんじゃけど……ヤツは悪いヤツではない、決して。
して、我からお主に提案があるんじゃが……』
「何?変な契約とかは絶対しないよ?」
『契約では無い。協力して欲しいんじゃ、我の封印を解くための。
見返りとして、お主を知識面でサポートする事を約束しよう。
我、こう見えてもあらゆる事情に詳しいんじゃよ?』
協力かぁ……
仮に封印が解けた時に、実は悪魔みたいなヤツだったら僕のせい……
「協力って何するの?」
『当面は、連れて歩いてくれるだけで良い!』
「……まあ、それなら大丈夫か……」
キナ臭くなったら、さっさと手放そう。
『本当かぁ!?う、うおぉぉ、奇跡じゃ……お主が聖女に見える……
あ、名前聞いてなかったな?」
「シンだよ。訳ありで苗字は無いんだ」
『そうか、深くは聞かないでおこう。シンよ!我の事は好きに呼んでくれて
構わんぞ!長い付き合いになるかも知れんからな』
え?僕が名前つけるの?なんかペットみたいだな……
どことなく……期待している様な感じがするのは気のせいか……?
「うーん、じゃあ”ケン”で」
『……え?安直過ぎはしないか……?シンよ?』
「え?嫌なの?」
『いや、そう言うわけでは無いんじゃが……もうちょっとこう……』
「ふぁぁ……じゃあ、僕は寝るわぁ……」
『え!?もう寝るの!?もうちょっと話をーー」
僕の意識がフェードアウトするまで、ケンはずっと喋っていた。
第一印象は……結構かまってちゃん、だな。
◇
[サイド・アルト]
寝る前に小便、小便っと……ん?シン誰かと喋ってる?
少しだけ開いている扉から、中をこっそりと覗き込む。
見た感じは誰もいない……?え?どうなってるんだ?
いや、よく見ると今日デュークから貰った剣に向かって喋っている様に見える……
あれか?村の他の女の子は、人形でごっこ遊びをして遊んでいるらしいけど……それ?
もよおしてきたから、覗くのをやめてトイレに向かう。
うーん、だったら髪留めじゃ無くて人形の方が良かったのか……?
あの喜びは気をつかって……?うーーん……
色々考えてたら、全然寝付けなかった。
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