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第6章 第6節

「態々申し訳ありません」

「そう思うんなら、後ろの眼ざわりな雌共連れて、帰ってくれねえかな?」

「――お気持ちはわかりますが、そう仰らないでください。それと同じ女性として、雌呼ばわりは良い気分ではないのでやめて下さい」

 裕樹達を訪ねてきたのは、水鏡グループSP候補生、黛蓮華。

そしてその後ろで、その部下と思われる女性達が裕樹に向けて嫌悪の視線をぶつけ、裕樹もどこ吹く風とその視線を意にも介さず、隠そうともしない暴言を吐く。

「で、こんな所にまで勧誘話かよ?」

「それもありますが、此度は怜奈お嬢様からの夕食の御招待の為の、お迎えにあがりました。勿論、一条宇佐美さんもご一緒に――」

「悪いけど、断らせて貰うよ。食事なんて金が絡む事に手を出す気はないし、貸し借りは返せる範疇でやる方だから……それに」

 そこで会話を切って、裕樹は蓮華の後ろ――正確には、裕樹に敵意の視線をぶつける蓮華の部下に当たる女性、怜奈のSP候補生に目を向ける。

「そんな敵意丸出しの奴が他にも大量に居そうな場所に、誰が大事な雇い主連れて行くか」

「でしたら……」

「もう良いでしょう蓮華さん、幾ら怜奈お嬢様の頼みと言えど、やはりこんな男を引き入れる事は賛成できません!」

「怜奈お嬢様のSP“戦乙女ワルキューレ”の一員として、断固反対します!」

「そうです。怜奈お嬢様の身の安全に、こんな教養もない男を頼る等!」

「異論は認められません――そう言った筈でしょう?」

 その事に対して激怒した蓮華の部下達は抗議するが、水鏡怜奈の決定事項だと告げられた途端に黙ってしまい、裕樹に向けて敵意の視線をぶつける。

「――まあ確かに、そこの“女戦士アマゾネス”を見る限りじゃ、水鏡グループも人材に困ってるのは良くわかるけどさ」

「私達は“戦乙女ワルキューレ”ですと、何度言えばわかるのですか!? これだから、女性に対する礼儀も弁えも知らない下賤は!」

「やめなさい!」

 蓮華の一喝でSPは黙るが、裕樹は動じもしなかった。


「――ねえ光一、あれってもしかして」

「――? ユウから聞いたの? 水鏡グループとの折り合いの悪さ」

「うん。あの美男子さんに、お嬢様を見る限りじゃもめたって言うのが信じられなかったけど……」

「そういう事――それと、黛は女だよ。俗にいう、男装の麗人って奴」

「――そうなの? 自然に男子制服着こなしてるから、気付かなかった」

「本人には絶対に言うなよ? 本人女性らしさがないって思ってて、それを気にしてるんだから」

「しっかりとしてそうなのに、意外と繊細なんだね」

「……あの、久遠さんに一条さん、そう言う事は責めて本人に聞こえない様にいって貰えませんか?」

「あっ、ごめん」


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