第13話 ギャルゲー配信/シスターの日
「今日はギャルゲーをやっていくよー!」
『お! 今日はギャルゲーか』
『キョウカおじさんは攻略対象ですか?』
「俺は攻略対象じゃないよー」
『何をやるの?』
「今日は、『優しき歌』っていうギャルゲをやっていくよ。ユキにおすすめされたんだ」
『おっ、優しき歌か! いいですね・・・・・・』
優しき歌、というのはアニメ化もされたことのある超人気ギャルゲだ。正統派でそこまでクセのない、そういうのをあまりやらない人もやりやすいギャルゲだとされている。
「俺がギャルゲとかあんまりやらないって言ったら、これがおすすめだって言われたんだよね」
『確かに、そういう人でもやりやすいよ、優しき歌は』
『なかなかいいチョイスだね』
「そうなんだ! 楽しみになってきたね・・・・・・よし、それじゃ早速やってみようかな」
シオは早速ゲームを始めることにした。
スタートは幼馴染の女の子がチョコバナナをちゅぱちゅぱ舐めているシーンから始まった。
「・・・・・・は?」
『いきなりセンシティブなシーンから始まったな・・・・・・』
『あれ? これギャルゲだよね?』
『キョウカおじさんもチョコバナナ舐めませんか?』
「舐めないです・・・・・・」
まあ、正統派ギャルゲらしからぬ変なシーンから始まったものの、その後はちゃんとしたストーリーだった。高校に入学して、色々な女の子たちと出会って色々なイベントを経験していく話である。ヒロインも王道な感じだ。幼馴染、ツンデレ、お嬢様、義妹、アイドル、この5人だ。
「イケメン女子はいないのか・・・・・・」
『残念ながらいないですね』
『乙女おじさんは見れなかったか・・・・・・』
「となると、んー・・・・・・この幼馴染の女の子を攻略しようかな。優しいし」
シオは幼馴染の女の子、すみれを攻略することにした。ことあるごとに主人公の世話をしてくれて、母性的な魅力のある女の子だ。
で、まあとりあえずはその子を攻略することに決めて、選択肢を選んだりしていたのだが・・・・・・。
ゲームの中で三週間ぐらい経ったある日、こんなイベントが起こった。
《ある日目が覚めると、俺は女の子になっていた》
「・・・・・・は?」
まさかのゲーム内TSイベントである。
『え? 何これ?』
『俺このゲーム何十周もしてるけど、こんなイベント初めて見たぞ。激レアイベントだ』
「つまり俺はこんなドンピシャな激レアイベントに初見で出くわしたってこと・・・・・・?」
『どう足掻いてもおじさんは女の子になる運命だったのだ・・・・・・』
『神様からのメッセージだね』
このイベントを引いたら以降主人公は女の子になったままで、男には戻らずゲームのエンディングを迎えることになる。TS百合ルートである。
「マジでか・・・・・・そんなことってある?」
まあでも、せっかく激レアイベントを引けたわけなので、シオはそのままゲームを進めることにした。
「なんか男子生徒に告白されたんだけど・・・・・・」
『まあそれはそうなる』
『俺だってクラスメイトにおじさんがいたら告白するし、仕方ないな』
「あれ? なんか俺いつの間にかクラスのアイドルになってる・・・・・・」
『おじさんはどこの世界でも人気者なんだな・・・・・・』
『今もおじさんは俺らのアイドルだよ』
とまあTSした結果、ゲームの中でもシオはたくさんの人からちやほやされるようになってしまった。このゲームはひょっとしてプレイヤーのことを監視しているのか・・・・・・?
