世話役マイペース
神が帰った後どうやって殺そうか考える。
「あんま物騒なこと考えずちょっとさ外に気分転換に行こうよ」
「えー」
「人間のほうで新しいお菓子を開発したらしい。食いにいこう?」
「まぁいいけど」
頷いて人に化ける魔法を使って人の町へと転移する。
「じゃ!俺行くわ!夕方に集合な」
そのまま世話役の男は飛び出す。
「おー」
彼に付き合うと一日中振り回されるので一人のほうが楽である。一日、甘味巡りだけは勘弁してほしい。もう我慢大会のように甘いものを食べさせられる。
「さてと」
この町の貴族の前にある看板を見る。
「
魔王を退治する勇者募集!
この世界を脅かす魔王を倒そう!
そしてこの世界を救おう!
他の世界から勇者を召喚!
君も勇者の仲間となって魔王退治だ
勇者になりたいそこの君
勇者の仲間になりたいそこの君。
さぁ。この門をくぐって申し込むがいい!
」
そんな看板を見て、思うこと。
(神よりも、国の重役を殺した方が早いか?)
この世界、アデュは元々魔王が統べていた世界。
それを何を思ったか人が魔族を虐殺し、虐げて結果、魔族は魔王がいる孤島に逃げ延びた。
そして人間は魔王の魔力によって潤っている孤島を奪おうと目論んでいる。
それを知っているのは魔族と国の重役だけ。しかし魔王は中々強い。
十段階に分けて一般人が一とすると兵士は三、勇者とされる人間は五。魔族が八。しかし魔王は十。
どれほど考えても努力しても実力は残念ながら埋まらない。
神がこちら側にいるため埋ることもない。
そして天罰が下ると言われても人様に何一つ、悪いことをした覚えがない。
魔物は魔族とは違う。
言うならば人にとってのペットや動物に当たる。
それを管理して、人を食わないでおけというのは死ねと言っているようなもの。
しかもほとんどが孤島に住んでおり、あの島に関わらなければ魔物は勝手に島で弱肉強食を行いながら過ごすだけ。
呼ばれた勇者にしても倒せば褒賞金が貰えるが倒さない限り命をかけて戦わなければならない。
残念な使い捨て道具でしかない。