かつて僕らは親友だった
『真の親友』のために『偽の親友』を地獄へ。
縛り:文字数1200文字まで。
「シュウ、シュウ、シュウ」
呟きながら、僕は探す。
机には大量の紙。
持っているものは黒色のボールペン。
他の人たちは良いところを、だって僕は何もされなかったから。
犯罪者にも楽園を。いや、遺族のために少しはキツい『異世界』に『転生』させるけど。
けど、アイツは、アイツだけは…。
今日こそ死んでいないか。
今日が何年で、何日なのか、僕には分からない。
『この空間』に時計はない。
だから、そもそも『今日』なんてものはないのかもしれない。
今や今やと、僕は探している。
『真の親友』を殺したアイツ。
あの『偽親友』、秀を地獄へ。
それも、大地獄へ。
『真の親友』が自殺するまで、僕ら3人は確かに親友だった。
『真の親友』、平。
『偽の親友』、秀。
そして、僕。
僕たちは『オタク仲間』だった。
アニメ、ライトノベル、マンガなどのオタク。
昨日観たアニメ、小説家になろうに投稿された作品、今流行りの作品について。
高校の教室でバカみたいに話し合う、
でもそれがバカみたいに楽しかった。
それが、僕らの青春だった。
恋人はいなかったけど、大切な日常だった。
僕はほぼうなずくだけの役、タイラが中心、そしてアイツは時々否定してみせる。
けど、タイラは自殺した。
きっと、自殺した原因は 『偽の親友』が裏でヒドイことを言ったから。
だって、それしかないじゃないか。
人が自殺する理由なんて。
僕は事故で死に、ヒトの『転生先』を選んで決める仕事をしている。
『転生先』
『異世界転生』
オタクな僕にとって、天職でしかない。
けど、今は、復讐のために動いている。
シュウを、地獄へ。『真の親友』を殺した『偽の親友』を地獄へ、僕が。
『ここ』にいるから、体は老けない。
高校生のまま。
いつから動いているか、分からない。1ヶ月かもしれない、50年かもしれない、もうシュウは死んで、僕が気付かず『異世界転生』させたかもしれない。そう考えるとゾッとしてしまう。
復讐を叶えず、ずっと生きていたなんて。
復讐が叶わず、ずっと生きるなんて。
「あっ」
つい、声が出る。
『田山秀』
紙にアイツの名前が書かれていた。
産まれた年、出身校、間違いない。
間違いなく『偽の親友』。
大地獄、大地獄へ。
はやる気を抑えながら、一応、経歴を見てみる。
『高校卒業後、ライトノベル作家へ』
「は?」
『オタクのために書く、がモットー』
「否定してたのに?」
『80歳、自殺。理由はきちんと死ねなかった親友2人に申し訳なかったから』
「なんで…」
僕は固まってしまう。
既に地獄へ『転生』させる気は全くない。
僕は何のために恨んでいたんだ?
そもそも、『タイラ』の自殺した理由は僕の想像していた『偽の親友によるもの』だったのか?
僕は、死んでしまった。
タイラも死んでもしまった。
シュウは、今死んだ。
…。
『転生先』を、『真の親友?』の『異世界転生先』を、決めないと。
楽な世界へ。
そして、
「読めたら、シュウの作品を今度読んでみようかな」
息を吐いて僕は呟いた。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!




