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第3章 第4節

「――解析は?」

「ああっ、一応は全体のデータは取得は出来たし、捕まえたよ」

 シラヒメによる黒竜のスキャンが終わり、光一は手に入れたデータを保存し始める。

「結局、なんだったんだろ?」

「さあな。どっかのバカが、デモンストレーションとでもやらかしたんだろうけど」

「それだけならまだ良いんだけどな――コレ見てみろ」

 バッファローが消え去った地点に落ちている1枚の紙を、光一は拾い上げ、その文面を2人に見えるように晒した。。


“天誅 朔夜会”


「朔夜会? ……聞かない名前だな」

「恐らく、政治結社か何かだろうな。狙いは生徒会執行部の転覆か、あるいは……」

「……つまり、クーデターって事?」

「だろうな」

 この学園都市の運営自体は、主に理事会により行われているが、都市の機能自体は生徒会執行部によって手掛けられている。

 こちらは将来的な観点から、早期の育成を主軸に据えており、見習いとして初等部、中等部の各学校の生徒会会長、副会長、会計、書記を集め、議会としての機能を持たせ、それらを実際の実権をもつ高等部以上の執行部員により、纏めあげられる。

 その機能上、力が強い議会も弱い議会もあり、何かと衝突が絶えない部分も存在する為、この仕組みに対しての問題は、理事会でも何度か議題として挙げられている。

「けど、武力制圧だなんて、そんなの……」

「制圧まではいかなくても、治安が乱れて手が回らないってだけでも、不満はまず出るからな。不満が高まれば、現体制に疑問も出る以上――」

「早期の解決が望ましいのだが――時間をかけねばわからん事も多い。難しい物だ」

 そう言って割り込んでくる声――保安部長官、北郷正輝の物だった。

「北郷……?」

「我らの手が回っていない個所で、何体かの違法召喚獣が討伐されたと報告があって、もしやと思ったが――無事だったか?」

「だそうだけど、宇佐美は大丈夫か?」

「あたしは、大丈夫――それより、そろそろ降ろしてくれない?」

「あっ、そうだったな」

 おんぶしっぱなしだったのを思い出し、裕樹はゆっくりと宇佐美を降ろす。

 正輝の横に居た保安部員が――

「――相変わらずですね、朝霧さ……」

「やめろ、あんな状況で朝霧に何かを言わせるな。話が進まん」

 そうぼそりと呟いたのを、正輝が呆れたように制した。

「さて……久遠、データ収集は当然終わらせてあるんだろう?」

「収集どころか、召喚獣は捕まえてあるが、解析はまだこれからだよ。それに……」

「――わかった。こちらから正式に依頼した上で、経費もこちらで用意する」

「じゃあ今日は帰って、すぐ解析に入るから、明日のそうだな……夕方位には経過報告位は出来ると思う」

「そうか」

 その様子を眺めてた宇佐美は、ふと疑問符を浮かべる。

 保安部にも、違法召喚獣の解析班も在籍しているし、そのメンバーも成績上位者だと聞いているのに、個人に頼んでいる事に。

「――ねえユウ、光一の専攻って何?」

「ああっ、あいつが専攻してんのは電子召喚獣の研究だよ。それも学園都市でも上位に食い込む程のな」

「そっ、そうなの!? ――訓練はわかるけど、それでどうして屋台とか?」

「屋台は主に、生活費の工面の為だってさ」

「へえっ……?」

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