冬の公園
遅くなりました零です。
今回は伊舞ちゃんの話です。
まぁ…ほぼクリスマスらしいコトは無いと思いますが…
(5月なのにクリスマスの話を書くとは…)
「民斗…
ところでドコの公園なの?」
それは母さんが車に乗って最初に言ったコトだった…。
「えっ…知らないの?」
「うん…」
母さんはたまに後先を考えないで行動するコトがある…。
「…そういえば…
ドコだっけ?」
俺は純一の家の近くということは知っているが、
…純一の家を知らなかった…
とりあえずメールで純一に聞いてみる…
するとそれを見ていた民子が…
「確か、お姉ちゃんの保育園の方じゃなかったっけ?」
…そうだった…
「分かったわ!」
そう言って母さんは車を発進させた。
しばらくしてから…純一からメールが来た。
そして俺は隣の母さんに
「第二公園に向かって!」と言った。
すると母さんは
「分かった!
飛ばすわよ〜」
そう言ってスピードを上げる。
…純一によると近所には公園が2つあって、和樹さんが居るのが第二公園でまだ姉ちゃんは着ていないらしい…
たぶん第一公園に向かったんだろう…
このままでは会えないかもしれない…
俺は純一にメールを送った、コレで2人は会えるはずだ…
…そんなコトをしていると…酔った…。
…俺はなんとか持ちこたえて、車は第二公園に着いた。
俺は車を降りて水を飲んでいると、
母さんが
「…カズくん…」
そう言ってベンチに座っている一人の男を指差した。
その男はベンチに座って眠っていた、
俺は眠っている和樹さんを見ながら
「なんか姉ちゃんと同い年に見えないなぁ」
思わずそう呟いた…。
それを聞いて母さんはクスッと笑い、
「本当に変わって無いわね…カズくん」
そう言って母さんは眠っている和樹さんの前に行って頭を撫でる…
そのとき俺は、
後ろからいきなり目をふさがれた…
「誰〜だ?」
後ろから聞こえる声…女の声だ…
でも民子でも母さんでもない聞き慣れたやさしい声…
「姉ちゃん?」
俺はそう言って振り向いた…
そこには笑顔で俺に携帯の画面を見せる姉ちゃんがいた。
「民斗…ありがとね。
このメールって…民斗が考えたんでしょ?」
「…何で知ってんの?」
俺は純一にメールを送ったが、俺や母さんがこの場所に居ることは内緒にして欲しいと一言付け加えたハズだ…
…まさか…
「大丈夫だよ。
純君は約束は守ってるからね」
そう言って姉ちゃんはメールの内容を俺に見せる…
「…本当だ…
じゃあ何で俺達が居るのが分かったの?」
「それはね…
美希ちゃんから電話があったの
…民斗や民子ちゃん達も来てるよってね。
…まさか凛ちゃんも居るとは思わなかったけどね…」
あれ…なんで母さんのコト、名前で呼ぶんだ?
「うーん…寝てたな…
って…凛さん!?」
…和樹さんが起きたからか…
あれ…母さんと姉ちゃんのコト知らないのかな?
「民斗、民子
…ちょっといい?」
そう言って姉ちゃんは俺達を和樹さんから離れた所へと連れていった…
和樹さんは母さんと話していて、姉ちゃんと俺達には気付いていないようだった。
「…どうしたの…
姉ちゃん?
いきなりこんな所に…」
そこは誰もいない…トイレの裏だった…
「あのね私…
話してないの…」
話してないって…
…まさか…
「お姉ちゃん…あのコト話してないの?」
と、民子が姉ちゃんに聞いた。
「…うん…
…話せなかったの」
何かワケがあるようだった
「姉ちゃん…何があったの?」
「…うん…私が真実を知った頃はね、
ちょうど、自由登校の時期で…
私はカズに会ってなかったの、
カズに会ったのはその後の、
卒業式の前日だけなの…
その日、私はカズとあの約束交わしたの…
その時は『真実は明日話そう』ってその日は話さなかったの。
でも、カズは卒業式の日に来なかった
…だからカズは真実を知らないのよ…
」
俺は泣きながら説明する姉ちゃんを見ながら、
『何か訳があるはずだ…
じゃないと、許せない!』
と、思った。
勿論どんな訳があっても、
俺は姉ちゃんを泣かせる奴を許せない、
だが…相当な訳があるなら別だ。
「お兄ちゃん、何か訳があるはずだよ…だから、まずは話を聞いてみようよ」
と、民子は冷静に言った…その時
姉ちゃんの携帯が鳴った…
電話の相手は母さんだったらしく、
姉ちゃんは俺と民子にも会話を聞かせてくれた。
その内容は和樹さんのコトだった…。
卒業式の前日の夜、
和樹さん一家はお父さんの会社の借金で夜逃げをしたらしく…そのため和樹さんは卒業式に出られなかったそうだ。
そして8年程過ぎ、
借金問題にカタがついて、この公園の近くに引っ越して来た…という訳だ。
とにかく…
姉ちゃんのコトを忘れられず、またこの街で出逢うために引っ越して来た…
ということを母さんに(和樹さんは母さんとは知らずに)
一生懸命話しているらしい。
そして母さんは一通り姉ちゃんに説明すると、最後に
「どうするかは伊舞次第よ…」
そう言って電話が切れた。
それを聞いて姉ちゃんは涙を拭いて
和樹さんの所へと走り出した。
…二人の物語は
時を越えて再び走り出す…
あの晴れ渡る空のように…




