怪盗〇〇
…犬に戻った二人は下で、美佳さんと遊んでいる。
部屋で俺とお姉ちゃんは劇のコトについて話していた。
「さくらちゃんには怪盗を演じてもらうのよ」
「怪盗って…大丈夫なの?」
(あの素早い動きは…無理でしょ?)
「大丈夫よ。
ちゃんと秘策があるからね」
そう言って姉ちゃんは、
何かの機械のスイッチを入れた。
すると、へやの中に天の川が映し出された…
「スゴイ…キレイだね」
「姉ちゃん、コレは?」
「プロジェクションマッピングよ」
姉ちゃんがリモコンを操作すると、
景色が次々に変わってゆく…
海の中にいるみたいだったり、空に浮いているみたいだったり…
(スゴい)
でも重大な問題がある。
「…セリフはどうするの?
さくらちゃんでも…小さい子に長々としたセリフは無理だと思うよ」
「ああ、それなら私が…コレを使ってね」
そう言って姉ちゃんが取り出したのは…
(えっ…マイクと小型のイヤホン?)
「まぁ、これはあくまでも補助的なものだけど…さくらちゃんは長セリフがどうしても多くなっちゃうのよ…。
だからね、分からなくなった時には私がこのマイクで教えるの。
本音を言えば…出来れば自分の力だけでやりきって欲しいんだけどね」
そうして時は流れ…。
絶対にマイクは使わないと言ったさくらちゃん。
驚いた…
こんな小さな子が長台詞を覚えられるハズがないと。
舞台袖から見る小さな二人、
プロジェクションマッピングの効果もあって素晴らしいものになっている。
だが、それ以上に…
見る人を圧倒させてしまう…その演技力。
自分たちに出来るすべてを出し切っていると…直感で伝わってくる。
正直これほどとは思わなかった…
言葉が出てこない。
…今思えば姉ちゃんが決心したのはこの時だったのだろうか。