そして、そんなふうになったことで攻略対象である幼馴染のすみれにも変化が起きてきた。
《私が子どもの時、君はいっつも守ってくれたよね? だから、今度は私が守ってあげる!》
「お?」
なんと、主人公に護られるだけの存在だったすみれが、逆に主人公を護る存在になってきたのである。
そう、つまりは──
《おいで、私がエスコートしてあげるよ》
《まったく。君は本当に困った子だね・・・・・・少し、お仕置きが必要かな?》
《私だけを見ててよ。君は、私だけのお姫様なんだから》
すみれがイケメン女子になった。
「・・・・・・好き」
『あっ、おじさんが脳を焼かれてる!』
「破壊力がやばい。今までずっとお母さんみたいな存在だったのに、急にイケメンになったことによるギャップ萌えの不意打ちがやばい。死ぬ。ギャップ萌えの桶狭間だよこれは」
『ギャップ萌えの桶狭間ってなんだ・・・・・・?』
『脳を焼かれた結果、よくわからんことを口走ってるな・・・・・・』
「やばい。好き。すきい・・・・・・♡」
『これはもうおじさんが攻略されちゃってないか?』
『やっぱりおじさんは攻略対象だったんだ!!』
『脳みそとろとろ乙女おじさんかわいいね・・・・・・』
不意打ちギャップ萌えにやられたおじさんは、それはもうとろとろになっていたという。
◇
ここは百合姉妹メイド喫茶・リリィシスター。色々なメイド姉妹の百合が見れる一部界隈の人間にはとても助かるお店である。
しかし、今日のリリィシスターは百合姉妹メイド喫茶ではなかった。今日のこの店はシスターデーなのだ。シスター。あの教会にいるシスターだ。店員さんみんな、メイドの服ではなくシスター服を着て百合百合するという日なのである。この店では、客を飽きさせないようによくこうやって衣装を変えたりする日があるのだ。
つまり今日は百合姉妹シスター喫茶になっているということだ。なんか姉妹姉妹喫茶みたいになっててちょっとややこしい。
さて、このシスターデーの始まりとして、まず最初にステージで寸劇をやるというイベントがあった。教会で暮らすシスター2人の関係を描いた、美しく、少し寂しい百合寸劇である。
店を埋め尽くす客はみんなその寸劇を楽しんでいるみたいだった。なんかみんなにやにやしてしまっている。まあ、百合を見ているから仕方ないとは思うが、客がみんなニヤついているのはかなり異様な光景だった。
そして、最後のシーン。姉の方のシスターが教会を去って、妹と別れる時のシーンになった。
「・・・・・・私たちは神に仕える身ですから、唇を合わせることは出来ません。ですから──」
と、言って姉のシスターは首にかけたロザリオを持ちあげると、コツン、と妹のロザリオに合わせた。
「今はこれを、代わりとしましょう。これが私からの、あなたへの愛の証です。私の愛しい妹──」
こうして姉が教会を去り、終幕となった。店は客の心からの拍手に包まれたのだった。客たちがそれぞれ感想を話し合った。
「いやー、すごかったな! 正直ちょっと不安だったんだけど、めちゃくちゃ面白かったよ!」
「ああ。妹役の子の演技もすごかったな・・・・・・本当に姉への好きが溢れてる感じだった」
かなり好評のようだ。ストーリーも面白かったみたいだし、役者の演技も良かったらしい。特に、妹役の店員の演技が好評だったようだ。姉への好きが溢れている感じがとてもよく出ていたとみんな口々に褒めている。それもそのはず──
(好きが溢れてるって当たり前だよ! だって姉役の人がルウさんだったんだもん!)
裏で客の感想を聞いていたシオはそう思った。そう、何を隠そう妹役をしていたのは我らがキョウカおじさん、シオだったのである。そして、姉役は例のあのイケメン女子、居竹ルウだったのだ。
お店がまた人手不足になったので、ルウが再びシオに助けて欲しいと頼んできたのである。シオは快く承知したというわけだ。シオは相変わらずイケメン女子に対してチョロかった。
さて、シオは裏でこっそり客の感想を聞き続ける。
「確かに妹役の子、すごい上手かったよな。姉を見る目なんてもう乙女のそれだったもんね」
「あれは完全に恋する乙女の顔だったよな。俺ニヤニヤしちゃったよ」
(いーやだってルウさん素敵すぎるんだもん! でも俺乙女の顔なんてしてたかなあ!?)
