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第5章 第9節

……2日も開けちゃった

間に合うかな?

「……ようやく、この事件については前向きに対する事が出来そうだ」

今朝方のダンスホール襲撃事件による、生徒会緊急会議が終わって、生徒会執行部総書記、一条宇宙は状況が状況にも関わらず、安心していた。

 何せこの事件に置いて、危機感を感じていない者や、自己保身をメインに据えた行動をとる者が浮き彫りになり、足並みを揃える以前の話であった為に。

「――考えてみれば、最近は大きな事件も世論の変化も、経済の変動もなかったから、大規模な会議自体が久しぶりだったな。もっと早く会議の申請すればよかった」

「無駄な事だ。お前1人が騒いだところで、どうにかなる事でもあるまい?」

 書類を手に、自身の執務室へと向かう途中で、生徒会執行部総副会長、大神白夜に声を掛けられる。

 主に生徒会に所属する副会長達の最高位に位置する立場で、生徒会総会長の補佐と雑務を担当するのが職務であり、宇宙の就いている総書記と並んで同じ生徒会執行部の最高権威である。

「――何か用か?」

「――少々時間をよこせ」

 その中でもこの2人は、御世辞にも良い間柄とは言えなかった。

 “成長とは、どれだけ理解出来るか。その為にどれだけ懸命になれるかである”という考えを持ち、周囲からの人望の厚い一条宇宙。

 “力こそ全て、弱さは罪”をモットーとする現実主義を持ち、持って生まれた天賦の才とカリスマで、信望者の多い大神白夜。

 思想が対立しあう物の為に、彼ら2人は幾度となく衝突を繰り返している――のだが、俗にいう権力闘争の様な物ではなく、あくまで思想のぶつけ合いの範疇であり、プライベートや思想の関わらない部分では、それなりに認め合っている好敵手ライバル関係である事は、あまり知られてはいない。

「――で、なんだ?」

「朔夜会についてだ」

「……ああっ」

 反体制組織、朔夜会の最大の特徴は、戦闘型の電子召喚獣を量産できる事にある。

 元々電子召喚獣とは、マスター登録した学生の成績、性格、職業とその成果が作用し、能力と姿形を形成する為に、今朔夜会がやっている量産兵器として使用するなど、本来ならば不可能である。

 その概念が邪魔して、緊急会議を開かざるを得ない程の大規模騒動になる事を実感できず、執行部員は現状把握が出来ていた一部を除いて、パニックだった。

 故に今回の会議は、実質上宇宙が取り仕切り、白夜は静観を決め込んでいた為に、今回可決された懸案は全て、宇宙の提案がそのまま通った物。

「――事が落ち着き次第、生徒会の人員入れ替えを執行せねばならんな」

「黙って見てたのはそれが理由か? ――いや、待てよ。入れ替えは幾らなんでも……」

「平和ボケした頭でしゃしゃり出て来られる方が迷惑だ――特に今回はな」

「……朔夜会について、何か生徒会に都合が悪い事でもあったのか?」

「――東城太助が、朔夜会に手を貸している」

「何だと!? ……って事は、あの違法召喚獣は東城が創ったのか」

 宇宙は苦々しい表情で、吐き捨てる様にそう呟く。

「確かに東城には、俺達生徒会を恨む理由はある。朔夜会の目的が何かは知らないが、それに加担してもおかしくはないか」

「だからお前に話したのだ。他がこの事を知れば、妙な事を企みかねんだろう」


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