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it's a wonderful life  作者: DaRK
1/1

終わりはすぐに突然に...

「もって後4年,5年・・・くらいです」

 いやに蝉が五月蝿く鳴いていた夏の日だった――

別に今まで特に何かあったってわけでもないし、特別体が悪いとか、目が悪いとか?病気とか?

頭は少し悪いけど・・・いやだいぶか・・・なんでかなー・・・どうして自分なんだろうとか

色々な事が頭を駆け巡ってだけどやっぱり頭は理解できなくて理解なんてしたくなくて

病院のベットで寝ながら、天井の小さな穴を数えながら、蝉の五月蝿い泣き声を聞きながら

奥の個室の部屋から先生の話を聞いた母親と妹のすすり泣く声をおしこらえた嗚咽が

 ――いつまでも僕の耳から離れなかった


簡単に言うと僕は記憶障害らしい、きっかけはほんの些細なことだった・・・

学校からの帰り道で今日は家にかえって何をしようとか、そういえばあの漫画新刊でたなかったっけ

とか色んな事を考えてたら横断歩道を渡っている自分の方に突然赤い車が突っ込んできた

あぁ、これ避けれないなとか思った瞬間に身体に凄い衝撃を受けて僕の記憶はそこで終了

運転手はそのあとビルに激突し即死、気づいたら病院のベットの上だった


今はまだ大丈夫らしいけど時間が経てばたつほど

だんだん記憶力があいまいになってくるらしい、それで正常な記憶力があるのはもって4、5年

そこから先はいつ、誰が、誰と、何をして、どんな場所で、とか・・・

楽しい思い出も悲しい思い出も笑いあった思い出もくやしかった思い出も泣いた思い出も

全部、全部、全部・・・忘れてしまうらしい

さらには今までの記憶も段々と薄れてきてしまって誰が誰かも分からなくなるって・・・

まだ中学三年生だよ?楽しいこととかこれからいっぱいあって友達と笑いあったり

色んな馬鹿したり、泣いたり、好きな人とか恋人とかできたり、部活を頑張ったり・・・

なんで自分なんだろうって言葉が頭の中をぐるぐるまわって、だけどどうしようもなくて・・・

そんな自問自答の毎日をしていたら気づいたら夏が終わり秋が来て秋が来たかと思ったら

肌寒い冬の季節がやってきて友達たちがクリスマスだとかパーティーだとか言う話をしてて

新年のあけましておめでとうってはがきが友達から届いてあと何年このはがきが見れるんだろうって

考えてたら、またなんか悲しくなって、気づいたら春が来ていて綺麗なピンク色の桜の花をみて

そういえばちゃんとみたことなんてなかったなと思ってじっと桜の花をみてたら

なんだか涙がまたでてきて、それをみて友達は笑いながら

「何泣いてんだよ!そんなにみんなと離れるのが悲しいのか!!」

とちゃかしてきて、そんな自分をみた女子たちがなぜか慰めてきて・・・

それがまた辛くてまた涙がこぼれてきて、どうせこの記憶も忘れるんだろうなと一人ごちた


―それが早見拓真の中学三年生の記憶-

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