第3章 第1節
光一の電子召喚獣の名前、変えました。
各話ノ修正は終わってます。
『ギャオオオオオオっ!』
『グガァァアアアアッ!』
違法改造の施された電子召喚獣の襲撃――それは、裕樹達の所以外でも発生していた。
「住民の避難を急げ!」
「防壁班、前へ!」
召喚獣の大きさこそ象位の物ではあったが、それでも人より大きく、更には肉食動物型が漆黒色に禍々しい様相で暴れている姿は、恐怖の一言で。
怪獣映画さながら、悲鳴を上げながら逃げまどう住民達を保安部は避難誘導しながら、違法召喚獣と対峙する。
「よし、塞げ!」
「了解!」
亀、サイ、牛と言った型の、重量級で尚且つ衝突に強い電子召喚獣が壁のように立ち並び、その後ろで狼や豹等の地上部隊、鷲や鷹などの空戦部隊が攻撃態勢を整える。
「攻撃開始!」
「了解!」
『ギャオオオオオオっ!!』
「――さて」
――その一方で、北郷正輝は単身で、違法召喚獣2体と対峙していた。
モデルの大きさその者の黒豹型、虎型の2体が、威嚇する様な咆哮にもびくともせず、堂々と仁王立ちで
「フドウ、アイゼン」
『ウオオッ!』
『ガオオッ!』
その最前列に立つ北郷正輝が、自身の電子召喚獣。
全身が赤く炎の様な鬣を持ち、首に荒縄をまいた獅子フドウと、全身が青く氷の様な鬣を持ち、首に鎖を巻いた獅子アイゼンを呼びだす。
その内の赤い獅子、フドウが前に出て--
『――ウオオオオオオっ!!』
電子召喚獣には、それぞれの固有の能力が存在する。
初期設定こそ、選んだ進路、得た技能、経験、成果などが関わっており、日常や仕事を行う上で、大きな助けになる物が選定される。
フドウの能力は“威圧”――咆哮で相手を威圧し、動きを鈍らせる能力だが、北郷正輝が戦うまでもない相手の場合、それだけで行動不能に陥らせる。
その対象は人間だけではなく、電子召喚獣にも影響する。
『ギッ!!? ――ガッ、ガガッ……ガ―――!?』
その内1体がフドウの咆哮に怯み、行動不能に陥ったのか咆哮が途切れ途切れのノイズに変わり、まるで眼を回したかのように、よろよろとよろめき始める。
『グッ……グガアアアアア!!』
「……こちらはダメか」
咆哮をあげ、正輝に対して警戒心を強めた虎型の違法召喚獣が、牙と敵意をむき出しにして睨みつける
「――いい度胸だ……だが」
『グガアアアアアッ!!』
「我が拳の敵ではない!
飛びかかった違法召喚獣の鼻に、迎え討った正輝の拳がめり込む。
そこから間髪いれず、もう片方の拳が顎をかちあげ、のけぞるように倒れ伏す。
「――よし、確保を頼む!」
「了解しました!」
後ろの方で待機していた隊員が、蜘蛛型の電子召喚獣を呼び出し、ネットを吐きだして2体を捕獲。
『――ガオオっ!』
「むっ――ああっ、すまなかったなアイゼン。出番をやれなくて」
その様子を見ていた正輝に、出番がなかったアイゼンが拗ねた様な咆哮を上げる。
『ウオオっ! ウオオっ!(コラアイゼン! マスターを困らせるんじゃない!』
『ガオオオっ!!? ガオオッ、ガオオッ!(何だと!? お前は出番が常にあるからいいだろう!)』
『ウオオッ!(駄々をこねるな!)』
「コラ、ケンカするな! ――こちら北郷、こちらの鎮圧は終わった。各員、現状を報告せよ。これより援護に向かう」




