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私の夢は魔法使い  作者: 西野空
8/11

四葉街

正門を抜け、校舎の横を抜けると正門以上に立派な門がそびえ立っていた。


「さあ、皆起きてるかな?寝てる子がいたら起こしてあげてね。」


鈴山さんの言葉に、バスに乗っている子達は騒ぎ出す。

疲れが出たのか、少しの間しか乗ってないのにも関わらず寝ていた子もちらほらいたのだ。

その子達を起きていた子達が、まぁ強引に起こしたから泣くは喚くは騒ぐは…、バスの中はちょっとした混乱騒ぎとなった。


「皆子供ですよね」


君もだよ。

横目でいっくんを見るとジトッとその大きな黒目で見つめ返して来るあたり、やっぱりいっくんだ。

けど、いっくんみたいのがそうそう居るわけがない。

シートベルトを外して立ち上がる。


「ほらほら、泣かない泣かない…1年生になるんでしょ?あと、火炎(かえん)君だっけ?。女の子の髪は引っ張らないの。自分の髪引っ張られたら痛いでしょ」


前の席の真鈴(まりん)ちゃんの頭を優しく撫でる。長いツインテールを引っ張られて泣き出したのだ。


まだまだ、小学1年生にもなってない子達。これが普通なのだ。


「ぐすん…ぐすん」

「火炎君、なんて言うのこういう時は?」

「……ごめんなさい」

「私じゃなくて真鈴ちゃんにでしょ」

「…ごめん」

「…ぐす」


一応、真鈴ちゃんが頷いた事でその場は収まる。本当にこの先が思いやられる。魔法学ぶより、短大の延長授業だよこれ。


「あ、園田さん、助かりましたよ…」

「うわ…」

「大変ですね」


ボロボロに、なった鈴山さん。他の所を仲裁してたらしい。というか、慣れてないから巻き込まれてたみたい。シャツのボタンが引きちぎられてる。


「あはは、まぁ、良くあることだよ」


私といっくんの憐れみの視線に鈴山さんは笑った。そして、指で宙をなぞる。


「はい、ボタンは元通り。さ、皆窓の外を見て。この内門を抜ければ三葉学園、そして日本最大の魔法都市四葉街だ」


何の魔法を使ったのか気になったけど、ソレより先に窓の外の門を抜けた景色に圧倒される。


「綺麗…」


門を抜けたそこに広がるのは桜とクローバーの並木道。立ち並ぶ街頭はどれもガラス細工のように透き通っていて、彫刻のよう。


そしてなんといっても凄いのは空。


まだ3時ぐらいにも関わらず色とりどりの星が輝き散りばめられ、そして太陽の代わりに四ツ葉のクローバーの形をした白く光り輝く何かが空を照らしていた。


「あれが、この街の由来だよお姉さん。」

「あのクローバーが?」

「そうです。日本では花陽が地名の由来になってるんです。他の街だとひまわりの花陽で地名が向日葵街ってのありますから」

「花陽?」

「質問ばっか」

「いっくーん」

「もう。ようは太陽の代わりの光源的なものです。」

「さすがいっくん。」

「煽てても何も出ませんよ」


プクッと頬を膨らませたいっくんに胸がときめく。これが母性と言う奴か。なんだこの可愛生き物。


「お姉さん気持ち悪いです。」


前言撤回、可愛くない。


そんなこんなでバスの中でわいわいとはしゃぐ子供達を尻目に私は終始窓の外を見てはいっくんに解説を求めていた。


とうとう、目的の場所らしき建物が見えてくる。


昔の日本のお城の形をした建物に大きな長屋のようなものが連なっている。


武家屋敷のような門を抜けるとバスは停車した。どうやら、着いたらしい。


「長旅お疲れ。さ、ここがこれから皆が学ぶ学び屋…えーっと…みんなが魔法やお勉強を勉強するところだよ!」


新入生の子達のポカンとした顔に気付いたのか、鈴山さんは律儀に言い直した。


「で、バスを降りたら君たちにはこれから住むことになる寮に向かってもらう。いいね?」


「はーい!」


と言う元気の良い言葉半分分からない子半分て所から。ちなみにいっくんは分かった上で返事しなかった。


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