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The Park Talk  作者: 白時
6/7

6夜 「ラブホは子宮。地球の子宮。」

 12月24日、21時24分。春川一樹は長袖長ズボン、モフモフの上着を着て玄関にいた。

「散歩行ってくる」

「気をつけるのよ」

「わかった」

ガチャッ


寒っ


 散歩コースをすっとばして公園に向かう。手には紙袋があった。


あいつ、何が欲しいんだろ?


〜1か月前〜

「あと1ヶ月でクリスマスかぁ。俺、子供だしプレゼント欲しいなぁ」

「はあ?俺はサンタさんじゃねぇよ?」

「えぇ〜!俺いい子にしてたのになぁ」

「いい子?どこがだよ?」

「チッ」

 春川は舌打ちをした。

「わかった!なら、プレゼント交換だよ!お前は俺に、俺はお前にプレゼント用意するから!な?」

「絶対な!」

「おう」


〜現在〜

 春川は公園に着くと、ベンチに座る男を、直った公園灯が照らしていた。春川が後ろから声をかける。

「よ!メリークリスマス」

「メリークリスマスイブな?」

 男も春川と同様、紙袋を持っていた。

「じゃ、交換すっか?クレームは受け付けねぇよ」

「…おう。これ」

 春川が渡すと同時に、男も春川へ紙袋を渡す。春川は紙袋の中を見る。紙袋の中には、ワイヤレスイヤホンがあった。

「え、マジでこれくれんの?」

「壊れてしょんぼりしてたじゃん?嬉しいっしょ?」

「ありがと!」

 春川は最大級の笑顔を向ける。紙袋の奥を見ると、まだ何かあった。手紙のようだが、"プレゼント"と手書きで書かれていた。

「2つもくれんの?」

「だって、新しいワイヤレスイヤホン買ってたらっていう予備な?」

「あぁ。貰ってい?」

「いいけど、大したもんじゃないよ?」

「イヤホンより感動しないってこと?」

「多分な」

「別にいいよ。2つも貰えるってのがいいんだし!」

「そう?…見ないの?」

「帰ってからのお楽しみにすんの」

「ふーん」

 2人はその後、たわいもない話をした。

 今日は既に3組の男女がラブホに入っていた。クリスマスイブの効果だ。


あと何組入ってくんだろ…


「なあ、あと何組の男女が入ってくと思う?」

「さあ?賭けるか。より近い数言った方が勝ち。負けは肉まんを奢る。0時までな」

「2時間かぁ。あんた、絶対に強いだろ。せめて、23時までにしよ」

「え〜。ダメ」

「クソッ。俺は、あと4組入ってく」

「あと2組だな」

 勝負は駅方向にあるラブホ。コンビニ側のラブホは、既に満室であることを示していた。

 2人はそのまま他の話をしだす。

 22時51分、1組目の男女が入った辺りで、2人してチラチラとラブホをうかがう。

「「…」」

 すっかり話すことも無くなって、ラブホをじーっと見つめる。沈黙を破ったのは、男だった。

「今まで、ラブホで何人の生命が生まれたんだろうな?」

「……へ?」


急にどうしたんだ?


「いや。今、ふと思ったんだよね。ラブホでヤることやってるってことはさ、絶対そこで新たな生命が誕生してるわけじゃん?」

「おん」

「だから、何人くらいかなって」

「あー…」

「やっぱ、通算5万人くらいいるよな?」

 ラブホを見ながら話し続ける男に、春川は思いっきり戸惑った。だが、春川は考えることをやめる。

「そうかもな」

「何人だと思う?非行&えろ少年?」


…何人?えっと…。いや、考えちゃダメだわな


「まぁ、5万くらいだろ」

「だよなぁ」

「「…」」

 しばらくして、23時27分。2組目の男女がラブホへと吸い込まれる。それを見た春川は、呟く。

「男は精子で、女は卵子なのかもなぁ」

「…なるほど。いいこと言うじゃん、えろガキ!」

「えろガキは余計な?」

 そんなことを話していたら、23時55分。3組目の男女がラブホに入っていった。

 0時。ラブホへと消えていったのは、3組の男女だった。

「引き分け…」

「もういいよ。お互い買い合えばいいし」

「そだな」

 2人でコンビニに向かう。春川は男にピザまん、男は春川に中華まんを買って、ベンチに戻る。お互い渡して、静かに食べ始めた。

 0時34分。2人は立ち上がる。男が先に言う。

「またな。メリークリスマス!」

「あ…」


確かに、もう25日か…


「じゃあな!メリークリスマス!」

 春川は帰ってから、早速イヤホンを使った。紙袋の奥にあったのは、12月24日に上映する映画のチケットだった。

 2枚。


声かけろよ…

6夜、最後まで読んでいただきありがとうございます

1日、お疲れ様です

明日も投稿するので、お楽しみに

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