表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/61

第1章 第4節

『――優勝は、アスカ・ホークアイさん。準優勝は、一条宇佐美さんとなりました! アスカさん、今のお気持ちは?』

『これも、応援してくれたみんなのおかげだと思ってます! ――でも、ここからはアスカ・ホークアイの時代じゃなくて、一条宇佐美との二強時代になる……そんな予感がする、有意義な物になりました』

「「「アスカちゃーん!!」」」

『では、おしくも僅差で準優勝となった、一条宇佐美さんですが――どうでしょうか?』

『――もう一度、立ち上がって見せます! 次は負けません!』

『以上を持ちまして、歌謡祭を終了いたします!』


「――お疲れ」

 控室横――参加者がある者は涙を流し、ある者はギリっと歯を食いしばりながら帰り支度をすべく、入って行くのを見送りつつ――。

 此度の護衛対象、一条宇佐美とお得意先でもあるアスカ・ホークアイにタオルを渡す。

「ん、ありがとユウ君」

「はぁっ……やっぱり遠いなあ」

「アスカに僅差なんて、上出来もいい所だと思うけど……」

「何言ってるの? 結果に妥協してちゃ、敵う訳ないじゃない」

「――ま、そだけどね。良いから早い所着替えて……ん?」

 そんな会話を交わしている中で、裕樹がふとアスカ達の後ろに目を向ける。

「? どうしたの、ユウ?」

「ちょっと行って来る。あと、俺が帰ってくるまで着替えるなよ?」

「え? ――ああっ、そう言う事?」

「すぐ戻ってくる」

「いってらっしゃーい♪」

 アスカが笑顔で手を振りながら、宇佐美は疑問符を浮かべながら裕樹を見送り――


 ドガッ!!


「もう良いぞ」

 そう言って戻ってきた裕樹の片手には、先ほどは持っていなかったバッグが握られ、もう片手は上着からスマホを取りだしていた。

「はいはーい。じゃ、宇佐美ちゃん先着替えてよ。ボク見張りするから」

「俺を見て言うな!!」

「…………」

「アスカ、お前――ああもしもし、更衣室付近でカメラ一式持ち込んでるバカ見つけたんで、引き取り頼めない? ……はいはい、わかった」

「なんだって?」

「もうすぐ来るってさ」

「流石に、保安部と繋がりがあると早いね」

「用心棒自体、保安部と繋がりなきゃなれねえよ」

 そう言ってスマホをしまい、バッグを床に置くと――

「――お前もさっさと着替えてこい」

「はーい」


 ――所変わって、連絡橋の屋台が立ち並ぶ区画にて。

「よいしょっと」

「先輩、こっち終わりました」

「おう、ご苦労さん」

 久遠光一、朝倉歩美の両名が屋台の片づけを行っていた、

 その周囲でも同様で、トラックやバイク、リヤカーなどが行き交いつつ、屋台や商売道具の片付けに勤しんでいる。

 屋台を営む商売組には、乗り物と免許、あるいは免許を持っている人材は必須である。

「さて、荷造りは完了だな」

「はい。えっと……」

「いや、先帰っててくれって連絡があったから、先帰ろうぜ」

「そうですか? でしたら……」

 光一がヘルメットを被り、商売道具一式を乗せたリヤカーを繋げたバイクにまたがると、歩美も光一に渡されたヘルメットを被り、その後ろに腰掛けて光一の腰に手を回す。

「……なんか、また大きくなってる様な?」

「え? なんですか?」

「いや、なんでもない」

 背に当たる柔らかさの発育ぶりを感じつつ、光一はエンジンをかけてバイクを走らせた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