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第7章 第1節

「――椎名九十九!?」

「うっ、嘘だろ!? なんでそんな奴まで!?」

「……そっ、そんな――嘘っ、でしょ!?」

 生徒会執行部員と、その護衛達が九十九の名を聞いた途端、顔を青ざめさせ縮こまった。

「――誰なの?」

「椎名九十九――元保安部員で、コイツが手掛けた事件で容疑者以上は、初等部だろうと女生徒だろうと例外なく私刑リンチで病院送りにする、行き過ぎた行為と思想で指名手配書ブラックリストに名を連ねた、保安部史上最悪のサイコ野郎だよ」

「サイコだと? ルールを守れないクズに、教育してやって何が悪い?」

「その教育が非人道的だから、問題にされたんだろうが。周囲の被害を省みないわ、それを咎めた奴すら病院送りにするわ、問題にならん訳ないだろうが」

「重要なのは、秩序を守る事だろうが。“仁義なき世に平和はない”等とくだらん戯言を掲げ、足手まといでしかないクズどもを守ろうとする北郷程度のペテン師に、否定されてたまるか」

「――頭の固さと壊れ具合は、相変わらずだな」

学園都市は生徒自治であるが故に、生徒の処分はその権限を持った生徒及び、その生徒からの許可を得た生徒でなければ、決められない。

 だから、いかに保安部の手配書ブラックリストに名を連ねようと、その権限を持たない生徒による私刑、大人が介入する事は禁止されており、処分対象となる。

「で――手配書ブラックリストで最上位認定されてる奴が2人も、こんな所に何しに来た? しかも2人して行方不明になってたはずなのに」

「――俺達追いだしておいて、バカな事をするなと言う警告と、久遠光一をこの王鮫に喰わせてやりに」

「お前の場合、後者の方がメインっぽいな」

「朝霧裕樹、お前とも一度やり合ってみたかった――この王鮫に喰われた奴の断末魔は、クセになるんでなあ」

「冗談じゃない。そんな痛そうな刀に斬られてたまるか」

 電子ツールで出来るのは痛覚の刺激までで、致死致傷に至る事はない。

 更に言えば、電子ツールや電子召喚獣を展開するフィールドは、実在するナイフや鈍器と言った物を使えなくする性質を持っている為、それらは足手まといでしかない。

「――まあ折角だ、一条総書記の妹ともどもに、生徒会が如何にバカな選択をしたのか、知らしめてやるとする」

 そう締めると、九十九が構えていたバルカン砲に手を掛ける。

「やばっ!」

 光一がその銃口に狙いを定め、引き金を引き――

「かかったな」

「っ!?」

 その瞬間、バルカン砲を解除し、撃ち出された銃弾をかわして距離を詰め、光一の顔面に右拳がめり込ませ、壁に叩きつける。。

「武器がなければ何もできないボンクラなのは、変わってないな」

「うっ……」

「さあ、罰の時間だ」


「光一!」

「おっと、余所見をする暇が……」


 ガシッ!


「あるけど?」

「――面白い!! ますますお前が、王鮫に喰われた時が見てみたくなった!!」


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