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第5章 第5節

 ――時を遡って。

「なんであんたがここに居んだよ?」

「僕も同じだよ――まさか、顔見知りにこう何度も出くわすなんてね

 裕樹からの依頼で、如月くるみの身辺調査――実際はシラヒメに任せて、光一自身は徹夜明けの為、仮眠を取っていた――を行った際、宇佐美を避難所へと送り届けた裕樹からの連絡のその少し前に、現生徒会に対して不満を持つ生徒との繋がりが見つかっていた。

 その生徒は、元々は執行部に所属していた物の、その立場を悪用しての暴力事件を幾度となく行い、それをもみ消していた事がバレて、生徒会を追放された事件――その生徒に加担していた者の1人だった。

 そして夜も更けたその時分にて、その生徒が住んでいる寮へと赴く際……その道中で、東城太助と出くわし、今に至る。

「あんた、今まで一体どこに居た? なんであんな事したんだ!?」

「――何だっていいだろ? 僕はもうとっくに、人と生きる意味も人として生きる権利も、失ってるんだからさ」

「北郷さんは、ずっとあんたを……」

「――僕は救ってはいけない存在……いや、元々救いなんて、あっちゃいけない物か。救いなんてあったら、気に入らないがまかり通らなくなるんじゃ」

「……あんた、変わったな」

「人の枠から追い出されてわかった事さ――人にとっての平和の真実なんてさ、他人に犠牲を義務だって強いるものなんだってね」

 面と向かって話をしている筈なのに、光一は何故か話をしている気がしなかった。

 太助の眼には、自分が映っていない――その言葉も、自分に向けられている物とは思えなかった。

「質問を変えるよ。あんた、なんで“あっち”から来た?」

 光一が太助を見つけたのは、今外出制限令が出ているにも関わらず、出歩いている生徒。

 それだけでも十分怪しいと言うのに、それが宇佐美が今避難しているダンスホールと、違法召喚獣の襲撃があった地点の方角からやってきた事。

 そして……

「それに、その手に持ってるタブレットはなんだ?」

「回りくどい事はやめろよ……君がここに居るのは、朝霧裕樹に呼ばれたからじゃないのかい?」

「――!」

「それとも――何か別の用事でもあったかな?」

「別の用事だったけど――でも、話は聞いている。じゃああんたか、あの違法召喚獣を造ったのは!?」

「そうだよ――まあまだ未完成で、程度で言えばラジコンみたいなもので、まだまだ改良の余地はあるんだけどね」

「待てよ!」

 光一は咄嗟に、D-Phoneから取り出した銃を構えていた。

「――今のは聞かなかった事する。だから、今からでも……」

「ああっ、それならもう手遅れだよ。もう北郷正輝とは、あってきた――偶然だけどね」

「……!」

「だから、気にしなくていいんだよ――さて、そろそろ質問は良いだろ? もう、行かないといけないんだ」

「どこへ行く気だ?」

「――君が知る必要はないさ」

「答えろ!!」

 光一が激昂する様に大声を出して、銃を握る手に力がこめられ始め――それを察してなお、終始表情を変えずに、指を鳴らす。

 その音に呼応するかのように、違法召喚獣が数体姿を現し、光一を取り囲む。

「――!」

「――じゃあ、急ぐからこれで」

「おい待て!! 話はまだ……!」

「君ならもうわかってるだろうけど、また会うさ――近いうちにね」

「……くっそおっ!!」

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