第2話 天然
さっそくコメントを頂き非常に嬉しく思いました!この場で読んで頂いたこと、コメントをくださったことにお礼を申し上げます。本当に嬉しかったです!ありがとうございます!出来るだけ早い更新が出来るよう勤めていきますので今後もよろしくお願い致します。
今回は少し短いかもしれません・・・
「それでは勇者様方、お好きなところへお座りくださいませ」
カトレアに促され真人ら召喚された者達は、思い思いの席へと腰を下ろした。
勇者達を座らせる前に入り口から最奥の席に腰を下ろしたカトレアを見るにカトレア・“シュバルツ”と名乗っていたことも併せて、彼女は相当この国において位の高い人物なのだろう。
「真人君、奏さん、私達は外の見える窓際に座りましょう」
「わかった、その方が都合が良いんだろ」
「ええ、“見えていた方が確実”だから」
「わかった」
「ええ、わかったわ」
真人らは部屋の入り口からほど近い窓の外から壮大な山の見える席へと雫を挟むように右手側に真人、左手側に奏での横並びに座った。
―おおふ・・・すごい!雫を挟んでいるのにおっぱいがはみ出して見えている!壮観だ・・・!コレが格差社会・・・雫、残念だったな―
びくっ「あなた、ぶれないわね。恐怖すら覚えるわ」
「真人君、何か私に失礼なこと考えたでしょ。TPOを少し弁えてみようか?ねっ?」
―!雫の視線が痛い・・・流石幼馴染。ここは少し真面目にしておこう―
そんなやりとりをしている間に、カトレアに追随していた司祭集団も予め決まっていたのだろう、部屋の入り口の前とカトレアの傍に控える様に分かれて並んでいた。
「用意されている食事などはご自由にお楽しみください。では皆様、改めてご挨拶致します。すでにお気づきの方もいらっしゃるでしょうが私カトレア・シュバルツはこの国の大司祭、そして女王でもあります」
―うまっ!このステーキの様な料理、牛とも豚とも違う物だが歯ごたえの割に咀嚼をすると瞬く間に溶ける不思議な食感、しつこくない肉の風味、この真っ赤なソースも絶品だ!・・・・・王女かと思ったが、女王・・・この国のトップだったのか―
「女王とは言いましたが私は今代理でこの国を治めているにすぎません。本来この国は、私の最愛の夫“ハイド・シュバルツ”が治めていました。ですが・・・今ハイドは深い・・・深い眠りについているのです。原因は300年前に起きた戦争によるのですが、この度皆様をここに召喚させて頂いた事これらと関わりのあることなのです」
「300年前?!」
そう声を張り上げたのは例の異世界転移に心躍らせていた青年だ。
「そう、300年前です。天啓により皆様の事はある程度存じています。皆様はこの世界で言うところ人族と呼ばれる者に類似した肉体と精神をお持ちのようですね。それを踏まえるに私共の生態は異形だと思われることでしょう、私共は・・・ここは長寿であり強靭な肉体を持つヴァンパイアの統治する国なのです」
―まさか・・・この料理・・・違うよな?―
「ヴァンパイアキターーー!!!!」
言わずもがな、彼である。
「ヴァンパイアをご存知なのですか?!」
「ああ、俺たちのいた世界では空想の存在として周知されていた。長寿で強靭な肉体、日の光や銀に弱く・・・人の生血を好む者としてな」
そう答えたのは召喚間際にトイレットペーパーを欲してした尻出し男だ。
今はキリッとした表情だ、ちゃんと尻を拭けたのだろうか。
「私どもと少し差異がありますね、肉体的特徴は一致しますが人の生血を好むなどはありません。なので安心してお食事を続けてくださいね」
カトレアはそう言うと食事の手が止まっていた物達を見回した。
「それに毒の類も入っておりませんので、警戒している方々もご安心ください」
―ふむ、警戒して雫は手をつけていなかったのか。奏が紅茶に口を付けていたから問題ないと判断したが・・・大丈夫だよな?―
「さて、話を戻しましょう。最愛の夫ハイドが眠りにつく原因となった戦争、その終結の時ハイドはとある呪いを受けたのです。肉体から魂が剥がされ、魂を異界へと隔離するおぞましい呪い・・・加えて魂は異界との境界線を越える際に22の欠片へと分裂してしまいました。・・・そう、ここにいらっしゃる勇者様方22に・・・ん・・・・あれっ?23人いる・・・・・?」
そこで今まで取り繕った様な表情から、いかにも人間味のある・・・ヴァンパイアだが、呆けた表情をした。
「アルフォンス!」
「はっ!ここに!」
カトレアに呼ばれ出てきたのは傍に控えていた、顔は皺の刻まれたものでありながらも精悍で生気溢れる偉丈夫な男性だ。一番傍に控えていた事から恐らく彼も重要な立場のものなのだろう。
「どういうことです?私の受けた天啓では、指示通りに召喚の儀を行えば22人の異世界者が現れると・・・まさか手違いなど起こしていませんね?」
「お言葉ですがカトレア様、このアルフォンス命に代えてもその様なことは無いと断言致します」
「・・・・ならば良いです、下がりなさい」
「はっ!御意に」
―本来は22人だった・・・恐らくあの鏡の欠片が目の前に現れた者が対象だろう、すると僕か雫がイレギュラーか?あの時欠片は一つだったしな。これはまだ黙っておくべきか―
そう真人が考え雫を見ると彼女も同じ考えに至ったのだろう、目を合わせ深く頷いた。
そして雫が真人の右手、奏の左手を掴んだ次の瞬間・・・真人ら3人の姿はその場から消えていた。
真人と奏の着ていた衣服を残して・・・
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