伝書鳩の訪問
面白い体験を思い出したので、流れを気にせず書いてみる。
小学校の中学年以前だと思うが、家に伝書鳩が来たことがあった。
そのとき家には僕と母がいて、不意にベランダの窓を叩く音がした。ベランダを見てみると、一羽の鳩がくちばしで窓をつついていた。それが伝書鳩だとわかったのは、タグかなんかがついていたからだと思う。
当時住んでいたのはマンションの6階だったのだが、鳥にとってはちょうどいい高さだったのかもしれない。よく母にパンの耳を用意してもらってベランダに置いておくと、ヒヨドリとかが食べにきていた。
この驚きの展開に、僕はさぞ興奮したことだろう。
母が虫取り網で鳩を確保して、家の中に入れた。が、フンやら何やらで汚れるので、ダンボールか何かに入れてすぐにベランダに出した。
鳩はしばらくそこでおとなしくしていた。水と食べ物を置いておいたが、水だけ少し飲んで、食べ物には一切手をつけなかった。そう訓練されていたのだろう。
翌朝には、鳩は姿を消していた。
あの鳩は無事目的地につけただろうか。
この出来事に関して、「動物は動物を好きな人のことがわかるんだよ」と言われたことがある。不思議で、わくわくする体験だった。