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第4章 第2節

「……ねえユウ、都市朝礼を狙うって本当かな?」

「可能性は高いだろ」

 都市朝礼。

 学園都市の学校は、名目上は別々の独立した学校として扱われているが、システム上は分校扱いとなっており、それぞれの学校の校長を分校長とし、それらを統括する教師の最高責任者である総校長が居ると言う仕組みを取っている。

 つまり都市朝礼とは、学園都市版全校朝礼で、年に8回学園都市の全学生がスタジアムに集まり、学園都市総校長による訓示、目覚ましい活躍をした生徒の表彰、保安部長官を始めとする学園都市の重要役職の任命の他にも、様々な重大発表が行われる行事である。

「近々行われるだろう、大規模な行事である上に、重要事項の発表の場だ。クーデターが狙いなら、これ以上ないターゲットになるな」

「――考えてみたらそうだけど……よりにも寄って、あたしの初表彰なのに」

 その近々行われる都市朝礼にて、宇佐美は表彰の話が持ち上げられていた。

 宇佐美は今年高校生になったばかりで、都市朝礼での表彰自体は初めてである――が、よもやその初表彰が、クーデターのターゲットにされると言う話には、流石に落ち込みを隠せなかった。

「へいへい、じゃあちゃっちゃと追っ払って、表彰して貰うとするかね」

「うん、期待してる--あっ、そうだ。そろそろ、用心棒代払わないと」

「ああっ、それならもう宇宙から貰ってるよ? 1月分位は」

「え……?」

「あれ? ――あのさ、もしかして本当に知らなかったのか?」

「聞いてない! 兄さんから、腕の立つ護衛を紹介するとだけしか聞いてないよ! ユウもそうならそうって、早く言ってよ!」

「すまん、てっきりわかっててワザと言ってる物だと思って……」

「もうっ……!」

 実は宇佐美は、宇宙からの紹介で裕樹を用心棒として雇うに伴って、生活に色々と制限をつけていた。

 腕利きで信用面でも高いだけに、裕樹の用心棒代はとても高いのだから。

「ッて云うか、それなら給料の上げ下げで動揺しないでよ!」

「無茶言うなよ。信用面で上下するなんて普通だし、金払うの宇宙なんだから、宇佐美の一声で本当に下げられかねないだろ」

「あっ、そっか」

 そんな話をしている間に、裕樹のバイクが置かれた駐輪場――の入り口付近にて。

「一条宇佐美さんですね? ――御同行願います」

 突如引き留められた2人の周囲は、男子生徒数人に取り囲まれているという状態に陥っていた。

「え? あっ、あの!?」

「どけよ。もうすぐ門限なんだから」

「――どなたかは存じませんが、彼女を置いて、今起きている事を忘れて帰られた方が、貴方自身の為ですよ?」

「はっはっは、俺を知らないってのもそうだけど、無理な相談過ぎて笑っちまうな」

「――でしたら、仕方がありませんね」

 眼の前で会話している男が手を挙げると、周囲の男子生徒がD-Phoneを起動し、それぞれ電子ツール武装と電子召喚獣を呼び出し、交戦体勢を取る。

 宇佐美が裕樹の後ろに隠れるようにし、その裕樹は電子ツールの刀を手に、周囲を見回し――。

「――しっかり捕まってろよ!」

「え? ――きゃっ!」

 宇佐美を抱き抱え、無理やりおんぶの体勢にすると、包囲の甘い個所――取り囲む者の中で、一番弱いとみなした相手に向かって駆け出して……。

「ぐあっ!」

「逃げたぞ! 追え!! 逃がすな!!」

 その相手を薙ぎ払い、裕樹は宇佐美を背負ったまま駆け、包囲していた人員もそれに続くかのように駆けだす。

「――怖くない?」

「――平気な訳ないでしょ!」

「じゃあちっと目ぇ瞑ってろよ。ちっと、荒事になるからな!」

 そう言い放つと同時に、裕樹は足を止めてUターンし――。

「うあっ!」

「ぎゃっ!」

 流れる様な動作で、向かって来る男子生徒、電子召喚獣に刀を振るい、その切っ先が閃く度に、ちぎっては投げちぎっては投げと言わんばかりに、襲撃者は男子生徒、電子召喚獣問わずなぎ倒されていく。

 最後の1人が倒れ込むと、その襟首を掴んで無理やり立たせ――。

「――さてと、ちっとお話しようじゃないか」

「――何も言わんぞ」

「別に良いさ。ある程度は想定は出来てるから」

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