「てか妹役の子可愛すぎなかった? 演技も上手いし、声も可愛かったし・・・・・・」
「だよな。ひょっとしてアイドル志望とか?」
「あー、そうかも! いいね。あの子がアイドルになったら俺、推すわ」
「俺も俺も」
(いや、アイドルとかじゃないです。三十代おじさんです・・・・・・)
「見た目から、中学生とか高校生っぽかったよね。まだまだこれからだろうし、応援したいなー」
(いやだから三十代おじさんです・・・・・・)
まあそれはともかく。
お店のバックヤードで椅子に座って休憩していると、ルウがやってきてシオにお礼を言った。
「あの、今日は本当にありがとうございます。劇の脚本をお願いするだけじゃなくて、役者の方までお願いしてもらって・・・・・・」
あの劇の脚本はシオが書いたのである。元々脚本だけを頼むつもりだったのだが、演技が上手い店員の都合が軒並みつかなかったため、シオがやることになってしまったのだ。
「いやいや、大丈夫ですよ。脚本はあんまり書いたことないですけど、物語を作るのは慣れてますし・・・・・・演技は似たようなことをちょっとしたことがあるので」
そう言ってシオは笑う。ルウはシスター姿のシオをまじまじと見て、
(なんでこのおじさんはこんなにシスター服が似合っているんだろう・・・・・・)
としみじみと思った。シオはシスター服がとても似合っていた。本当の修道女のように見える。どう見ても清楚なシスターさんだ。
「さてと・・・・・・そろそろ着替えて帰りましょうか」
「あっ、そうですね。それじゃあ、ちょうど今は更衣室に人もいませんし、今のうちに着替えて──」
と、その時だった。
「ちょっと待ったー!」
そう言って店長が勢いよく入ってきた。店長もシスター服を着ている。この店長が着ていると清楚系ではなくやんちゃシスターに見える。
「なんですか? 店長。急にどうしたんですか」
店長は手を合わせてこんなことを言ってきた。
「ごめん! この後予定がなければでいいんだけどさ、助っ人に出てくれないかな? シオさん」
シオはこの後帰る予定だったのだが、助っ人に出てくれないかと言ってきたのである。
「助っ人・・・・・・?」
「いやー、人手が足りなくてさ! 働いてほしいなーって!」
「店長、それは流石に悪いですよ。山本さんにはもうかなり無理を言ってしまったわけだし、この上さらにワガママを言うのは・・・・・・」
シオは少し考えた。この後特に予定はない。むしろ、暇だから何をしようかと考えていたくらいだ。乗りかかった船、というかもうがっつり乗りまくっている船だし、もうちょっと働いたって別にいいかもしれない。何せこの店はルウさんが働いている店なわけだし、イケメン女子のお役に立てるならば・・・・・・
「この後特に予定もないですし、別にいいですよ。働いても」
「いいんですか? やったー!!」
「ちょっと店長! すいません、何から何まで・・・・・・」
「いえいえ、大丈夫ですよ」
と、いうことで今度はシスター服を着て働くことになった。
◇
「懺悔コーナー・・・・・・ですか?」
てっきり、また百合シスター姉妹としてイチャイチャすることになると思ったが違ったらしい。今回、シオは懺悔コーナーとかいうものを受け持つことになってしまった。
「どういうコーナーなんですか?」
「その名の通りだよ。ここは店に来る人の懺悔を聞くコーナーだよ。まあ、懺悔というか、悩み事というか、リクエストというか・・・・・・まあそんな感じ。とにかくお客さんと話をすればいいよ」
「な、なるほど・・・・・・? まあわかりました。とにかくやってみます」
こうして、シオは懺悔コーナーをやることになった。個室みたいなところに入れられた。そこでお客さんと話をするのである。
まず最初に懺悔コーナーに来たのは──
「あっ、あの時の・・・・・・」
「あ、あの時はどうも・・・・・・」
まず最初にここに来たのは、シオが初めてこの店に来て接客した、あのお客さんだった。アイスキャンディーを舐めさせてきたあのお客さんである。
で、懺悔コーナーに入って、椅子に座るなり興奮した様子でニヤニヤしながら語り出した。
「見ましたよあの演技! すごかったです! めちゃくちゃ良かったですよ!」
「あ、ありがとうございます・・・・・・」
真っ直ぐに褒められると照れる。シオは顔を紅潮させた。お客さんはその様子を見て、かわいいなあとさらにニヤニヤする。ちょっとキモい。
「私は特に姉に頭を撫でられて、目を瞑って嬉しそうにしているシーンの演技が良かったと思います。・・・・・・というか、あれ演技じゃなかったですよね? 私には本心から喜んでいたように見えましたが・・・・・・」
「えっ!? え、ええまあ、確かにあのシーンはちょっと・・・・・・演技ではなくて本心から喜んでしまいましたかね・・・・・・」
「ふーん・・・・・・」
「なんですか・・・・・・?」
「いやちょっとニヤニヤが止まらなくて・・・・・・」
「ええ・・・・・・?」
まあそれはともかく。
「えーっと・・・・・・それで、この場所では一応懺悔を聞くことになっているのですが・・・・・・」
「あっ、そうでしたね。えーっと、上目遣いでお姉ちゃんって言ってくれませんか?」
懺悔・・・・・・?
