2020/04/29
その夢は、水の臭いのする夢だった。
私は知らない田舎にいた。雨だった。帰り道も分からないままに公園を駆け抜け、山のコンクリート固めの斜面を登ると、近くにいた小学生たちが歓声を上げた。
同じように帰路を探す、中学時代の友人たちがいた。どう考えても通路でない高い位置や、中から水の出ている穴があった。しかし我々は手あたり次第にそれらをあたった。
やがて町が冠水したのか、我々はフェリーに乗っていた。友人の一人が我々の滞在していたというホテルとフェリーを行き来する方法を編み出していたようで、荷物をサルベージ出来たと喜んでいた。しかし、みんなわざわざ真似をしようとはしなかった。フェリーにはイルカが寄ってきた。状況が状況である。おまけにあんまり多い上に近くで見ると不細工なもので、ありがたみは無かった。
フェリーには両親も乗っていたらしい。両親は三階の個室で、カラオケ機が無いとぶつくさ言っていた。私はそれが一階の個室前、扉の裏に隠れていることを知っていたが、黙っておいた。
多分、別のシーン。
私たちは居酒屋にいた。一行は客の役で店に入ったのだが、私は途中から店員の役をやらされることになった。数珠と、バンダナを身に着けていた私はエプロンに着替えるとき、「外した方が良いですか?」と聞いた。この店はどこか東洋系の民族料理屋のようで、数珠やバンダナはその民族と相性が悪いことを知っていたのだ。
さて、私は各人から百円を徴収して回った。しかし一人の客が何やら特殊な注文をしたらしく、徴収額が百円でなくなるようだった。座席は釣殿のように池に張り出した場所だった。商品の袋に書かれた小さな文字を探す。すると、店内で騒ぎが起こった。
店にいた人間の数人が、妙な粘液に塗れていた。この粘液は後に爆発するらしい。犯人(人か、それ以上の何かかも分からないが)に唆された被害者は、巻き添えを作ろうと粘液の拡散に努めた。主には性的な誘惑によるものだった。淫行は創世神話になぞらえて行われ、私は旧友に「国を作ろう」と言って迫られた。何とか振り切った。
結局、無事である人間は檻に立てこもることになった。パニックは数日続き、食糧難が起こった。我々は食糧を共有する手段を有していないらしい。各々が大豆や白米などの食糧を栽培しながら生存していた。確か、汚らしい旧友は鼻くそを食糧にしていた。私はというと、単に食が細いもので何とかなった。
続きのシーンなのかもしれない。
雨降る屋敷の中を、私は逃げていた。庭の一室に立てこもると、両側の扉を蛇のようなものがまさぐる。一瞬扉が開くと、一緒に立てこもっていた誰かが攫われた。しかし、彼らの目的はあくまで私であるらしい。というのも、私はこの世界で二番目に強いプレインズウォーカーのようだ。一人が攫われて油断した私は、そのさらわれた一人の裏切りによって扉を開けられ、蛇に攫われた。
私が二番目というからには当然、一番のプレインズウォーカーがいるわけだ。そしてそれは野望のためにこの手の暴虐を重ねている輩で、つまるはニコル・ボーラスであった。私はボーラスにプレインズウォーカー灯を収穫された。焼けるような痛みに金切り声をあげたあと、私の身体は豹になっていた。ボーラスは黄金の玉座に腰かけると、私を愛玩動物とした。不思議なことに、私はそれを嫌とも思わなくなり、ついにはこの邪竜に愛着すらも抱いていた。
それからしばらくすると、ボーラスは他のプレインズウォーカーらによって制裁された。私は元いた町に戻った。水の交差点と呼ばれる駅前のスポットが、私の馴染んだ場所だった。小さな、マスコットのようなプレインズウォーカーが二人、どこかへ行くのが見えた。追いかけてみると、二人は「ウォーッチャー」と「ポストマン」という名前で、平和の戻ったこの世界で郵便か何かのサービスでも始めるらしい。ボーラスを打倒したプレインズウォーカーらに仲間意識を感じていた自分は、各々がそれぞれの生活の中に戻って散り散りになっていくことに一抹の寂しさを感じていた。
別のシーン。私は車の後部座席に乗っていた。旧友と、ある社長が一緒に乗っていた。我々の話題は、古いゲームのことだった。話が盛り上がるうち、仲間の社長に目を付けた我々は「ビジネスの力があれば過去に埋もれた作品の続編が出せるんじゃないか?」という話になった。私も便乗して「シナリオの仕事を振ってくれ」などと言ってみた。私が昔遊んだ『アークライズファンタジア』の名を出すと、他に出てきたのは『英雄伝説』だったかその辺のタイトルだった。自分はやったことが無いというと、是非やっておけと勧められた。
やがて我々は大きなオフィスビルの前に着いた。恐らく社長がこれから買収の交渉でもするのだろう。噴水のある広場を抜けようとすると、しかし社長はスライムに飲み込まれた。必死の抵抗空しく、飲み込まれた。
別のシーン。新緑の小路を走るバスに揺られてのことだった。私は紆余曲折の末、女神に愛された。腕に抱きつく女神。だが私にはすでに恋人がいて、反対の腕に抱きついていた。それは以前別れた恋人で、鬱陶しく思っていたはずがこの夢の中ではそれなりに好きだった。何なら、容姿もずいぶん修正されていた気がする。
女神は嫉妬からか、私の恋人を殺した。しかし、恋人は一枚上手だった。このシーンの最初の方に、女神が何かノートに文字を書くシーンがあったのだが、恋人はそれを女神の持つ特殊なノートにすり替えていたらしい。その効果により、反対に女神の方が死ぬことになった。




