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俺氏、砂漠に突撃する。

 今回はすぐに本編に向かいます。

 べ、別に話が思いつかなかったんじゃないんだからねっ!


* * * * *


 4人と1匹は視線を交錯させる。そんな中、アリシアはつがえた矢をファルトドンに向けて放つ。

 矢はまっすぐファルトドンに向かってゆくが、頭部にある多くの堅牢な鱗に弾かれる。それに苛立ったファルトドンはアリシアをキッとにらむ。そう思うとファルトドンは4人に向かって突進してくる。アニーシャ、アリシア、ミリアは素早く回避するが淳は全く動こうとしない。むしろ淳は構えを固める。こぶしを構え、突進に合わせてこぶしを振りぬく。そのこぶしは的確にファルトドンの頭部に命中しその周辺の鱗を砕く。唐突に走った痛みにファルトドンは首をもたげたたらを踏む。その隙をついてミリアは戦鎚を右足めがけて振りぬく。そこでついにバランスを崩しその場に崩れるようにして倒れこむ。アニーシャもここが好機とにらんだか比較的防御の薄い腹をなう負で切り裂く。途端に鮮血が噴き出すが気にせず切り裂く。ファルトドンはゆっくりと起き上がるが首元にアリシアの放った矢が刺さる。四方から攻撃され勝ち目がないと察したのか翼をバタバタさせ逃げようとするがどうやらうまく飛び上がることができないでいるらしい。

 ファルトドンは戦鎚であらぬ方向に曲がってしまった右足を引きずりながら離脱しようとする。アリシアはそれを追撃しようとするが、淳がそれを止める。

「ジュン君?なんで止めるの?」

「いや、別に命まで取る必要はないかなって…。 あいつらだって生きるために必死なんだ。ちょっとやりすぎちまったかもだけど、ここは見逃してやろうぜ」

 3人はきょとんとして互いの顔を見合わせた後、やれやれといった感じで肩をすくめる。

「ま、それはいいんだけど。 にしてもあのパンチ凄かったわね。どうやったの?」

「ん?ただの身体強化だよ。 とりあえず腕に全魔力を集中させて攻撃力をあげたんだよ。ちょっと難しいけどこの1カ月くらい練習してやっと身に着けたんだ。別にこの1カ月くらい、何もしてなかったわけじゃないんだぜ?」

「そうでしたか。ドワーフは保有魔力が少ないのでよくわからないのですが…難しいんですか?」

 話を聞いていたミリアの頭にいくつか疑問符が浮かぶ。ミリアの言う通りドワーフ種は生まれつき保有する魔力が少なく、また魔術や魔法を扱う技能が著しく少ない。なので大抵のドワーフ種はその肉体を鍛えぬくことで戦闘力を補っている。といっても、別に鍛えるといっても生活していれば自然と強くなる。というのもドワーフ種は住んでいる地域柄鉱石を採掘し、その鉱石を加工してそれらを輸出、生活の足しにしている。なので別に鍛えなくとも屈強な肉体を手に入れることができるのだ。

「そうだねぇ…。 器に入った水を一滴も残さず救い上げるって言ったら分かりやすいかな?」

 う~ん…。それあんまりわからないっていうか、わかりにくくない?

「そ、そうなのですか…」

 あぁほら、ミア困惑しちゃってるじゃん。

「ま、とにかく先を急ごう。早くクリスレントに着きたいし」

 装備を整え移動に専念する。もうこれ以上エンカウントしたくはないのだが…。


 山脈を超えるとそこは見渡す限りの砂漠で、風が吹くたびに砂が舞い視界を奪う。太陽はさんさんと照り付けているせいか動かなくても汗がにじみ出てくる。

「本当に砂漠だ…。 すがすがしいほど砂漠だ…」

「だから言ったでしょう?クリスレントは砂漠の中にあるって」

「そういえば、この辺とエルフェイドってあんまり離れてないのにこんなに環境が違うんだな。なんか…。 自然ってすげぇ」

 位置的には経度はそんなに変わらないが、山脈に海風がぶつかりなんやかんやあって乾いた風がクリスレント側に吹き込むことによって周辺が砂漠になっているのである。

 ふと進んでいる方向を見ると大きな水晶がいたるところから突き出ている山が目に映る。しかもそれはすぐ目の前にあるように見える。

「お、山脈超えたらすぐ近くじゃんか。 これならもうちょっと楽してもよかったんじゃね?」

「何を言ってるのですか? クリスレントはまだまだ先ですよ」

「え?でもすぐ近くに見えるんだけど…って、そうか」

「はい、これは蜃気楼ですね。このペースだとああと3週間はかかるでしょう」

 そ…そんなにかかるのか…。

「この荷物の数に目的地までの距離、それに途中でのキャンプに魔物との遭遇を考慮に入れるとそれくらいはかかるかもね」

 むぅ…。 もう魔物とのエンカウントはコリゴリなんだが…。

「兎に角進みましょう。ノコノコしてたらもっと時間かかっちゃうわよ」

「それもそうですね。早く進みましょう」

 まぁどうにかなるだろう。もし何か出てきても経験値になっていただこう。なんて考えながら歩を進める。さてどれほどかかるのやら…。


* * * * *


 砂漠にたどり着いてから早5日。最初のキャンプにたどり着く。 キャンプには行商人や旅の一団なんかの人々がいて、色々な人種を見ることができる。

「へぇ~、いろんな人がいるんだな。キャンプって」

「ま、そうね。ここの砂漠は超えるのに最短でも1ヶ月ほどかかるしこうやったキャンプが点在してるのよ。そういえばジュンってエルフ族とドワーフ族しか見たことなかったわね」

 アニーシャがジュンと発した瞬間、それを聞いたであろう周囲の人がどよめきだす。

「あんた…ジュンって言ったら人間族を亡ぼしたっていう、あの!?」

「マジかよ!ほんとかよ! すげぇ!!」

 4人は瞬く間に取り囲まれ、もみくちゃにされる。

「なぁ!なぁ!あんた人間種に終焉をもたらしたって本当か!?」

「あぁ、一応…」

 答えるとさらに歓声が上がる。もはや収拾がつかないと思った。その時だった。

「何が英雄だ。 直接手を下したやつの方がよっぽど英雄じゃねぇか」

 そんなつぶやきが上がる。その一言に場は一瞬にして凍り付く。中にはその一言に賛同する声もあれば、そのきっかけを作ったのは淳だという声もある。ぶっちゃけ賛否両論だ。

「自分でやらなかったのは同族への同情何だろうが、そんなんじゃこの世界は生きていけないぜ?」

「同情?」

 呟いた男に淳が聞き返すと、男はとぼけるなと叫ぶ。

「同じ種だからって手を抜いてるといつか誰かに寝首を掻かれるぞ!」

「ご忠告どうも。だが俺は人間なんかに同情なんてないんでね」

 淳は男に向かって目線を向ける。その目には光がなくどこを見ているかわからない。

 男は冷や汗を噴き出すと、何かぶつぶつ言いながら人ごみの中に消えていった。

「ジュン…? いったい何をしたの?」

「何もしてないさ。 ただああいうやつらは元の世界でさんざん見てきたからな。今さらどうってことないよ」

 淳の目はいまだに光が宿っていない。うつろのままである。

「そう…? だったらいいんだけど」

 アリシアが安心すると、そのままキャンプへと移る。果たしてこのまま無事にクリスレントへとたどり着けるのだろうか…?


-to be continue-

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