回収
世話役に振り回される。
「前の魔王にもこうだったのか」
「あ、あれ」
無視して、勇者一行らしき人物を見る。
女性に囲まれたハレームメンバーの勇者、
「爆発しろ」
つい本音が出てしまうが、世話役が奇異な目で見てくるだけ。よし結果オーライ。
「バカだな。爆発したら、俺ら人殺しじゃん」
意味ちげぇよ。わざとだろ。
「うん!」
良い笑顔でした。こんにゃろ、
「しっかしまぁ?あれだね、どれも美人揃い。皇女様に神子さんに、あれまぁ、猫耳まで。あ?鳥人だ」
最後にいた女性を見つめている。
「おや?君にみとれているんじゃないかい?ミーナ」
「あら。私が勇者一筋だって申し上げているではありませんか」
「皆最高だな」
勇者もまた格好良いな。あれか?あれだろ。
イケメンオーラってモテオーラとか花に群がる害虫
「蝶だよ」
見つめたまま世話役が突っ込んでくるがあえて無視。
害虫なのか?
「ふふ。だったらそれを教えて」
「鳥の卵ってうまいけど、鳥人ってのもうまいのかな?鶏肉料理じゃなくて鳥人肉」
世話役がこちらを見てくる。
いえ。知らない人です。はい、さすが蛇の種類の魔族とか思ってしまったけど知らない人です、はい。
勇者一行も関わらないでおこうって、いや、異端扱いして逃げたよ。
「こっちきたら味見しようかな」
「どうぞご自由に」
もう見つめてくるから赤の他人とか無理だし。
あ、勇者が女の子を魔の手から救っている。
女の子、勇者に惚れた。
はい、フラグ回収。
俺たち撤収。
私、村娘1、十五歳よ、
赤い頭巾を被った女の子。
可愛いでしょう。
今日お母さんに言われて病気のお婆さんのもとにお使いにきたの。
でも、途中で狼さんたちに絡まれたの。
お金寄越せとか。良い女紹介しろとか。
失礼じゃない!
だから凝らしめてやろうと思ったら、
まぁ、なんて素敵な男性が助けてくれたの!
女性の方々もお優しいし。
あぁ、この人こそ運命の相手よ、
私、この人のために狼も退治して見せるわ!
「赤ずきんを台無しにすな!」
魔王の叫びは遠い。