2020/02/13
私たちはめいめい、屠殺者のいる施設から脱出を計っていた。恐らく冷蔵庫なのだろう、肉の吊られた-83℃の部屋を駆け抜ける。体温が奪われる。途中、一か所だけ脇腹を斬られたがなんとか脱出できた。
建物を出ると、私は騎士となって近所の堤防で馬を走らせていた。帰り道へ折れようとすると竜が立ち塞がっていたので、手にしていた槍で頭を一突きして殺してやった。すると竜の後ろには自転車が置いてあって、私はそれに乗って帰ることにした。
帰ると言いつつ、堤防から降りた道のさらに下に広がっているのは温泉街のように華やかな通りである。私は繋がっていない斜め向こうの足場へショートカットしようとジャンプした。しかしそれは縁に弾かれて失敗し、自転車は転落。私はなんとか縁に掴まった。「うわあ、死ぬ、死んじまう!」と叫ぶと、通行人に「うるせえ、そんな高さで死ぬか!」とツッコまれた。手を放すと簡単に着地できたので、注目を浴びた私は「アッハァ、お騒がせしましたぁ!」と大声で謝って誤魔化した。
別のシーン。私はウイルスソフトの攻撃に遭っていた。動画を奥のウインドウに置いて作業をしていると、サジェスト機能で次へ次へと動画が飛ぶうちに3Dモデルのピンクの髪の少女の動画に行きつく。気にせず作業をしていると、それはやがて壁紙を彼女の裸の画像に書き換えはじめた。慌てて電源を落とし、設定を回復する。しかし同じようなことが何度か続いた。終いに少女の3Dモデルはバグの進行でポリゴンの破綻を起こし、化け物のような姿になっていた。
別のシーン。旧友とその母が近所の橋の傍で話をしていた。なんでも、人を家に上げることに制約を敷くかどうかの話のようだ。私は以前彼女の家に上がった経験がある、という設定になっていた。
さて、そして彼女の家のシーンに移った。もう今から帰ろうかというところで、風呂場が通り道になっていた。出口を知らない私がうろうろしていると、何者かに背中を殴られた。見回すと、あたりには近所の子供たちが行き交っている。近所で恨まれるようなことをした記憶はない。もう少し探すと、なるほどいじめっ子がいた。
別のシーン。我々は長い共同生活の実験から解放された。最後に実験の一環として、この共同生活で知り合った人間から任意で連絡先を交換する時間が設けられた。私はそれなりに人気だったが、交換を誘われるたびに必ず相手のメモのリストを検閲した。ある不愉快なWeb作家と縁のある者を弾くつもりだったが、一人として書いている者はいなかった。そこでそもそも本名を知らないことに気付いて、気にするだけ馬鹿馬鹿しいと思った。
そうして自分の周りにいたのは、大学時代の学友らだった。これから卒業式に向かうようだ。
卒業式に向かう途中、マンションの一室でのシーンがあった。私は一つ年下の従弟に何かの手助けをしたらしい。親戚筋というやつは学歴について随分持ち上げるもので、みな「ロアちゃんが手伝ってくれたんだから安心だろう」と口を揃えていた。
それから、いくつか部屋を移動するうちに携帯が鳴った。なぜか父のガラケーを私が持っていた。職場の部下からの電話のようだ。要領を得ない会話をしながら歩いていると、ちょうどその電話の相手がいた。それから父も近くを通ったが、酔っているのか話の通じる状態ではなかった。私は父の部下に携帯を渡し、後のことを任せた。
さて、卒業式では誰かがスピーチをしていた。大きな目標のある私は周りより少しだけ熱心にスピーチを聞いていたが、途中、何かの用事で従姉たちに連れ出された。用事の内容は忘れたが、従姉はお礼を兼ねて近くのアウトレットで服の一着でも買ってやると言い出した。アウトレットへ向かう途中、近くの建物の上から父が声をかけてきた。「俺の寮にあるナントカを持っていっていいぞ」と。ちょうどアウトレットの先は父の職場になっていて、我々はそちらに行き先を変えた。
柵を開けて中に入ると、だだっ広い建設予定地がある。バイト先の上司がそこで働いていた。背は低いままだったが、かなりの筋肉だった。それから、ある心理学者がワークショップのようなものを開いていた。長らく疲れ切った精神を引き摺っている私は、ワークショップの参加者では無いものの「いつも動画を見ています」と言って相談を切り出した。
人生を変えるための具体的なアクションプランなど諸々情報は得ているのだが、もはやそれを実行に移し習慣づける気力すらないのだ。労働と、慣れた娯楽と、近い未来への不安と、遠い過去への怒りと、それだけで毎日心と体が回っている。前に他所で「鬱から脱するには知識より体験」といった旨の経験談を聞いて説得力を感じていた自分は、「逆に学術的な見地からこれってどう思いますか?」「そもそもそういう体験ってどうすればできますか?」なんてことを尋ねた。
いつの間にか我々は車に乗りながらその話をしていた。向こうの答えは出なかった。遠くから、レゴブロックのようにカラフルな塔が見えてきた。