「なんか懺悔っていうよりリクエストな気がするんですが・・・・・・しかもより罪が増えそうな方向の・・・・・・」
「お願いします! 私をお救いくださいシスター様!」
「えー・・・・・・じゃあ・・・・・・」
シオは上目遣いをする。ちょっと恥ずかしいので、顔が赤らんでいる。
「えっと・・・・・・お、お姉ちゃん・・・・・・」
「ありがとうございます!!! これであと5年は生きられます!!!」
「な、なら良かったです・・・・・・」
・・・・・・次に懺悔コーナーに来たお客は、男の人だった。椅子に座るなり開口一番こう言った。
「あの・・・・・・懺悔というか悩みというか、少し相談があるんですけど、いいですか?」
「はい、いいですよ。なんでしょう?」
男は開口一番こんなことを言った。
「実は、最近おじさんのことをかわいいと思ってしまって・・・・・・」
おじさんのことをかわいいと思ってしまう・・・・・・?
「えっと、どういうことでしょうか」
「これは失礼、言葉が足りませんでしたね。実は、今自分が推している配信者の人がいるんですけど、その人がおじさんなんですよ・・・・・・」
「なるほど・・・・・・?」
とにかく、推しのおじさん配信者がいるらしい。
「その人はホラゲー配信とかしてるんですけど、そのリアクションの仕方がおじさんとは思えないほど可愛く・・・・・・コーヒーをブラックで飲めるってドヤ顔してるところも可愛いですし、メスガキやママをやってくれたこともあるんですけどめちゃくちゃよくて・・・・・・」
「ええ・・・・・・?」
話を聞いている限りかなりヤバい状況な気がする。おじさんがメスガキやママをする・・・・・・? シオにはなんだかよくわからない。
(いや、コーヒーをブラックで飲めることにドヤ顔するおじさんなんているのか・・・・・・? そんな女児みたいなおじさんが・・・・・・? まあ確かに、コーヒーをブラックで飲めるのはすごいことだけど、見てわかるほどドヤるおじさんなんているのかな)
コーヒーをブラックで飲めることを自慢に思ってはいるけど、そこまでドヤってる自覚はないシオである。
「さらに、そのおじさんはバレンタインデーに放課後幼馴染動画をプレゼントしてくれたんですけど、その時に見せてくれた学生服姿がとても可愛くてですね・・・・・・こう、何かが揺らぎそうになってしまいまして・・・・・・」
「そ、そうなんですか」
(学生服が似合うおじさんなんているのか・・・・・・そんなの奇跡的な存在だと思うけどな・・・・・・)
「ああ、俺はどうしたら! このままおじさんにときめいてしまってもいいのでしょうか!?」
「まあ、いいんじゃないですか? 令和だし、おじさんにときめいてしまうこともあると思います」
「おお・・・・・・神は許して下さいますか!」
「お許しくださるでしょう」
「ありがとうございます・・・・・・! あの、今度スリット深めのチャイナドレス着てくださいってリクエストしようと思ってるんですけど大丈夫でしょうか!?」
「大丈夫なんじゃないですか?」
「本当ですか!? よかった・・・・・・ありがとうございます!」
2人目のお客さんは、笑顔で去っていった・・・・・・。
「それにしても、そんなにかわいいおじさん配信者がいるなんて知らなかったな・・・・・・チャイナドレス、か・・・・・・スリットが深いやつは恥ずかしいかもなあ。俺だったら着れないかも・・・・・・」
