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僕はどう生きるか 偏差値80からうつ、ニート、無職になるまで  作者: 依澄歌
中学・高校時代 歯車が狂いはじめる
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手術

 高3の夏休みに手術をした。といっても、命に関わるようなものじゃない。鼻の骨を削って、鼻の中をまっすぐにする手術だ。


 僕は小さいころから酷いアレルギー性鼻炎に悩まされていた。それに加えて、鼻中隔湾曲もあった。鼻中隔湾曲というのは、鼻の中が曲がっていて鼻呼吸に悪影響を与えるものだ。


 鼻水、鼻づまりはとても苦しかった。鼻水は始終止まらないし、鼻で呼吸ができることはほぼない。日中つらいのはもちろんのこと、息ができなくて寝られない日も少なくなかった。


 薬を飲んだり点鼻薬を使ったり病院で簡単な処置をしてもらったりはしたが、根本的な解決には至らなかった。

 そして高3の夏、とうとう我慢できなくなり、かねてより医師に勧められていた鼻中隔湾曲の手術をすることにした。


 そもそも、そんなにつらかったのになぜそれまで手術をしなかったのか。


 まず、僕は血液検査がとんでもなく苦手だ。単に痛いから嫌、というのではなく、生理的に無理なのだ。

 手術をするとなると、当然血液検査が必要になる。全身麻酔で知らないうちに終わってしまう手術自体よりも、血液検査を嫌がっていたかもしれない。

 この歳になってちゃんと健康診断を受けたいと思うものの、血液検査がある限り、僕は簡単には踏み切れないだろう。

 ちなみに、点滴も同じくらい苦手だ。術後にしたと思うから、あのときも泣きそうだったんだろうな。


 そしてもちろん、手術自体にも抵抗はあった。体にメスを入れるのは怖いし、入院も一定期間しなくてはならない。


 長年拒み続けてきた僕が手術を受けることを決断したのは、おそらく急に症状が悪化したからではない。様々なストレスがかかって、症状に我慢ができなくなったからだと思う。


 親も学校の先生も、どうして受験前のこの大事な時期に、という反応だった。僕もそう思う。でも、その時期だからこそだったのだろう。僕はもう耐えることができない状態だった。


 実は、手術の前に鼻の粘膜をレーザーで焼く治療を一度受けていた。鼻の粘膜が炎症を起こすと腫れて空気の通り道を塞ぐので、その部分を焼き切るのだ。

 処置後しばらくは少し調子がよくなったが、すぐに元に戻ってしまい、この治療だけではダメだった。残された道は手術しかなくなった。


 手術はあっという間に終わった。「麻酔かけますよー」と言われた直後、病室のベッドに寝ていた。


 ちょっと鼻の中を削るくらいに思っていたのだが、予想よりも大がかりな手術で、術後が大変だった。

 鼻にぎゅうぎゅうにガーゼを詰められて違和感が半端ないし、血も結構出た。もちろん鼻呼吸はできない。ガーゼが喉に落ちてむせたこともあった。

 何よりつらいのがガーゼを抜くときで、痛いし、強烈な刺激が目のほうまで襲ってくる。インフルエンザの検査で鼻に綿棒を突っ込むやつがあるが、あれを何十倍にもきつくした感じだ。


 病院には、父に頼んで参考書やら問題集やら単語帳やらを大量に持ち込んだが、精神的にも体調的にもほとんどできなかった。

 事情を説明して学校の夏期講習の出られなかった分の教材ももらったが、こちらもとてもじゃないができなかった。

 学校では、かなりの数の講習が安価な授業料で開かれていた。例によってとりまくって、まともに消化できてなかったと思う。


 術後の経過はというと、しばらくは血の塊が出たりして苦痛だったが、手術前に比べてだいぶ調子がよくなった。

 効果は10年くらいもつときいた。手術してから10年はもうたった。そのときによって多少調子の変化はあるものの、今でも手術前とは比べものにならないくらい鼻の調子はいい。


 結果的に、手術はしてよかった。成長期を過ぎると手術で切除した部分も再生しにくくなるらしいので、このまま一生もってほしいと思う。

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