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僕はどう生きるか 偏差値80からうつ、ニート、無職になるまで  作者: 依澄歌
誕生~小学生時代 フツウに生きていたころ
16/74

天才との邂逅~天然パーマの歩くダイオキシン~

 5年生のとき、天然パーマの一人の男の子、T君が塾にやってきた。

 T君は僕と成績が近くて、よく席も隣になった(通っていた塾では、テストごとに席順が成績順に変わるシステムだった)ので、すぐに仲良くなった。名前に同じ漢字が一文字入っているのも、親近感がわいた。

 T君は頭がいいだけでなく、それまでの人生で出会った中で一番面白い人間だった。自分の知らないテレビやマンガのことも色々と知っていて、とても大人びて感じた。あと、日本史マニアっぽかった。

 そして、何よりいいやつだった。僕がほかのクラスのやつらとケンカになったときも、僕のことをかばって味方になり、「○○(僕の名前)の敵は俺の敵」と言ってくれた。

 さらにはヴァイオリンが得意で、小学生の当時から海外で演奏をするほどの多才ぶりだった。

 

 T君は、中学受験をする者ならその名を知らぬ者はいない首都圏No.1の超名門中高一貫校に合格し、東大に進学した。在学中から劇団を旗揚げして活動し、現在では宝塚でも活躍しているようだ。

 久しく会っていないが、ずいぶん遠いところに行ってしまったように感じる。

 そういえば、卒業後に一回T君の演奏会を見に行ったことがある。肝心の演奏内容はあまり覚えていない。当然といえば当然だが、あまり話ができなかったのが心残りだった。

 それから、大学生のころに今話をしている塾でのバイトを紹介してくれたこともあった。色々悩んで断ってしまったが。


 ちなみに、僕に魔法少女がカードをキャプチャーする某マンガの存在を知らしめ、その道に導いたのもほかならぬT君である。当の本人が今もオタクかは知らない。

 母は受験が近いのにマンガに夢中になっている息子を心配していたし、「こんな色っぽい女の子が出てくるマンガなんて!」と言っていた。のちに僕が『ハレのちグゥ』と言ったときも「ハレンチ学園!?」とびっくりしていたので、そういうのには敏感だったのかもしれない。


 一方、僕に勉強を教えてくれていた父は、このマンガに対しては特に何も言わなかった。母同様僕に甘い父は、口うるさいところはなく、勉強に関しても、たまに「これをやりなさい」と言う程度だった。

 塾の宿題が多すぎたとき(それでも大半の生徒がちゃんとやっていて、やっていない生徒は怒られていた)は、僕に問題を選んでやらせ、その旨を先生に私信で伝えてくれたほどである。


 どちらかといえば、父は塾の順位表や雑誌の東大ランキングなんかを熱心に見ている姿のほうが印象的だ。

 自身は極めて優秀であったにも関わらず、出身が田舎で学校のレベルも(父からすれば)低く、満足に教育が受けられなかったことが非常に心残りだったようだから、そういったものにひときわ関心があったのだろう。

 あまり表には出さなかったが、僕に対する期待も少なからずあっただろう。それがこんなことになって、色々申し訳なく思う。


 このように、両親どちらからもさほど勉強するよう強いられた覚えはないが、二人が非常に教育熱心だったことは間違いない。

 そういえば、当時ちょうど長野オリンピックが開催されていて、テレビでその中継ばかり見ていたときは、さすがに両親に苦言を呈された。


 これだけカリスマ的な存在のT君だから、当然周りへの影響は大きい。生徒が騒がしくなったりと、それは必ずしもいいことばかりではなく、国語の先生はT君に『天然パーマの歩くダイオキシン』という二つ名をつけていた。

 この先生はほかにも塾の問題児、うるさいやつに『音量つまみの壊れたラジオ』という二つ名をつけていて、これら2つのフレーズが今でも忘れられない。さすがは国語の先生、素晴らしいセンスである。


 こうして、一時はT君に多大な影響を受けた僕だが、中学に入ると段々とT君のことも忘れ、めくるめく新世界に翻弄されていくのである。

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