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The Park Talk  作者: 白時
1/7

初夜 「自分のモノにはお名前を」

メインの休憩で書いたものですが、楽しんで貰えたらと思います。

 2030年5月2日。21時56分を示す時計を見て、春川一樹は玄関に向かう。

「散歩行ってくる」

「気をつけるのよ」

「わかった」

ガチャ、キィー


あちぃ。


 夜だというのに、気温は25℃。夏というわけでもない。暑さにうんざりしながら、春川は歩き出す。散歩コースにある、家から15分程のラブホ横の公園。いつもそこのベンチに座って、ちょっとぼーっとしてからまた歩き出す。


あいつ、いるのかな。


 公園に着くと、誰もいない。1組の男女がラブホ前のコンビニから出てきた。


ラブホ、入んのかな。


 春川の予想通り、男女はラブホに吸い込まれて行った。ベンチに座っていると、疲れきったような男が駅方向から公園に入ってくる。春川の隣に座る。

「よぉ。非行少年」


相変わらずタバコ臭いな。


「よ。毎回言うけど…。はぁ」

 春川はため息をつく。

「なんだよ?ご機嫌斜め?なんかあった感じね」

「なんかって言っても、ちょっとイラついただけ」

「へー。面白そうじゃん」

「面白くないから」

 春川は少しだるそうにする。

「ごめんって。で?」

「今日学校で、一方的にキレられたんだよ」

「ふーん」

「友達の物、間違えて使っちゃって。パッと見ただけじゃ誰のかわかんねぇし、仕方ねぇのに。めっちゃキレられた」

「確かに。自分のだ!って目印つけとかねぇと、わかんねぇよなぁ。そいつは何か目印つけてたの?」

「いや、なんも」

「そ。なら、そいつがわりぃな」

「俺もよくあるよ。間違えて友達の(モノ)貰っちゃうの。ちゃんと(めじるし)付けておかないと、わかんねぇ。だから、俺はちゃんと付けとくんだ〜」

 男は頷きながら春川に共感する。春川はいつも完璧に見える男が、ドジをすることに驚いた。

「あんたでも、そういうドジすんだな」

「そう。大人でもやっちまうことはある。でも、そのお友達より、女がわりぃな。二股じゃん」

「…女?」

「…女だろ?」

「「…」」

 2人の間に沈黙が生まれた。

「え、お前がキレられたのは、友達の女取ったからだろ?」

「はぁ。"友達の物"って、上履きのことな」

 春川はため息混じりに説明した。

「あー…。でも、まぁうん。自分のモノに目印付けんのは、大事だからな。うん」

「やっぱり、あんたはちょっとおかしいな」

 春川が呆れる。

「いや、これは俺が全部悪いわけじゃねぇよ。てか、高校では、文の初めに主語をつけなさいって習わねぇのか?」

 春川は目を逸らす。

「てか、暑くない?アイス、食べよ」

「あちぃよ」

「「…」」

 2人は顔を見合わせる。

「「ジャンッケンッポンッ!」」

 春川はチョキ、男はグー。

「フッ。日頃の行いか?ハハッ!」

「クソ…。あんたよりは、確実に優等生だってのに…」

「ほら、行け!」

「はいはい」

「はい。は1回ね〜」


あ〜。相変わらずうぜぇ。


 春川が、ラブホ前のコンビニでアイスを2つ買って公園に戻る。

「はい。これ」

 春川は、期間限定の梅干しアイスを手渡した。

「え、俺が梅干し嫌いなの言ったよね?」

「はい。だから買ってきたんだよ」

「嫌がらせ、やめな〜?」

「はぁ。ほら、これ食えよ」

 春川は、自分用に買ったクッキーアンドクリームのアイスを男にあげた。

「どうも。俺はクッキーアンドクリームが1番好きなの!」

「へいへい。そーですか。お子ちゃまでちゅね〜」

「あ、今の1番ムカつく」

 男は、子供っぽいムスッとした顔で春川を見た。

「ハハハッ!」


その顔が1番面白いな


 アイスを食べ終わった2人は、立ち上がる。

「またな。非行少年」

「じゃあな」

 2人はそれぞれ帰路につく。時刻は22時43分。

「母さん、ただいま」

「あら、汗びっしょりね。お風呂入りなさいね」

「うん」

 春川は風呂に入った。2度目の風呂に。


自分のモノには目印を。か。あいつ、人のモノにも自分の目印つけそ。


「ハハッ」

 春川は風呂場で笑う。


明日もあちぃだろうな。

初夜、最後まで読んでいただきありがとうございます。

明日も投稿するので、お楽しみに。

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