第6章 第4節
「……東城と?」
「ああっ……間違いなく、朔夜会にはあの人が絡んでる」
「……あいつか。それなら、あの違法召喚獣の存在も納得がいくな。けど、どこで会ったんだよ? アイツ確か“あの事件”から行方不明だろ」
「昨晩だよ……如月くるみに関わりのある奴で、怪しい奴がいたから直接調べに向かう途中で、お前らが居るダンスホールがある咆哮からな。予期せぬ再会って奴だよ」
「……だとしたら、正直やりづらいな。アイツには何度か世話になったことあるし、事情知ってるだけにやり合うなんて御免なんだが」
「……ちょっと」
眼を覚ましてすぐ、会話を始めた光一と裕樹――の蚊帳の外に居た宇佐美が、不満そうに割り込んだ。
「何の話?」
「――悪い、これ関係者以外に離しちゃいけない事なんだよ」
「関係者って……?」
「悪いな。緘口令って奴だよ」
「……なんだか今回の事件、2人して無関係って訳じゃなさそうね?」
「違いない……そろそろ行くか」
本日の授業は午後から。
学園都市は基本的に、よほどの非常事態に直面しない限りは授業を中止する事はない為、裕樹も宇佐美も本日の授業の準備はした上で出向いている。
「なんだかんだで、宇佐美も馴染んでるな」
「これがこの学園都市の方針だって言う意味は、なんとなくわかってきた気がする」
「流石は一条さんの妹ってところか。度胸は兄譲りだな」
光一に言葉に、宇佐美は嬉しそうに笑った。
「それ素直にうれしいな。あたし結構お兄ちゃん子だってよく言われるから」
「だろうな。態々大金はたいて俺雇う位だから、兄妹仲が良いってのは見てとれるから」
「……なんか、ユウの雇用金聞くのが怖くなったんだけど」
「――心配しなくても、親友の妹で後輩なんだから、友達価格及び後輩特典で安くするよ。2つも年下の後輩に大金せびるなんて事、出来る訳ないだろ」
「おーい、そろそろ行こうぜ―?」
光一の呼びかけに、D-Phoneの時刻表示を見て、慌てて裕樹のバイクを止めてある駐輪場へと2人は駆けだした。
『ギャアアアアアアアアッ!?』
――所変わり。
「大丈夫か?」
「ええ……ありがとうございます、一条総書記」
『クルル……』
「お前もありがとな、クウカイ」
空色の鱗と翼を持ち、カグツチと比べると線が細く、軽やかな体躯と鳥の様な鳴き声が特徴的な飛竜型。
宇宙の電子召喚獣、クウカイが襲いかかってきた違法召喚獣を食いちぎり、分解されていくと宇宙にすり寄る。。
「――本腰入れてかからんといかんか。やっぱり俺に事なかれ主義や人任せって言うのは、性に合わない」