この人をけしかけたことで、シオはスリットの深いタイプのチャイナドレスを着ることになるのだが、それはまた別の話である。
・・・・・・3人目の客が来た。
「お願いします・・・・・・え?」
3人目の客は、なんとキュウだった。キュウはシオの姿を認めると、真っ赤になって目をぐるぐるにさせながら言った。
「な、なんでここに山本さんが!?」
シオはにこっと笑いながら言った。
「あ、キュウさん。こんにちは! 本屋で会って話した時以来だね。・・・・・・いや、実はちょっとお手伝いを任されて、働いているんですよ」
「へ、へえ。そうなんですね・・・・・・」
キュウさんはシオの姿をまじまじと見る。今のシオはシスター姿だ。
「シスター服、似合ってますね・・・・・・すごい、聖女様みたい・・・・・・いや、地上に降りた天使様かも・・・・・・」
「そ、それはちょっと褒めすぎですよ・・・・・・でも、ありがとうございます」
とりあえず、キュウはシオの前に置いてある椅子に座った。シオはキュウへ話しかける。
「そういえば、あの劇は見てくれました?」
「劇、ですか?」
どうやらキュウは見れていないらしい。
「このシスターデーの始まりにシスター百合を題材にした寸劇をやったんですよ。俺は、一応それの主演をしまして・・・・・・」
「え!? すごいじゃないですか! あー、もっと早く来てれば見られたのに・・・・・・明日もやりますか?」
「明日もやりますよ」
シスターデーは今日と明日の二日間だ。
「良かった・・・・・・なら明日──ってん? あの、シスター百合を題材にした寸劇の主演を務めたってことは、ひょっとして・・・・・・」
「ん? ああ、俺と、もう1人姉役の方がいます。その方との百合寸劇になりますね。けっこうイチャイチャシーンとかありますよ」
「へー・・・・・・姉役の方と山本さんがイチャイチャするんですか。ふーん・・・・・・」
キュウは目を細めた。
「ふーん・・・・・・」
「あの・・・・・・どうかされましたか?」
「いえ、別に、なんでもないです」
キュウはちょっとだけ嫉妬した。
「えっと、それでキュウさんはどんな懺悔を・・・・・・」
「あっ、そうでしたそうでした」
キュウがここに入ってきたのは、ちょっとした相談をするためだった。ただ、シオがいたので、せっかくだし・・・・・・
「あの、『キュウちゃんはいい子だね』って言いながら頭を撫でてもらえませんか?」
「えっ?」
「ちょっとした確認のために・・・・・・」
「か、確認・・・・・・ですか? まあいいですけど・・・・・・」
確認というのはよくわからないが、頭を撫でるだけならそこまで大変なことではない。シオは頭を撫でた。
「よしよし。キュウちゃんはいい子だね・・・・・・」
キュウは目を瞑って、どことなく嬉しそうな表情をしていた。シオが劇中でされていたことを、逆に今現実でしているような感じだ。
やがて、キュウは口を開いて言った。
「・・・・・・もう、大丈夫です。十分に確認できました」
「そ、そうですか? なら良かったです・・・・・・」
よくわからないけど、確認出来たならいいだろう。
キュウは、撫でられた時の心地よさを思い返して味わいながら
「・・・・・・ふふ」
そう嬉しそうに微笑むのであった。
寸劇効果もあってか、この二日間のシスターデーは大盛況だったという。
そして、通常営業になったあと、
「あれ? あの劇に出てた妹シスターの子はいないの?」
とお客さんから頻繁に尋ねられるようになったという・・・・・・。




